あけおめ ‐前編‐




確か、今日おじさんたちが帰ってくるって言っていた。

いつもの習慣で朝早く目が覚めたからリビングの片づけをする。

昨日、帰る前に一郎は勿論、木村さんと清村先輩も片づけを手伝ってくれたけど、全部片付けると時間が掛かりそうだったから帰ってもらった。

どうせ私は朝早く起きるに決まってるんだから。

そして、予想通りに早起きをして片づけを始めた。

は昨日酔いつぶれて寝たから、睡眠時間的には充分だろうけど、お酒を飲んで寝ると眠り自体が浅くなるのであまり良くないと聞いたことがある。

つまり、寝ても寝たりないのだろう。

トントン、と重い足取りが階段を下りてくる。

「はよー...」

欠伸交じりにドアを開けたが声をかけてくる。

「おはよう」

「年寄り並みに早起きね」

呆れたようにが言う。

「お褒めに預かり光栄です」

と返すと彼女は苦笑して「ちょっと顔洗ってくる」と言ってリビングを出て行った。


「わお!」

スクランブルエッグと、グリーンサラダ。ベーコンも焼いて、トーストにマーガリンを塗る。

コーヒーを淹れていると、朝の支度を済ませたが戻ってきた。

「パンで良いんだよね?」

「オッケオッケ、大丈夫。、嫁においで!」

「父さんと一郎の面倒見なきゃいけないから...」

「そっか。私は舅も小舅も要らないわぁ」

笑ってがいい、「食べていい?」と聞くから「どうぞ、召し上がれ」と頷いた。

「いっただっきまーす!」

パチンと手を叩いて彼女はそう言い、パンに手を伸ばす。

「ねえ、

「んー?」

コーヒーを飲む。

家の豆と違うから味も違う。

「初詣、行こうよ。今年はちょっと足を伸ばして、遠くにさ」

「いいよ。車?」

「混むでしょ?」

「お正月なんて、どこも混んでるよ。それこそ、足を伸ばすって、有名な神社とかに行くつもりなんでしょう?」

「渋滞が嫌いなの。電車が混むのは、諦めがつく。少なくとも、人ごみにもまれている間も電車は進むもの」

なるほど...

「いいよ。じゃあ、大晦日に出発する?」

「そのほうがいいかもね。完徹大丈夫?」

「もういい大人だし」

笑って言うと「言われてみればそうねー」と返された。


朝食を済ませて片づけを再開。

殆ど片づけが終わったところで、丁度おじさんたちが帰って来た。

「おかえりなさい」

と共に玄関までお出迎えをすると

「中々新鮮で良いなぁ」

とおじさんが零す。

「オッサン」

が言うと

「遠からずそうだろう」

という言葉が返ってきた。

「お土産あるわよ。ちゃんも一緒に食べましょう」

とおばさん。

お相伴に預かっていると、キッチンの隅に置いていた瓶をおじさんが見つけた。

「...?」

「ん?」

「アレは、私のじゃないかな?」

「あ、そうそう。ご馳走様ー」

おじさんは自分の秘蔵っ子が飲まれたことに気がついた。

「美味かったか?」

「超美味しかった!」

がそう返すと

「ま、あれはのような子供が飲んでもさほど勿体無いものではないからな」

「...は?秘蔵っ子って言ってたじゃない」

「それなりに、ではあるが。まだ秘蔵っ子じゃない。味が深くなかっただろう?」

得意そうにおじさんがいう。

ああ、そうかと納得してしまった。

娘が大騒ぎをすると聞いてそこまで秘蔵のものではないものを態々『秘蔵』と言っていたのだ、おじさんは。

落語の『饅頭怖い』の原理と言うべきか...

そんなことを考えているとおじさんと目があった。

にやっと笑ったおじさんは、なんと言うか。イタズラが成功した子供のような表情をしていた。



昨年、めりくりが長くなってしまったので、今年その続きであけおめ。
しかし、これも1月には終われないようです。
まだ書き終わってないけど...
いっそ、1年かけてあけおめるか?!(無理)


桜風
11.12.18


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