突風が吹いた。
「わわっ!」とが声を漏らす。
両手に持っている買い物袋でバランスが取れないようで、たたらを踏む。
「下半身鍛えたらどうだ?」
「鍛えてるじゃん」
確かに毎日毎朝たまに夜走っているから下半身は鍛えているとはいえる。
「てか、下半身ムキムキの女子ってどうなの?!」
「女子...」
思わず零した単語にはふらついているクセに足を上げて俺の足を蹴る。
「てか、一郎も1個持ちなよ」
「じゃんけんだって言ったの、お前だろう」
小学生の頃、学校からの帰りにランドセルを運ぶのにじゃんけんをして荷物持ちゲームをしていた。
それを思い出したらしくはさっきじゃんけんを言いだした。
俺を買い物に連れて行くときは無駄に荷物が多いとき。なのに、そんなことを言い出して俺は驚いた。
というか、俺は「本気か?」と一度だけ確認した。
ただ、なぜかは自分のほうが勝つという、根拠のない自信があったらしい。
は、俺と共に筋力トレーニングをしていたりするし、ほぼ毎日走っている。
だから、体力的には同じ年の女子に比べてあるはずなのだが。
今日に限っては、その体力を相殺するような強風。
「春一番だなぁ...」
「さ、じゃんけん!」
電柱3本分、ということのじゃんけんだった。
「俺が持つって」
「勝ち逃げ!」
さっきよたよた歩いていたのは誰だよ。そもそも、俺を連れてきた理由を思い出せって...
けど、そう言っても「じゃんけん」しか帰ってこないのは目に見えている。
「はいはい」
じゃんけんの結果、俺の勝ち。
「何で一郎が勝てるのよー」
「良いだろう、俺の勝負運は強いに越したことはない」
「こんなところで使うなー!」
せめて風除けになれる方に立って歩いていると、「あいたっ」とが小さな声を上げる。
「どうした?」
「目の中に埃が入ったかも...」
「大丈夫か?」
「一郎、目薬」
「持ってるわけないだろ。もうちょっと歩いたらコンビニだから。とりあえず荷物かせ」
そう言っての持っている買い物袋を全部取り上げ、腕を掴ませた。
さっきから埃が入ったと言っている方の目を瞑っているから危ない。
「何してんだ?」
あー、このタイミング...
溜息を吐いて振り返った。思ったとおり鷹村さん。
後ちょっとでコンビニだったのに。
を見て、俺もこんな表情をしてるのかなと思った。
「相変わらずの仲良しコンビはどうしたんだ?」
「...目の中に埃が入ったんです」
渋々が答える。
「そういえば、」
深刻は表情をして鷹村さんが言う。
「何ですか、凄くどうでもいいことを言われそうな気がします」
「何でスカートじゃないんだ?こんな風の強い日に...!」
「物凄くどうでも良いことですね」
の言葉に俺も賛成だ。
「何だと?!目の中に埃が入ったのだって、きっとその天罰だぞ!!」
力説する鷹村さんにはこれ見よがしの溜息。
「なら、甘んじて受けましょう」
ビュウと風が吹く。
「うわっ!」
鷹村さんが慌てた。
「くそっ!俺様の目にも埃が入った...」
「スカート履いてないからですよ」
が言う。
待て、一瞬でも想像してしまったじゃないか!!
鷹村さんも同じらしく、「俺様が悪かった...」と反省の色を見せる。
「後少し行ったらコンビニですから、目薬を買おうと思ってるんです」
俺が言うと
「俺様のも買ってきてくれ」
と鷹村さん。
「わかりました」
こうして、俺の左腕に。右腕に鷹村さんという、ありえない罰ゲームを受けながらコンビにまでの道をゆっくり歩くことになった。
鷹村さんのスカート姿を想像した人、手を上げてー!
どんなスカートだった??(笑)
このシリーズって一郎さんが最近あんまり出てこないよね、と思って
彼絡みの何かを、と書いたのがこの話。
一郎さんがいなくてもだいぶ成り立つようになってしまって非常に困っています、このシリーズ。
桜風
12.3.17
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