夕方からは大学の友人たちとの飲みがあり、何か買い物があったような気がして昼過ぎに家を出た。
しかし、何が必要だったか思い出せず、適当にブラブラしていると知ってるやつを見かけた。
「!」
名前を呼ぶと彼女は振り返りキョロキョロと周囲を見渡す。
この人ごみの中だから仕方ないかもしれないと思って軽く手を上げて振った。
はちゃんと俺に気がついて小走りでよってきた。
「こんにちは、清村先輩」
「おー、ちょい久しぶり?」
「4月以来ですから、そうですね。半年..か」
指折り数えながらが言う。
「お前、今暇?」
「...はい。まあ」
あいまいに、様子が分からないといった風に頷く。
「俺も暇」
「そう、ですか...」
首をかしげながら相槌を打つ。
「と、いうわけで俺に付き合わないか?奢るから」
は苦笑し、「仕方ないですね」とやっと飲み込めたといった感じに笑って頷いた。
「つか、それ何だよ?持つか?」
の荷物は意外と大きい。
ハンズの袋に入っているから家庭用品とかリビング用品とかそういうものだろう。
「あー、木工用品です」
「は?木工用品??」
聞き返すとはコクリと頷いた。
「何でまた...」
「小さな椅子が欲しいって言うのが居るから...」
「宮田?」
聞くと苦笑して首を横に振る。
「です」
「あー、あいつ。何に使うんだろうな」
「写真でしょうけど」
「けど、何であいつのためにが作るんだ?」
心から不思議だ。
「誕生日が近いから、誕生日プレゼントにしちゃおうかと思って。せっかくだから手作りで」
そう言っては笑った。
「手伝ってやろうか?」
家事全般こなすらしいが、さすがに日曜大工までは無理だろう。
「ああ、いいですよ。別の人が手伝ってくれるので。一郎は、そもそもこういう手先を使うものはダメだからって申し出てくれたんです」
断られてなんだか少しショックだった。
いや、そもそも何で俺はショックを受けるんだ?
自分自身の感情がイマイチ分からない中、少し離れたところから男が駆けてくるのが見えた。
そしてその背後から腰の曲がったお婆さんが一生懸命その男を追いかけるように手を伸ばす。
「だ、誰か...!ひったくりだよ!!」
おばあさんの言葉を聞いてがハンズの袋と肩からかけているバッグを俺に押し付けた。
「おばあさんの方、お願いします!」
俺らの横をすり抜けていった男を視認して駆け出した。
これだけごった返している人ごみの中でもは殆ど人にぶつかることなく、すり抜けていく。
「大丈夫ですか?」
は足もあるし、腕もあるから大丈夫だろう。
そう思ってお婆さんに向かっていき、手をさし伸ばす。
「あ、ええ...けど、さっき女の子が...」
心配そうにが消えたその先を見て呟く。
確かに、普通は心配だ。
せめて男である俺が行くべきだろう。
しかし、残念なことに俺よりものほうが強いのだ。これが現実。
誰かが110番したのか、警官が駆けてきた。
2人の警官のうち一人がおばあさんを保護する。
「おばあさん、これ、ちょっと預かってもらえますか?」
俺も一応が気になるから追いかけることにした。これだけの人ごみの中だったらもう追いついて伸しているかもしれないし、俺自身この人ごみの中で全力疾走することは不可能だから安心して走れる。
警官と一緒に駆けて行き、その先にの姿を見つけた。
一応、犯人を伸したあとらしく、はバッグを取り返したところだった。
「!」
声をかけると彼女は振り返って手を振る。
「...!あぶねぇ!!」
伸したはずの男が立ち上がり、に向かって傍に落ちていたらしいビンを振り上げていた。
くそっ間に合わない...!!
しかし、そのビンはの頭をかち割ることはなかった。
引ったくり犯の背後にまた別の男が立っていて、そいつが引ったくり犯の腕を掴んで止めている。
ほうっと息を吐いた。かなり血の気が引いた...
清村先輩を出してから一度はやってみたかったお話。
長くなるかもしれないと思ったので、前後編です。
ヒロインもってもて〜vvv
桜風
09.5.16
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