偶然久しぶりに会った木村さんから聞いたの近況に実は少なからず驚いた。
だって、はいつも宮田君を見ていたし、周りもそれなりに悪くないのがいるから目は肥えているはずだと思っている。
うん、結構普通に思ったら恵まれていないのかな?
ただ、はそんな目で周りを見ていなかっただろうし、周りもを温かく見守るお兄ちゃんたちといった感じだから意外と温室育ちってところなのかも。
少なくとも、恋愛に関しては。
...あ。もしかして高校のときの先輩の。えーと..清村先輩の事だったのかな?だったら、それこそお友達だ。
お友達?ホントに??
少し、いや、かなり寂しいとか思いながらバイトを済ませて帰宅する。
最近は本当に電話もメールも交わしていない。
今日は帰って電話でもして少し探りでも入れてみようか...
「宮原?」
てとてと歩いていると後方から声を掛けられた。
振り返るとジャージ姿の宮田君。
あれ??
「はいないけど?」
「珍しいじゃん。体調、悪いの?」
私が聞くと宮田君は肩を竦ませた。
「いいや。今日は帰りが遅くなるって電話があった」
「...最近多いの?」
聞いてみると宮田君は少し驚いたような表情をして
「まあ、たしかに。此処1ヶ月くらいかな?でも、普通大学生ってのならこういうもんじゃないのか?夜遅くても帰ってくるし、朝はロードに出ているし。が走ってるのは要は習慣と体力づくりのようなものだろうしな。朝だけでも走ればいいだろう」
「ふーん」と言って宮田君を見ると彼も何だか少し寂しそうと言うか、落ち付かないというか。
「で、宮原はなんでこんな時間にウロついてるんだ?」
「バイト。さっき終わったの。少し海外をうろつきたくて資金を手にするためにバイト増やしてんだ。とも結構..ひと月くらいかな?全然会ってないよ」
私の言葉の何処に驚いたのか、宮田君は驚いた顔をして「電話とかメールも?」と返してきた。
あ、海外は驚くところじゃなかったんだ...
「まあ、ね。今日は電話でもしてみようかと思ったけど、友達と居るんだったら電話しても悪いね」
仕方ない。今度昼間にメールでもしてみよう。
しかし、自他共に認めるシスコンお兄ちゃんの宮田君がこんだけ落ち着いているということは、木村さんが見たのは本当にお友達だとか?
いいや、寧ろこの兄は妹に安心しきってるね。
きっとそうだ。
木村さんの目撃証言をここで口にしたら動揺するだろうか。
ああ、見てみたい。
宮田君が動揺する姿。
いや、もしかしたら強がって努めて冷静な自分で居るかも...
ああ、見てみたい!!
でもガセとか勘違いって言うのもあるし、他人の勘違いで問い詰められるであろうが気の毒だからとりあえず裏を取ってからお兄ちゃんに私的に面白おかしく装飾して話してみよう。
「さっきから何ブツブツ言ってるんだ?疲れてるんならバイトのペース、元に戻したら?」
呆れた口調で宮田君が言う。
「ああ、うん。大丈夫。ドンマイ」
「そりゃ宮原の方だ」
宮田君が冷静に突っ込みを入れる。
「で?もう帰るだけ?」
腰に手を当てて宮田君が聞いてきた。
「うん。まっすぐおうちに帰るのです。宮田君はまだ走るんでしょ?」
「まあ、宮原を送ったらな」
と意外な言葉が返ってきてびっくりした。
「何で?」
「時計、見てみろ。もう遅いだろうが。こんな時間に偶然会った宮原を一人帰らせたと知ったらに怒られるに決まってる。『は普通の女の子なんだからね!』とか何とか言いながら」
ああ、そうか。は普通の男が襲ったりしてもカウンターだか何だかで返り討ちできるもんね。
宮田君の女の基準ってだもんね。
「でも、こんな夜遅く私と歩いている姿を誰かに目撃されて勘違いされたら宮田君、凄く困るんじゃない?」
みたいに周りが騒ぐぞ、と思って聞いてみると
「確かにそんな迷惑好き好んで被るつもりはないけど。それを理由にに怒られるのって結構面倒だからな」
と返された。
もの凄く失礼な一言をさらりと言うこの宮田一郎にちょっとムカついた。
「私だって迷惑だけど。宮田君がにそんなに怒られたくないって言うなら、協力してあげましょう」
返すと宮田君は「そりゃ、どうも」と肩を竦めた。
意外、でもないか。
宮田君が私の歩調に合わせて歩いているのに少し驚いたけど、と歩いてて自然とそれは身に着いたんだろうな。
この話で一郎さん本体(?)が出てくるのは此処だけです。
一郎さんもヒロインの噂は知りません。
まあ、これは宮原嬢が読んでいた通りですね。
桜風
08.6.21
ブラウザバックでお戻りください