女の子としての魅力





ちゃんって、ポイント高いよな」

俺は偶に木村さんはどこかオカシイんじゃないかって思うときがある。

身内を褒められて嫌な気はしない。けれど、褒め方がどうにもしっくり来ないのだ。

「ポイント?」

「そ」と木村さんは頷く。

「木村さんの言う、ポイントって何ですか?」

「『ありがとう』がいえる」

「そんなもん常識でしょう?というか、ポイントって何の?」

さっきからそれについて聞いているのに。

「んー、女の子としての魅力って事かな?宮田、覚えておけ。お前は『常識』っていうけどな、『ありがとう』が言えない子って多いんだぞ?特に身内とか長い付き合いの人に対してとか。偶に聞くのは家族を車で送ったら何も言わずに降りるとかなー。ちゃんは絶対に『ありがとう』が漏れなくついてくると思う」

指摘されて思い出せば、確かに。

無理やり荷物持ちに引っ張ってかれても家に帰れば「ありがとう」がある。


「『ありがとう』と『ごめんなさい』はきちんと言えるようになりなさい」


ふと思い出したその声。

「親父さんの教育?」

「...母親、ですね」

「ふーん」と木村さんが相槌を打つ。

「同じ教育を受けたのに、お前は無愛想だな」

不思議だな、と木村さんが言う。

「性格でしょうね、生来の」

しみじみといわれたらムカつくものだな...



「ただいま」と家のドアを開けるとカレーの匂いがした。

「おかえりー」とが台所からパタパタとやってきた。

「醤油は?」

「これだよな」

いつも使ってるやつはこれのはず。

「これこれ。ありがとう」

そう言っては醤油を手にして戻っていく。

カレーの隠し味だと言いながら今日、家を出るときに買って帰るように言われた。有無を言わさない迫力で。そんな迫力出さなくてもお使いくらいするのに。

けど、お使いをして帰れば「ありがとう」がある。

いつも聞いているからこっちも当たり前の言葉だったが、そうか..言えない人も居るのか。


「今日、木村さんに会ったんだ」

夕飯の支度をしているを手伝いながら言うと「遭遇率高いねぇ」と笑う。

...確かに。

「また待ち伏せ?」

「いや、本当に偶然..だと思う」

「それで?」

「最近は『ありがとう』が言えない人が多いって話になった」

「あら、世知辛い世の中ね」

「...ババくせぇ」

思ったことが口に出てしまった。

にこりと笑顔を浮かべてが脇を小突いてくる。

足を踏まれるものと思っていたからそこはガードしてなかった。

「ガードが甘いよ、チャンピオン」

勝ち誇ったようにニッと笑ってが言う。


確かには「ありがとう」が言える。けど、結構凶暴なところがある。

それでも、ポイントは高いのだろうか...


次、木村さんに会ったら聞いてみよう。

けど、木村さんは贔屓だから「そこもいい」とか言い出しそうだ...



ニノのソロを聞きながら浮かんだのです。
このテーマで某企画に投稿しようかと思ったのですが、
元ネタがJ事務所のタレントの歌詞ってことで
ちょっとやめた方が良いのかなと思って拙宅で採用。
意外と少ないんだってね、「ありがとう」がいえる人。
昔それを言われたのを思い出したよ。


桜風
11.4.16


ブラウザバックでお戻りください