朝は少し肌寒く、いつもと同じ時間に起きれる自分の体内時計を褒めてやりたい。
隣でごそごそと気配がしたから
「?」
と声を掛けてみたら枕が飛んできて
「布団被ってて!」
といわれた。
ああ、着替えてんのか。
言われるままに布団を被る自分が滑稽だが、あのまま顔を出してたらが怒る。
じいさん、ばあさんは俺たちをまだガキのように扱ってお互い拒否したのに寝る部屋を同じにされた。
別に兄妹で何かあるわけではないけど、こういう不便は確実に予想できたと思う。
「いいよ、ありがとう」
そんな声が聞こえて体を起こすとスウェットに着替えたが髪を結んでいた。
「はよ」
とヘアピンを口に咥えて器用にが言う。
「おはよう」
応えながら俺もスウェットに着替えた。
台所に向かうとばあさんが朝飯を作ってた。台所にと父さん以外が立つって凄く新鮮な気がした。
「おばあちゃん、私達、ちょっとそこら走ってくるね」
が声を掛けるとばあさんは振り返って
「ああ、気をつけるんだよ。狸が出るで」
という。
「...狸って肉食だっけ?」
が聞く。
「雑食じゃないか?人は、襲われないと思ったけどな」
俺だって狸の生態なんて知らない。
あまり道を知っているわけではないから、寺とじいさんの家を往復するに留めようと話してそうすることにした。
「気持ち良いね。やっぱり春と秋の朝は」
が空を見上げて嬉しそうに声を掛けてくる。
「まあ、な。ここ、田舎だし空気がいいしな」
応えながら俺も空を見上げる。
取り敢えず、今日は距離が短いから緩急を付けてメリハリのあるロードワークにした。
コースの半分、つまり清村先輩のお姉さんが嫁いだと言う寺の前までやって来て水分補給をした。
「おー、早起きだな」
門の中から声が聞こえて振り返ると作務衣を着た清村先輩が箒を持っていた。
「修行ですか?」
「ただ飯食ってんだから掃除くらいしろって姉貴が」
気の強そうなお姉さんだったからそれもアリだろう。
「お前ら、いつまで居るの?」
「今日の午後に帰りますよ」
そう応えると
「そーかー。もう少し居るんだったらこの辺の散策につき合わそうと思ったのに」
と箒に体重を掛けながら先輩が言う。
取り敢えず水分補給の休憩が終わったので
「じゃあ、先輩」
と声を掛けて駆け出す。
も「失礼します」と言って俺に続く。
「おー、頑張れー」
間延びした言い方で先輩は背中から声を掛けてきた。
家に帰るとばあさんが朝食の仕度を整えて待っていてくれた。
「取り敢えず手洗いうがいしてきなさい。風呂、入るね?」
「あー...後でいいよ」
と。
確かに、2人は俺たちの帰宅を待って朝食をとっていない感じがする。俺もそれに同意して朝食を済ませた。
が風呂には言っている間はシャドーで体を動かす。
縁側にはばあさんが座ってニコニコと俺を見ている。
「一郎は、父さんそっくりだね」
そう呟く。
「いつも母さん似だって言われてるんけど...」
手を止めて返すと
「そりゃ、顔はね。けど、ボクシング一筋なところとか。血は争えないね」
どこか楽しそうにばあさんがそう言う。
「一郎、お先」
生乾きの髪を下ろして肩にタオルを掛けたままが声を掛けてきた。
「ああ」と返事をして俺も風呂を貰うことにした。
風呂から出るとが何かを台所でしている。
「何やってんだ?」
聞いてみると
「おはぎを作ろうって思って。材料揃ってるし。おばあちゃんの大好物だって。一郎も後で働いてね」
が俺に手伝えって言うのは珍しい。
「何手伝えばいいんだ?」
先に聞いておこうと思っていうと
「餅つき」
と簡潔に返事がある。
ああ、そういうことか。力仕事な。了解...
何かさせてもらえるのかと少しだけ期待したのに、予想通りのオチがついた。
寝る部屋は一緒にされた。
私の中ではおじいちゃんの家は大きくて余ってる部屋も多いけど、同じ部屋にされた。
まあ、布団は2つだから無問題。
桜風
07.11.17
ブラウザバックでお戻りください