最近の目つきが鋭い。
喩えるなら、獲物を狙った鷹の目。そんな鋭さを持っている。
「どうしたの?」
聞いてみると
「うーん。毎年のコンクールが近付いてまして。さて、何をテーマにしようかなと思ってただ今テーマ募集中!は何が良いと思う?」
「何が良いと思う?」と聞かれても私は応えられない。
だって、何がいいのか分からないし、正直、ゲイジュツというヤツに多少なりとも苦手意識を持っている。
がコンクールに出す写真は基本的に風景や動物。人は撮らない。
その理由を聞いてみると
「カメラを向けられた途端に意識されて折角のいい表情が作り物になっちゃうから」
とか。
確かに、カメラを向けられると意外と構えてしまうのが人情だと思う。
趣味で撮る写真でそれはまあ、許せるそうだ。作品ではないから。
「ねー、何かない?」
改めて聞かれた。
そんなこと言われても...
うーん、と唸りながら考えているとが突然
「ね、話は変わって悪いんだけどさ。ジムってところ、行ってみたいな」
と言い出す。
「は?ジムって、ボクシングジムのこと?」
「そう。ほら、夏休みに会った人たち、皆プロボクサーだったんでしょ?もボクシングしてたし、お兄ちゃんもしてるし。どんなところか見てみたいんだけど。...ダメ?」
ダメ、とか、ダメじゃないとかは私が言えた義理じゃないと思う。
「えーと、聞いてみる」
取り敢えずそう返事をして話を終わらせた。
とそんな話をした帰りにジムに寄ってみる。
今日は父さんは他の選手の遠征で居ないから夕飯は一郎と2人だし、この時間にはジムにいるだろう。
予想通り一郎はジムにいて、私が来たことに驚いていた。
「おう、!どうしたんだよ」
練習中の鷹村さんが声を掛けてくる。
「こんにちは。会長は上ですか?」
「ジジイか?たぶん、そうだろう?今日はまだ見てねぇけど」
鷹村さんの返事を聞いてお礼をいい、事務所のある2階へと向かった。
事務所のドアをノックして返事を待つと八木さんの声が聞こえた。
「こんにちは」とドアを開けると「やあ、ちゃん」といつもの人の良さそうな笑みを浮かべている。
「会長は、お部屋ですか?」
「うん、そうだよ。練習に来たのかい?」
「あ、いえ。今日は会長にお願いというか、..お願いかな?に来たので。じゃあ、お部屋に行ってみますね」
八木さんに挨拶をして会長室へと向かう。
「こんにちは」
とノックをして返事を受けてからドアを開けると会長が驚いた表情をしていた。
「どうした、」
「ちょっと、今日は会長にお願いというか...」
「何じゃ、言うてみろ」
会長に促されて今日とした話をすると
「ああ、構わん。写真、を撮るのか?」
「分かりません。気分転換というコトでジムに来たいというコトを言ったのだと思うのですが、カメラは持って来るでしょうし、シャッターも切るかもしれません」
この事があったから、会長に前以て許可を貰っておかないといけないと思った。
まあ、さっき事務所で八木さんに聞いてみると誰も試合を控えていないというからジムの中もそんなピリピリしてないし、大丈夫かなとは思ったけど。
会長は腕組みをして「ふぅむ」と唸る。
「えーと、勿論。彼女が此処で撮った写真をコンクールに出すというなら出品前に会長に確認してもらうようにします」
それくらい、ちゃんとしてくれるだろう。
「いや、それは構わんのだが。うるさいぞ、アイツら」
会長に言われて下にいるプロボクサーたちを思い浮かべた。
た、確かに煩そう...
しかし、はそのうるさい彼らを見た上で言っているのだ。だから、
「覚悟の上かと...」
「まあ、そこまで言うなら構わんぞ。一応、その子がうちのジムに来るときはも一緒に来てやるようにな」
軽い条件付で会長からの許可が下りた。
あ、あれ?早まったかな?
何となく、不安以外胸に残っていない事に気づいた私は今更ながら少しだけ後悔していた。
一度宮原嬢にジムに来てもらおうと思っていたので来てもらいました。
そして、無駄に長くなってしまったので前後編。
こんなに長いエピソードになるとは...自分でビックリです。
桜風
07.7.21
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