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体育祭前日の夜。

仕方ないから2人分の鉢巻を作った。

片方は赤。片方は白。

赤は雑に作ってみようかとも考えたけど、まあ、美しく作って進ぜようと思い、白と同じくらい気合を入れて作った。

ただ、布をミシンで縫い合わせるだけなのにね?


翌朝、ロードから帰って来ると父さんが弁当を作ってくれていた。でも、何故かいつもよりも多い。

「あれ?どうしたの?」

「今日は運動会だろう。父さんも応援に行くぞ!」

「「いや、来なくていいよ」」

一応、2人揃って丁重にお断りを入れておいた。

だから、親が自分の学校行事を見に来るのがイヤなんだってば!


私たちが家を出るまで肩を落としていた父さんに少し悪いなという罪悪感を持ちつつ、学校へ向かった。

「ねえ」

「ああ、父さんに悪かったかな?」

「あれだけ落ち込まれるとちょっと考えちゃうよね」

「でも、イヤなもんはイヤだしな...」

そう話しながら登校していると

「おっはよー!」

と声がした。

がダッシュで近づき、背中を叩きながらの挨拶をしたのだ。勿論、一郎に。

「宮原。痛いだろ!?」

「打たれ強いのかと...」

「はははー。この虚弱くんには辛かったんだろうよ!!」

「何で、鷹村さんの真似ばかりなんだ?」

「マイブーム」

「そんなブームは、さっさと捨て去れ」

「鷹村さん?あー、あの夏休みに会った。おっきい人」

「「態度も当然でかいけどね(な)」」

「相変わらず、見事なハモリ。二人三脚、2人が出たらぶっちぎりの優勝だね」

「あー。昔1回だけそれやったことあるよ」

「そっかー。は!」

突然何かに気付いたかのようにが表情を変える。

「何?」

「今日は私とお兄ちゃんは赤組。は白組。私たちは言わば敵同士」

『言わば』も何も...

「残念だけど。今日は兄妹喧嘩してもらうわよ」

「「しょっちゅう喧嘩してる」」

今更だよ。

「じゃあ、。今日はひとりぽっちで居るがいい!行こう、宮田くん」

そう言って一郎の鞄をぐいぐい引っ張りながらは学校へ向かう。

一郎は抵抗するのも面倒くさいようで、そのまま引き摺られながら歩いていった。


『陸上部』には色々制限がある。

単純に走る競技には中々出させてもらえない。

そんな中。リレーも出るけど、こんなのにも出る私。

「あ、宮田さん。アナウンス流れてるよ、頑張って!」

クラスメイトに言われて気付いた出場競技の集合アナウンス。指定された場所へ向かう途中、見たくないものが見えた。

何で?!何であの人たちが??

時間がなくて、問い詰めることも出来ず、勿論追い返せるはずもなく私は只管見なかったことにしようと自己暗示に務めた。


競技の入場中、怖いもの見たさというか、何と言うか。

さっきイヤなものを見たほうを見た。けど、私が見たのは幻だったらしく、そこには人影はない。

心も軽くなり、私は穏やかに順番を待った。

そして、競技のスタートラインに立った途端、大きな声が聞こえた。

!!まあ、せいぜい頑張れよ!!」

幻のままで居てください...

そこには鴨川3馬鹿と父の姿があった。

目立つから!アナタたち目立つから!!

もう、色々挫けそうになりつつも、スタートのピストルの音を聞いたら反射で体は動く。

地面に散らばっている封筒から紙を取り出し、私は一目散に恥かしい集団へと向かった。

紙には『サングラスとその持ち主』と書いてある。

そう、私が何故か出場してるのは『借り物競争』。

観客とトラックの境となっているロープを飛び越え、

「父さん、今日サングラスは?!」

と聞くと

「今日はしてないぞ」

と言う返事が。

もう!何でこんな暑い日にサングラスしないで冬に掛けてるの!!

「俺、持ってるよ」

すぐ傍で木村さんが胸ポケットに入れたサングラスを取り出す。

「木村さん、ステキ!一緒に来て!!」

そう言って木村さんを引っ張ってトラックに戻り、ゴールへ向かって走る。

途中「お花屋さん、いませんかー」と言いながら借り物競争のお題の紙をひらひらさせつつ半泣きの男子が居たけど、木村さんを譲るわけには行かず、とりあえずゴールテープを切った。

「えーと、サングラスだけじゃダメだったの?」

ゴールした後、木村さんは言いにくそうに聞いてきた。

「あ、そっか。コレだったんですよ」

と言って紙を見せたら、木村さんは

「親父さん。折角、ちゃんと走るチャンスだったのにな」

と苦笑しながら答えた。

まあ、運が無かったというコトで。

とりあえず、借りてきたもの、人はもうトラックの中に居なくていいのでお礼を言って別れた。

競技も終わって退場すると、何故か鷹村さんが踏ん反り返って立っていた。

「こんにちはー」

適当に挨拶をしてクラスメイトのところへ行こうとしたけど、さらにその前に立ちはだかられた。

「何で俺様を借りようと思わなかったんだ」

「『サングラスとその持ち主』でしたので。鷹村さん、サングラス、今日は掛けてないじゃないですか」

「木村のをぶん取れば」

「何度も言うようですが、『サングラスとその持ち主』です。木村さんのを取っちゃダメですよ。てか、何でここに居るんですか?」

「おう!親父殿が昨日ジムでご機嫌だった。理由を聞くと、たちが運動会というではないか!」

「体育祭です」

「それで、俺様たちも応援してやろうと、そういうことだ」

「全然その繋がりが分かりません」

「宮田は何に出るんだ?」

人の話、聞いてください。

「騎馬戦とかですよ」

「フォークダンスは一般参加はあるのか?」

「ありません!」

これ以上この人と一緒に居て知り合いだと思われたくないから適当にあしらって去ることを心に決めた。

。陸上部の先輩が探してたよ」

グッドタイミングでクラスメイトが呼びにきてくれてこの場を去るいい口実が出来た。

「じゃあ、失礼します」

「ちょっと待て、

「...何ですか?」

「何でこの学校はブルマじゃないんだ?」

「最近の学校は大抵こんな感じです。...ジェネレーションギャップですね」

一言言い残して私は先輩を探す旅へと出た。





鷹村さんたちも登場。
ヒロイン、心から帰ってくださいと思ったことでしょう(笑)
そして、ここでも『オイシイ』のはキム兄さん。
愛ですね(笑)


桜風
06.12.16


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