新たなる旅立ち ―中編―
「ただいま。」
幕之内に話をして帰ってくるとのではない、女物の靴があった。
そういえば、朝、宮原が来るって言ってたか。
居間から寝転がった姿勢でが顔を出す。
「お?お帰り〜。、一郎帰ってきたよ。」
宮原はに重なって顔を出してきた。
下で潰されているが「ぐえっ」と潰れた声を出している。
「宮田君、お帰り。写真撮らせてぇ。」
「朝撮ったじゃねぇか。」
「あと10枚残ってるのよ、こっちで。」
と言ってあのゴツイ愛器を掲げた。
どうでもいいけど、から降りてやれよ。お前が動く度に蛙が潰された様な声出してるだろ?
「いいけど、何を撮るんだよ。」
「き、着替えるシーンなんてどう?高く売れそうだよ?」
苦しそうにしながらもそんなことを言うに
「お前そのまま潰されてろ。」
と言ってやった。
「あはは、お兄ちゃん酷いー」と笑いながら宮原がの上から降りる。
...俺が酷いのか?
「うちの庭でも撮れば?今、雪降ってるぞ。」
「マジで?あ、本当だ。うん、宮田君より魅力あるわ。」
ああ、そうかよ。
宮原はこの寒い中カメラを持って庭に出た。
「幕之内君、居た?」
「ああ。学校が終わっても残ってたみたいで家に行ったら居なかったけど、学校に向かっている途中で会った。」
外が少し寒かったから、着替える前にコタツに入って温まることにした。
みかんの皮を剥いて口に運ぶ途中、掠め取られた。
を見ると、幸せそうに口を動かしている。
「自分で剥けよ。」
「人が剥いてくれたのを貰うから、おいしさ倍増なんじゃない。」
「『貰う』じゃなくて、『奪う』だろ?」
は肩を竦ませ、自分で剥き始めた。
が一房口に運ぶから、俺もさっきがやったようにそれを掠め取る。
...うん、確かに美味い。
その後、俺達の攻防戦が始まった。
いきなりフラッシュがたかれたからそちらに目を向けてみると、いつの間にか部屋に戻ってきた宮原の姿があった。
「宮田君独りだとイマイチだけど、兄妹が揃うと魅力的な被写体になるね。」
「やっぱ私が居ないと一郎はダメか。」
「はいはい。宮原、あと何枚だよ。」
「1枚。おじさん入れて宮田一家撮ってあげるよ。」
「「そりゃどうも。」」
カメラを置いて宮原が炬燵に入ってきた。
「宮原、冷たいから足くっつけてくるな。」
「何言ってるのよ。他人の体温奪うのが炬燵の醍醐味でしょ?」
やっぱ、こいつら類友だな。
体も温まったし、ずっと制服だと肩も凝るから着替えることにした。
「あ、宮田君。私宮田君の部屋見たい。」
立ち上がった俺に宮原がそんなことを言う。
「私も!」
も挙手する。
「...何も無いぞ。ま、俺が着替えたらな。」
服を着替えて、部屋も暖まったから2人を呼ぶ。
「うっわー、イメージ通りの部屋だね。本当何も置いてない。」
「だね。もう少し飾りっ気をさぁ。」
「別にいいだろ、俺の部屋なんだから俺の好きにしても。」
「まあ、そうだね。ところで、さ。一郎、喉渇いた。」
...さっき下から上がって来たんだろ?!自分で淹れて来いよ、ったく。
「ちょっと待ってろよ。そこらへんに適当に座っていろ。」
俺は3人分のコーヒーを淹れるべく台所に向かった。
何となく『みかん攻防戦』が書きたくて
こういうモノに...
『類友』とは、『類は友を呼ぶ』のことです。
桜風
04.7.10
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