ドリームランドへようこそ! ―前編―





(私たち以外が)待ちに待ったテーマパークへ行く日が来た。

テーマパークへは、あの文化祭の商品として支給されたフリーパス。

一郎と恥かしい思いをして手に入れた曰く付きの代物だ。

と言っても、『曰く付き』と思っているのは私たちだけで、周りはとても喜んでいる。


テーマパークまでは引率の先生がついていた。

一応、学校行事で未成年だしね。

でも、中に入ってからはこちらのものだ。

...と、皆は言っている。


そして、有言実行が如く中に入ったら散会していった。

そりゃ、まとめれないわね。

!どれから乗る??」

市販のガイドブックを手にしたが声を掛けてきた。

「それ、どうしたの?」

「ん?研究し尽くしてるから大丈夫よ。あれ?お兄ちゃんは?」

「さあ?」

に言われて気がつく。

そういえば、一郎が居ない。

って言っても逃げ回っているだけだろうし、気にすることはない。

「じゃあ、まあ。お任せコースで。博士の研究成果に期待しますよ」

そういうとは得意そうに胸を叩いて

「まっかせといてよ!」

と返事をした。

は瞬時にコースを選び、迷うことなく目的地に向かった。

そこでアトラクションに乗り...私は酔った。

「ご、ごめん、。スピード系ダメだったんだ?」

「ううん、私も新発見だから。以後気をつけるよ」

ベンチに座ってが買ってきてくれたジュースを飲む。

「いいよ、私ここで待っておくから。は楽しんでおいでよ。一生懸命調べたんでしょ?」

そう言うとは首を振った。

「ううん、と一緒に楽しみたくて調べたんだから。私も一緒に休憩するよ」

そう言ってベンチに腰掛けた。

すると、遠くから黄色い声なるものが聞こえてきた。

「お兄ちゃん、来るみたいだね」

「うん、分かりやすいね。猫の鈴みたい」

そんな話をしていると一郎と目が合った。

、どうしたんだよ。顔色悪いぞ?」

「ん、酔ったみたい」

「そうか...宮原は?」

「ん、酔ったと一緒に居たいから」

「そ、そうか...?」

眉間に皺を寄せながら一郎は曖昧な相槌を打った。

「ところで、一郎は?」

「あ、ああ。俺も少し休もうかな?」

そう言った一郎に

「えーー!?一緒に行こうよ!」

という不満の声が上がる。

「何処?」

「あれ...」

既に遠い目をして一郎はある建物を指さした。

「ああ、アレですか...」

一郎が遠い目をする理由が分かった。

たしか、冒険と称しているが、お化け屋敷要素の強いアトラクションだったと思う。

イヤだよね、入りたくないよね...

「目が笑ってるぞ」

ちょっと楽しいコトになりそうだな、って思ってたら顔に出ていたらしい。

、怖いの大丈夫?」

に聞かれる。

「うん、大丈夫だと思うよ」

「じゃ、あそこ行こうか。一応、行きたいリストに入れてたし」

のこの一言に

「行くぞ」

一郎に腕を引かれて立ち上がった。


どうやらこのアトラクションは2人1組のペアになるものらしい。

「ペアだって」

は俺と」

勝手に一郎に決められて、一郎の周りに纏わりついてた女の子たち&にブーイングを食らうけど、一郎は涼しい顔をしたままだ。

いや、ブーイングを食らってるのが私だから、一郎は関係ないのかもしれないけど...

収集がつかなくなりそうなところに、

「まあまあ。ほら、今回は宮田兄妹のお陰のフリーパスなんだから譲ろうよ」

と、確か一郎のクラスの文化祭実行委員だった人がまとめた。

渋々女の子達は納得し、一郎は彼に「サンキュ」と小さくお礼を言っていた。

一郎に以外の友達って居たんだ...

アトラクションに入っていくに従って一郎が微妙に挙動不審になってくる。

仕方が無い。

私って出来た妹だし

「ちょっと怖いね〜...」

と言いながら一郎と手を繋いだ。

既に一郎の手は汗ばんでいて表情も硬い。

大丈夫デスカ、一郎さん?

奥へ進めば進むほど趣向の凝らしたものとなり、回りの悲鳴は大きくなる。

そして、我が兄の一郎は

...既に心ここに在らずですか?

目の焦点が合っていない一郎を心持ち引っ張る形で私は進み、そしてゴールした。

一郎の目の焦点が戻ってきたときの一言。

「結構大したことなかったな」

...おい、コラ!!

その冷や汗は何だ??

でも、頑張って強がる一郎に水をさすのは妹として良くないかもしれないので、そこは我慢しておいた。

今度何か奢らせよう。




文化祭ネタの続きです。
というか、私が行きたくなったから書いて落ち着けた。
行きたいなぁ...
でも、人が多いのは嫌いなので...
そして、前・後編(笑)


桜風
06.3.18


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