「というわけで、暇ですよね?」
「バイトだよ」
「うっわ、学生そのものな生活じゃないですか」
「学生だからな!!」
大晦日から出発して、ということで夜中の移動になる。
は大丈夫だって言ってたけど、面倒なことになりかねない。
はどんなに強くても、見た目はか弱い女の子なのだ。そして、私も。まあ、私の場合は見た目も中身もか弱いのだが...
女の子2人で歩いていれば、声をかけてくる不届きな輩が居る。
一々相手にするのが面倒くださいと言うこともあって、ひとりくらい男を連れて行こうとと話した。
ベストは、お兄ちゃん。
好きなだけ面倒をかけられる。
しかし、が唸った。
「試合が近いの?」
「ううん。ただ、後援会の関係で難しいかも」
後援会?!そんなもんあるの??!!
「え、だったら。もその後援会に...」
「一郎が、あんまり好きじゃないのよ。私がそういうのに顔を出すの」
お兄ちゃんゆえの心配事だろうか。
そう思ってをチラッと見ると何となく違うような気がしてきた。
勿論、その後援会で同じ年代の子供を持っているおじさんとかおばさんが居るだろうからに声をかけたりする人も少なくないかもしれない。
けど、そうじゃなくて、が必要以上にその人たちに気を遣うんじゃないかな?
それは、お兄ちゃんとしては面白くないと言うか、心配だろう。
「じゃあ、お兄ちゃんは無理か」
「うん、ごめんね」
「ああ、いいよ。お兄ちゃんはそれも仕事のうちだからね。じゃあ、そうだなぁ...木村さん?木村さんって後援会あるの?」
「わかんない。聞いたことないし」
「そっか。あ、清村先輩も使えるよね」
「...、先輩に対して『使える』はどうかと思うよ?」
たしなめられてしまった。
「一応、清村先輩に連絡してみるね」
そう言うとは「別にいいのに...」と最後まで清村先輩と木村さんに気を遣っていた。
「じゃあ、清村先輩、無理ですか」
「無理」
「なら、木村さんに頼もうっと!」
「宮田は?兄貴の方」
「宮田君が来られたら、清村先輩に態々声をかけませんよ」
そう返すと「あー、そうかよ」と投げやりな言葉が返ってきた。
「宮田君は、後援会の何かがあるかも知れないって」
「後援会?んなもん..あるか。あいつはどこかのチャンプだもんな」
「おじさんも有名な選手だったから、その当時を知ってる人たちが再び後援会を組織したんじゃないですか?」
「詳しいな」と言う清村先輩に「マブダチですからぁ?」と少し嫌味っぽく返しておいた。
「一方通行じゃなきゃ良いけどな」
清村先輩の捨て言葉。
あー、腹立つ!!
「いらっしゃい、珍しいね」
腹を立てながらその足で木村さんの家に向かった。
店の中をのぞくと背後から声をかけられて慌てて振り返った。
「ビックリした...」
「ああ、ごめん。そうそう。この間はありがとな」
木村さんの言葉に心当たりがなくて唸っていると「クリスマス」と言われて納得した。
「親父さんに怒られなかった?」
「あれ、ダミーだったらしいです。秘蔵っ子」
「マジで?!」
「たばかられた」
「やっぱ、年の功かぁ...」
唸る木村さんに思わず苦笑した。
「ところで、どういったものをお探しですか?」
店員の顔をして少しおどけたように木村さんが言う。
「木村さん」
「...は?」
首を傾げる木村さん。
との計画の話をすると「宮田は?」と清村先輩と同じ事を聞く。
「後援会の何たらがある可能性が高いそうです。ちなみに、木村さんは後援会ってのあるんですか?」
「実質この商店街がそうだけど。宮田みたいな組織的なのはないな」
「やっぱり!」
「何が?」
半眼になって木村さんが言う。
「いいえ〜」
とぼけてそう返した。
「で?俺を探してたんだろう?まあ、宮田が無理って言うならいいよ」
とあっさりオッケーされた。
「良いんですか?」
「うん。正月はもう忙しくないし。大晦日の夕方ともなれば客も商品も少ないから大丈夫だと思う」
「木村さん!さすがです!!」
顔の前で手を組んで見上げると木村さんは仰け反るように私から距離とを取った。
「な..なに?」
「いいえー」
『使えますね』と言おうものなら、良い笑顔で指導されそうだ。
寧ろ、に伝わって説教されるに決まってる。
「集合は駅?」
「未定です。時間と場所が決まったらメールしますね」
「ん、了解。ところで、2人は晴れ着?」
「揉みくちゃになるのをわかって何故、それをチョイスすると思ってるんですか?」
「俺が見たいから?」
「...オッサン」
笑顔で突っ込むと木村さんは笑って「ちゃんよりは年上だからね、概ね間違いじゃないよね」と返してきた。
ここら辺の木村さんの余裕っぷりは感心する。
清村先輩、見習った方がいいのでは...?
1月の更新だけど、まだ初詣に行っていないという...
次回行きます、
次回行きますけど、これだけ引っ張って...?といわれそうで怖い(笑)
桜風
12.1.21
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