On your mark





体育祭というものはどの学校にもあるのだろうか?

今年高校に入って初めての体育祭。

何と言うか、中学だろうと高校だろうと結局運動会って感じになるみたいだ。

紅白に分かれてその技を競うとか何とかって名目だけど、それ以外、全然競っていない種目もある。

因みに、俺は赤組。は白組。


「妹離れするのにいい機会じゃない?」

そんなことを言われた。

「何度も言うようだが、俺は既に妹離れできてる!宮原、何年俺たちを見てきたんだ?」

「あー...もう、4年かしら?早いわねぇ」

普通に何事もなく答えた宮原。因みに、こいつは俺と同じで赤組。

俺たちは今、体育祭の準備で鉢合わせた。

というか、俺とと宮原のクラスは同じ準備をしている。

「てかさ。兄弟が他の学校に通ってる子に聞いたんだけど。こういう準備って体育系クラブがするところが多いらしいよ」

「そうなのか?なら、ウチもそうすればいいのに」

「練習行く時間が遅くなるもんねー。いつプロになるの?」

「来年。17歳にならないとライセンス取れないんだよ。そういえば、は?」

宮原が居るのに、が居ない。

「白組は今リレー練習中。ねぇ、妹離れの定義聞いてもいい?」

「今の俺が妹離れできてるって手本」

「甘いわねー。それで、妹離れ!?おへそで茶が沸くわ」

「へー。それなら、是非とも沸かせてもらいたいものだな」

「じゃあ、南部鉄器の鉄瓶、持ってきてよ。私のへそはそれ以外は沸かせないように出来てるのよ!」

「ほーう。じゃあ、明日持って来てやるよ。楽しみだなー」

「アホたちだ...」

不意に後ろから本当に呆れ返っている声がした。

「お疲れー」

少し後ろに顔を遣って宮原が一言返す。

「どうやって南部鉄器の鉄瓶を使っておへそで茶を沸かすのよ」

尚も呆れた声の

「トップシークレットよ。親友のにも言えない事なのよー」

「あんま知りたくないわ...」

溜息を吐きながらそう言う。

「宮田ぁー」

遠くから声がして、俺とは同時に振り返った。

「「はい」」

「またハモってる...」

小さく呟く宮原の声が聞こえるけど、それはそれとして。

「や、悪い。えーっと、あのー」

「あ、弟の一郎のことですか?」

「兄貴だ!リレー練習ですか?」

「そうそう。リレーの練習あるから呼んで来いってさ。実際、お前どっちなんだ?」

ふたつ上の先輩(だったはず)が、本気の目をして聞いてきた。

それを見た宮原は腹を抱えて笑っている。

「兄、です。じゃあ、行ってくる」

「ま、せいぜい頑張りたまえ、虚弱くん」

ふんぞり返って言うその様はまるで鷹村さん。

「鷹村さんに似てるぞ」

呆れながらもそう伝えると、

「モノマネしてみた。成功したみたいね」

嬉しそうに笑って手を振った。

鷹村さんのモノマネして楽しいのか?あの鷹村さんに似てて嬉しいのか??

やっぱり女って何考えてるか分からない。


リレーは紅白3組ずつ出場する。

男女の人数は各学年2人ずつ6人と決まっているが、走る順番は好きに構成してもいい。

走る距離は200m×2人、400m×2人、800m×1人、1000m×1人となっているため、大抵女子が前半3人で男子が後半3人という構成になることが多いらしい。

陸上部は走る種目は1つ、しかも、1チーム1人しか出てはいけないという規定があるため、陸上部を何処に配置するかで勝敗が左右されるらしい。

「そういえば、宮田の妹も陸上部だよな?」

俺を呼びに来た3年が聞いてきた。

「そうですね。リレーに出るみたいですけど。何処を走るかは聞いてません」

「どっちが得意なんだ?」

「どれでもいけますよ、たぶん。ペース配分とか得意らしいので」

「強敵だなー」

頭の後ろで手を組んで天を仰いでいる。

でも、どこか嬉しそうで。

「先輩は陸上部ですか?」

「中学までな。だから、実はお前の妹の走り知ってるよ。半年しか被ってないから大会では1回しか見てないけど。速いもんなー、アイツ」

グラウンドに出ると皆が大騒ぎしている。

「どうしたんスか?」

「喜べ、情報だ。白組の陸上部のルーキー宮田は200mを走るらしい!!」

一応、赤組顧問となっている教師ががそう言うと、何故か歓声が上がる。

「アイツ、そんなに有名人なんですか?」

傍に居た一緒に来た先輩に聞くと

「インハイ出たじゃん。お前、知らないの?」

そういえば。バイトする数日前にそんなもんに出たような。家に居なかったもんな...合宿とかかと思ったけど、父さんは大会だって言ってたな。木村さんも何か「ちゃん凄いな!」って声掛けてきたなぁ。結果聞いてないなー...

そんなことを思いながら「そういえば、そうですね」と曖昧に返した。

「で、双子の兄貴としてはどう思う?」

「アンカーでしょうね。アイツ、走るの好きですから。でも、まあ」

まだ歓声が上がっている集団に目を遣って言葉を区切る。

「そうだな、黙っておこう。何か、面倒くさいし」

先輩は笑ってそう言い、集団に入って「おおー!!」とかって一緒に騒ぎ始めた。




季節はずれの運動会。
やって無いイベントを考えていたらこうなりました。
しかも、これ考えたときは10月上旬でしたから。
運動会の最盛期(?)ごろ。
『位置について』、『用意』、『ドン!』の3部作でいきますよ〜。


桜風
06.11.18


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