「やあやあ、木村さん」
声を掛けると木村さんは私を見て目を丸くし、そして、隣に居る人物を目にして少しだけ表情が変わった。
ホントに少しだけ。
今日は私の誕生日プレゼントを作成してくれるとのことで、宮田家を訪ねた。
途中、軽くストーカーですか?と聞くべきか悩んだ清村先輩が居た。
声を掛けると何となく狼狽していたのが楽しかったので、宮田家に案内してあげることにした。
「何で宮田家に??お兄ちゃん??」
「今日は..って何でお前が宮田家に用事があるんだよ!」
「今日は私の誕生日プレゼントを親切心によりの手伝いをしてくれる木村さんが作ってくれるって言うから」
「...普通、誕生日当日に貰って嬉しいとか言うんじゃないのか?」
「だって、これは私が撮影のときに使いたいって思っているものだから、やっぱり使いやすいものじゃないとイヤじゃない。貰っても使わないなんてに失礼よ」
「作ってやる木村のほうじゃないのか?」
あれ?とちょっと違和感。
「清村先輩って、木村さんのことを知ってるんですか?」
清村先輩は少し視線を彷徨わせ、「この間ちょっと、な」と答えた。
何だ、面白い事件があったのではなろうか?!
ああ、何か決定的な瞬間を見逃してしまったのか...ちょっと悔しいぞ??
「どんな面白いことがあったんですか?」
「面白いを前提に話をするな」と清村先輩が苦い顔をして言う。
「まあまあ、細かいことはひとまず置いて。で?どんな面白いことがあったんですか?」と繰り返して言うと渋々話し始める。
...なるほど。それはぜひとも同席したかった。
そんなVSな雰囲気を前にのんびりしていた親友の表情を思い浮かべると何だかおかしくなる。
「あ、着きましたよー」
宮田家の前にたどり着いた。
インターホンを押すと「はーい」と庭先で返事がある。
なんだ、庭に出ていたのか。
そう思っているとがやってきて、清村先輩を見て目を丸くした。
「先輩、どうしたんですか?!」
「手伝おうと思って」
「私のために、椅子を作りたくてウズウズしたらしいのよ。仕方ないから、手伝わせてやって?」
清村先輩が睨んでくるけど、此処で追い出されたいのデスカ?という気持ちをこめて視線を返してみたらどうにかそれは伝わったらしい。
先輩は大人しく口を噤んだ。
「木村さん、もう来てるよ。先輩も、どうぞ」
まあ、何か手伝ってもらえるならそれでいいだろう、と思ったのかは特に深く追求してこなかった。
「どうにか第一関門クリアですね」というと「うるせぇ」と返された。
私としては、木村VS清村なんて構図が見られるのが楽しそうなので全然オッケー。
寧ろ、『宮田君も持ってこーい!』って感じだ。
「お前、何か黒いドロドロとしたものが垂れ流しだぞ?」
清村先輩は声も表情もげんなりしたものとなっていたが、それがどうした。
楽しそうだから、先輩を連れてきたのだ。
逆に楽しくならなかったら大誤算だ。
「庭に直接回るねー」と声を掛けると「はいはい」とが苦笑した。
「やあやあ木村さん」
声を掛ける。
木村さんは現在道具箱の中身を確認していた。
「え、何で?」といいながら振り返った木村さんは、別の意味の『何で』が頭の中をグルグルとしているようだ。
とりあえず、ボクシングで言うところの..ジョブ?だっけ?成功したって感じだね。
うん、うん。楽しくなりそうな時間が始まった。
宮原嬢は『楽しい』か『楽しくない』かで行動の基準が決まっています。
まあ、鷹村さん属性なとことがあるので(笑)
彼女にかかれば先輩も知り合いの年上も楽しい出来事の要因のひとつです。
と、いうわけで。
宮原嬢の誕生日プレゼントの作成です。
えーと、『versus』の続きに当たりますか。
後編に続きます。
桜風
10.1.16
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