ドリームランドへようこそ! ―後編―





結局昼前からたちと一緒に行動することになった。

どうやら宮原が調べつくしているらしく、要は、俺たちもそれに便乗させてもらうことにしたというワケだ。

昼食を摂りながらも、宮原は一生懸命ガイドブックを眺めて復習している。

ついでに、ウチの実行委員も一緒になって考えている。

「んー、パレード見たいよね。だったら早めにパレードコースで場所確保しておきたいね。あとは..スピード系は外して...」

「ねえ、。ホントだけでも乗ってきなよ。凄く楽しみにしてたんでしょ?それ買ったくらいなんだから。私は大丈夫だよ」

宮原の独り言には心底申し訳無さそうに提案した。

「何言ってるの?!1人を放っておいたら、それこそ色んな虫が付きそうでしょ?」

「いや、俺も一緒にいるつもりだけど」

「なら安心。じゃあ、どうしよっかなー」

突然ころりと態度を変えた宮原に困惑しつつも、まあ、良いかと思う。

その後、昼食を済ませて一応、散会した。

パレードを見る地点を決めているから後で合流できるというワケだ。


「どうしよっか?」

「そうだなー...」

俺たち以外も皆行きたいところがあったらしく、今はと2人で歩いているだけだ。

入り口で貰ったパンフレットを見て、俺とが大丈夫で、しかも時間が掛からなさそうにないものを探す。

こう考えると意外と少ない。

再会地点から離れていたり、どう考えても時間が掛かりそうなものだったり。

「きゃーーー!!」

突然の声がした。

驚いて顔を上げるとそこには、このテーマパークのマスコットキャラクターが歩いていた。

「一郎、お願いね」

そう言っては持っていたカメラを俺に押し付け、そのマスコット目掛けて走っていく。

マスコットキャラに抱きついたを撮り、カメラを下ろすと

「お撮りしましょうか?」

と、このテーマパークの制服を着た人が声を掛けてきた。

「お願いしようよ、一郎!!」

珍しくテンションが上がりっぱなしのが大きく俺を手招きする。

「すみません、お願いします」

あのテンションのに逆らったら大変そうだから、俺はカメラを託しての傍に寄った。

こんな、マスコットと一緒に写真に写っている自分が猛烈に恥かしいけど、それでも、隣で満足そうに笑っているを見たら仕方がないって思う。

ってああいうの好きだったのか?」

去っていくマスコットにいつまでも手を振っているに聞くと

「いや、普段はそうでもないんだけど。今みたいに、目の前に来られるとテンション上がっちゃうね。不思議なことです」

照れくさそうにそう言う。

たぶん、本当は好きなんだろうって思った。

は昔からボクシングをしてたせいか、あまり『女の子』って感じのものを持たない。

結局パレードまでの時間は、園内を歩いて過ごした。

さっきのマスコットと遭遇して以来のテンションは下がることなく、園内の風景を見るだけでも大喜びだ。

「こんなにはしゃぐって、どれくらいぶりだ?」

「は?私全然はしゃいでないよ?あ!あれ可愛い!!」

そんなことを言いつつ、今度は噴水に向かって走っていった。

噴水の中央の飾りがやっぱりこのテーマパークのマスコットだった。

何だか、小さな子供を連れてる父親の気分になってきた。


その後、パレード中は、宮原たちも加わってとても騒がしい集団になった。

高校生の集団が一番騒がしいっていいのだろうか?

周りにいる男子たちも皆俺と同様に苦笑していた。

パレードが終わると既に日も傾いて空があかくなってきていた。

、最後あれ」

俺が指さしたのは観覧車。

「いいよ。は?」

「んー、あっちの方がいいから」

と言ってなにやら凄い動きをするらしいアトラクションを指さした。

絶対にが遠慮したいものだ。

どうやらこのテーマパークで1・2を争う人気のアトラクションらしい。

「そか。じゃあ、帰りは...」

「ここで解散にしよう。私はまだまだ時間いっぱいまで頑張るつもりだし。の方はお兄ちゃんが用事あるでしょ?」

にそう言って宮原は何人かを引き連れて走っていった。

「元気だよね...」

「ああ。宮原って実は凄く体力あるんだな」

そう話しながらと共に観覧車に向かった。

順番待ちだったからに頼んで少し離れさせてもらった。

売店で買い物をして戻る。

あまり動いていない。

「おっきい観覧車だからね」

俺の表情を見て何を考えたのかが分かったのか、がそう答えた。

「だな。まあ、のんびり待とうか」

そう言ってさっき売店で買ってきたジュースをに渡す。

「お。気が利くねぇ」

「まあ、な」

そう言っては嬉しそうにそれを口にした。

「っかー!いいねぇ、100%は!」

「オヤジ臭いから、それ」

「良いじゃない。イマドキのOLはビールを飲むときそう言うのよ」

「いや、ビールじゃないし、はOLでもないだろう?」

「...細かい男だな〜」

が大雑把過ぎるんだろ?」

そんな話をしていたらいつの間にか進んでいて乗れることになった。

「そういえば、さ」

が外を眺めながら呟いた。

「ん?」

「昔、4人で遊園地に行ったよね」

幼い頃、まだ家族が4人だった頃。俺たちは遊園地に行ったことがある。

誕生日に行きたいとがねだった。

ジムで遊園地というところが楽しいと聞いたからは酷く興味を持って父さんと母さんに頼んだ。

2人は困ったようだったが、結局連れて行ってくれた。

乗りたいもの全てに乗れず、がふてくされていたけど、観覧車には乗れたから、家族4人で乗った。

さっきまで半べそでふてくされていたも観覧車が上に上がっていくうちにどんどん機嫌がよくなって騒いでいた。

「あの時さ。どっちが後楽園ホールかで大騒ぎしたよね」

「そういえば、そうだったな。俺もも全然違う方向を指差して父さんにどっちだって聞いたら、結局全然違う方向だったからはまたふてくされたんだよな」

「え?あれ??そうだっけ?忘れたよ〜」

「ははは」とカラ笑いをしているはそれを覚えている証拠で、ちょっと恥ずかしそうで、でも、懐かしそうだった。

「そうそう。これやるよ」

さっき売店で買ってきたマスコットをに渡す。

かばんにつけれるくらいの大きさのものだ。

「...どんな顔して買ったの?」

「ウルサイ」

「ありがと。まあ、一郎がくれたものなら仕方ない。持っとかないとね」

そう言うは言葉とは反対にとても嬉しそうに笑っていた。


家の土産には本気で悩んでいた。

自分が食べたいのが多かったそうだ。

結局、そのテーマパークのマスコットを模ったクッキーを買って帰った。

しかし、家でそれを食べようとしたとき、目の前のは葛藤に苦しんだ。

「こ、これは頭から行くべき?それとも...」

本気で悩みながらブツブツ呟いているは俺が2枚目のクッキーに手を伸ばしたことには気付いていない。

父さんも、そんなに苦笑をしながら俺と同じく2枚目のクッキーに手を伸ばした。





遊園地終了。
ヒロインは昔からのおてんばさん。
一瞬高所恐怖症にしようかと考えたのですが...
さすがに弱点が増えるのはイヤだなって思ってやめました。


桜風
06.4.30


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