清村先輩に勧められて寺務所へと向かう。
先輩のお姉さんはとても綺麗で、でも気の強そうな人だった。
清村先輩の後輩だと紹介されて、そして、別室に案内されてお茶を出される。
「あ、落雁」
「何、宮田妹は落雁好きなの?」
「ええ、一郎は嫌いですけど」
「んじゃ、お前は饅頭でも食う?」
清村先輩に言われて一郎は遠慮した。
日ごろからなるべくカロリーが高いものは口にしないようにしているから。先輩もその理由を聞いて「大変だなー」と言いながら一郎の饅頭も頬張っていた。
清村先輩のお父さんは海外を本当に転々としたらしく、いろんな国の話を聞けた。
しかも、なんと。
清村先輩は海外での一郎の試合を見たことがあるそうだ。
そんなに試合数はなかったはずだからそれなりに貴重なことだ。
「まあ、ビックリしたけどな。同姓同名の日本人か?って思ってたら見た目までそっくりでさ。ドッペルゲンガーかと思った。ネットで調べたらやっぱり俺の知ってる宮田だし。いやはや、世間は狭いと思ったよ」
笑いながら言う先輩に一郎は「そうですね」と適当に返していた。
まあ、勝った試合を見てもらえて良かったよ...
「宮田妹は何やってんだ?」
「ああ、短大生です。けど、4年制に編入しようかなって思って今年受験生ですよ」
笑いながら言うと、「おー、大変じゃん」と清村先輩はニヤニヤ笑いながら言う。精々頑張れと言うように。
「え、てか。お前推薦受けなかったのか?陸上で大学行けただろう?」
思い出したように先輩が聞いてくる。
「ああ、陸上は高校までです。今、健康栄養学部ってのに行ってるんですよ。栄養士目指そうかなって」
応えると清村先輩は一郎を見て
「健気で出来た妹だな。幸せにしてやれよ...」
と涙を拭く仕草をして見せた。
「私のために目指してるんですけど...」
清村先輩に言うと先輩はイタズラっぽく笑って「そっか」と言う。
しばらく話していたけど、外を見れば既に暗くなっている。
「うわ、一郎。帰らないとおばあちゃんが心配する」
私に言われて一郎も外の様子を見て
「ああ、随分日が短くなったからな」
と言って腰を上げた。
「すみません、ご馳走様でした」
そう言って清村先輩に挨拶をすると
「ああ、うん。俺んちじゃないし。あ、お前ら携帯持ってる?」
そう言われて私たちは清村先輩と番号を交換した。
ゆっくり帰っても良いけど、どうせロードをする予定だったし、このまま走って帰れば良いと話した結果、現在おばあちゃんの家に向かって走っている。
「暗いねぇ」
「街灯が少ないからな」
「ね、肝試しに持って来いだね」
「何が『持って来い』だ」
少し怒ったように一郎が言う。
まあ、さっきまでお寺にいたから日が沈んだのを見て一郎の方が早く帰りたがっていたし...
おばあちゃんの家につくとお風呂の方から湯気が立っている。
「ただいま」
「遅くなりました」
「ああ、良かった。迷ったかと思ったわ〜。風呂、沸いとるから。2人とも入りなさい」
「「2人とも!?」」
思わずおばあちゃんの爆弾発言に声を揃えてしまう。
「ん?兄妹だから構わんだろう?」
おじいちゃんまでもそんなことを言う。
「え、構う!」
と私。
「俺、もう少し体を動かしたいから。最後に入らせてくれよ」
と一郎。
おばあちゃんたちはいまいち納得いかないといった感じだったけど取り敢えず頷いてくれた。
ああ、良かったと胸を撫で下ろしてお互いの顔を見たら可笑しくて笑ってしまう。
確かに、小さい頃は一緒にお風呂入ってた。
そんなに湯船は大きくないけど、キャッキャと騒ぎながら父さんと一緒に。
殆ど過ごしていないこの家に意外と思い出は詰まっているようで。
それに気付いて今かなりビックリしている。
書きながら、清村先輩は外国にいったけど、どの国だろうと考えて特定できなかったか、
結局らいろんな国に行ってもらいました(笑)
おじいちゃんとおばあちゃんにとってみたら、孫2人はまだまだ子供ですよね。
まあ、一郎さんと一緒にお風呂に入るのは吝かではないのですが...
20歳超えた兄妹が一緒にお風呂に入るものかと考えると、ちょっと違和感がありますよね...
あ、名前変換がない...
桜風
07.10.20
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