クロワッサンと苦い思い出 ―前編―





「宮田選手。苦手な食べ物とかありますか?」

ボクシングにどう関係するのだろうか...

時々記者にそんな質問をされが、正直うんざりだ...

「クロワッサン、はあまり好きじゃないですね」

「へえ?似合うのにね」

似合うって何だよ...

けど、最初から苦手だったわけではない。






突然俺の席の前に立った数人の女子に聞かれた。

「ご飯と、味噌汁と..納豆。引き割りで」

「えー!宮田くんにはクロワッサンとコーヒーだよ!!」

そう叫んだ女子は逃げるように去っていった。

朝食は何を食べるのかと聞かれたから応えたのに、何だってこんな非難がましい目を向けられてさらに非難するような声で叫ばれてあまつさえ、逃げるように去られなければならないんだ?


「あー、その女子って4組の子でしょ?」

家に帰ってに今朝の女子の話をすると笑いながらそういう。

「そこまでは知らないけど...」

全く興味がない。

何より、名乗りもしないで人んちの朝ごはんの献立を聞いてきたんだから。

「何でが知ってるんだよ」

「態々うちのクラスに来て確認しに来たのよ。『宮田君の朝ごはん教えて!』って」

暇な奴らだ。

「そもそも、朝ごはんをクロワッサンだけって..それムリ!絶対何をどうしてもお腹空く!!」

が力説し、そうなんだろうなーと思った。



「おー、宮田君。どうしたね?」

家から少し離れたところにあるパン屋に足を運んだ。

「...宮原」

「ん?明日の朝食を買いに来たの?クロワッサン!」

そういってケラケラと笑う。

まあ、と同じクラスなんだし、が言うには、女子の情報網というのは侮ってはいけないらしいから確かに、知っていてもおかしくないんだろうけど...

「というか、何で宮原がここ居いるんだよ」

聞くと返事をする代わりにいつも持ち歩いているカメラを軽く掲げた。

なるほど。

「そうだなー、」と目の前の宮原はなにやら悩み始めた。

「よし!仕方ないから、明日時間を空けてあげるよ」

「誰も頼んでないぞ」

「美味しいクロワッサンのお店、知ってるの。あ、もちろんお兄ちゃんの奢りね?!」

何でだ...

「じゃ、えーと。2時に駅前ね。電車使って移動だから」

「おい、こら」

宮原はスキップしながら去っていった...

俺の奢りか...


無視をすればしたでうるさいだろうから出掛けることにした。

「あれ?一郎お出かけ?」

ひょいと顔を覗かせてが言う。

誘っても良いが、と宮原は混ぜると煩いからな...

「そ。夕方には戻るよ」

そう返して家を出た。

駅前に1時55分について待つこと30分。

...30分!?

「あっはー!ごめん。寝坊!」

「午後だぞ!?」

「休みの日は惰眠を貪る!これぞ正しき休日の過ごし方!!まあ、いいじゃん。こうして忘れずに出てきたんだし」

言いだしっぺはお前だ、宮原...

疲れるな、と思いつつも宮原に連れられて美味しいクロワッサンを食べられる店とやらに行った。

確かに、美味い..と思う。

「ど?美味しいでしょ?他と比べたらよく分かるよね」

上機嫌で言う宮原に「や..」としか返せない。

「えー?美味しくない?」

「じゃ、なくて。俺、クロワッサン食ったことないんだよ」

「どこの星の生物だ?」

真顔で返された。

「ホントに?も??」

は、あるんじゃないか?部活帰りとか買い食いしてたみたいだし」

「あー...確かに。部活の後の買い食いとか結構してたみたいだね。クロワッサンなら軽いから、軽食というか、夕飯前のおやつに良いかも」

そういって宮原は俺をまじまじと見る。

「お兄ちゃん、初めてか...」

「うるさい。というか、俺の場合は記憶に残ってないっていうだけのはずだ」

「いやぁ、お兄ちゃんの初めて頂きました!」

馬鹿にしやがって...!

これもあるから、を連れてこなかったんだ。

けど、クロワッサン。

確かに、腹にたまらないからこれで朝食ってのはムリだな...



某方が、バトンで一郎さんの朝食について仰られていたのを見て「なるほど〜」と。
まあ最初見たときに私が思い込みで『クロワッサン』って思っていたのですが、もう一度確認したら『トースト』...
思い込みって怖いですね!(笑)
そして、無駄に前後編です。


桜風
09.8.15


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