うそ





「そういえばさ」と電話の向こうの親友の声が含み笑いをしている。

よからぬことを考えているな、とは思った。

思ったが...

「乗った!」

内容も聞かずに返事をすると、親友こと、が声を上げて笑う。

、まだ何も言ってないよ?」

「面白いことなんでしょ?」

「まあ、ね。私にとっては、面白いと思う」

の返答を聞いて私は頷く。

「だったら、大抵私も面白い」

私の言葉が面白かったらしくてはまた声を上げて笑った。『ケタケタケタ』という擬音が似合うその笑声は聞いていて気持ちが良い。

「んじゃ、これから家に来れる?」

の一言でターゲットが誰かと言うのが分かった。

「りょーかい!」

そう返事をして部屋を出る。

ドアの目の前、ノックをしようとしたその姿勢で固まっていた。

「どうしたの?」

「や、今日俺が買い物行こうかと思って...」

殊勝な心がけだ。

というか、一郎に任せられる家事が少ないから、力仕事は大抵任せる。

「んじゃ、ちょっと待って。メモ渡す。私はこれからの家に行って来るから」

私の言葉に一郎は眉間に皺を寄せる。

「宮原?」

「うん。何?」

「また良からぬこと、考えてんだろう」

言い切られた!

「んなワケないじゃない!は私の親友よ?」

「だから、言ってんだよ。ったく...」

あ、自分がターゲットってのも込みで文句言ってるんだ。凄いなぁ...


一郎にメモを渡してそのまま家を出る。自転車を漕いでの家に向かった。

夕飯を作る時間までには帰らなくてはならないので意外と時間がない。

インターホンを押すとおばさんが出てきて「いらっしゃい」の後に「宮田選手、元気?」といつもの挨拶がついてくる。

「ええ、元気にトレーナーしてますよ?」

そう返すと、「宮田選手って引退しても全然色褪せないのよねー。寧ろ益々色気がにじみ出てきているって言うか...」と父さんを語り始める。

父さんに『色気』とか言われても娘としては物凄く困ることで、「はぁ...」と曖昧に返していると「!」とが助け舟を出してくれる。これが宮原家を訪れると必ず行われる儀式のようなものとなっている。

「あら?宮田君は来ないの?」

首を傾げるおばさんに「お兄ちゃんは忙しいの!」とが返してそのまま私の手を引いて部屋に入っていく。

「お茶が出来たら声掛けるから出てらっしゃいよ」と声を掛けられ、ドア越しに「はーい」とと声をそろえて返事をした。


「で?何を思いついたの?」

「来月、何のイベントがあるでしょうか!」

来月、といえば4月で。

4月...?

「入学式」

「残念!寧ろ、そんなもの、どうでも良い!!」

新入生に失礼なことを言いながらは首を横に振る。

「じゃあ、始業式」

「春休みって何でこんなに短いんだろう...?」

違うらしい。

「じゃあ、みどりの日?」

「行き過ぎ!もっと戻って、巻き戻し!!」

4月の半ば?

「じゃ、なくて。1日!これで分かったでしょ??」

は時々エスパーだ。

「1日?あ!」

「やっと気が付いてくれた!そう。エイプリルフール!嘘をついても良い日デース」

いや、なんか違うような...

でも。ま、いっか!

「で?何するの??」

聞くとはにんまりと笑う。

この表情、どこかで見たことある。

そう思ったらぱっと浮かんだ。どこかのお兄さんの悪い顔そっくりだ。

詳しい内容を聞こうと思ったら部屋のドアがノックされて「お茶にしましょー」とおばさんから声を掛けられた。

「詳細は後ほど」

そう言ってがドアに向かい、私もそれに続いた。

最近、は大人しくしてたからそろそろウズウズしてきたんだろうなぁ...



「今日のお夕飯は何?」

シュークリームを買ってきたのよ、と言ってお茶を出してくれたおばさんととテーブルに着いてお茶を飲んでいるとおばさんにそういわれた。

「えーと、エビチリと、ニラの卵とじのスープと、あとサラダかおひたしを考えています」

「なるほど。良いわね。、あとでエビとニラ、買ってきて」

「丸パクリじゃないのよ。もっと創造力を働かせてよ!」

「何を言う!あなたは食べるだけなんだから買い物くらい行ってよ」

とおばさんは友達みたいな母子関係だと思う。おじさんとはあまり言葉を交わしたことが無いから良く分からない。

「ところで、ちゃんはいつ泊まりに来るの?」

おばさんが真顔で言う。

「へ?」

「唐突すぎ..いや、それ良いね!!」

以前から時々の家には泊まりに来ている。だから、初めてとかそういうのではないが、おばさんの中で既に泊まるとかそういうのが決定済みのようで驚いたけど...

?」

貴女までなんで突然乗り気なの?!

「明日。明日、夕飯をカレーにしてうちに泊まりにおいで。カレーなら後は各自の責任において食べればいいんだし!」

「いいわね。明日の夕飯はカレーにしましょうか」

「お母さん、人んち丸パクリじゃない!」

「で、が作ってくれるの。完璧ね!」

「どこがー!!!??」

とおばさんのテンポの良い会話を耳にしながら首を傾げる。何で、私の意見は聞かれていないんだろう...

考えれば考えるほど可笑しくなって思わず笑うととおばさんの会話が止まって、2人は顔を見合わせ、やがて笑い始めた。



「一応、巻き込める人は巻き込もうって思ってるんだけど」

お茶の時間が終わって部屋に戻るとが言う。

「巻き込める人?」

「ほら、ジムのお兄さん」

「...良いけど。一郎、鴨川出たから情報が漏れにくい点では良いと思う。で、何をするの?」

「さすがに悲しい嘘はやっぱり吐けないと思うのよ」

そりゃそうだ。

頷くと「で、だ」と言う。

そこからが考えた壮大な計画が披露された。

何でそんなにネタがあるの??

不思議で仕方が無い。

この子は写真以外にも才能あふれているようだ。




4月スタートでエイプリルフール。
でも、これあと2つあるから終わるのは6月(笑)
今現在でもエイプリルフール終わったのに、いつまで引っ張るのか...
よろしければお付き合いくださいませ。


桜風
10.4.17


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