笹の葉さらさら





「たーなーばーたー...続きの歌詞って何だっけ?」

「今の歌なの?!」

驚いて声を上げた。

リビングでテレビを見ていたら一郎がキッチンにやってきて何かメロディっぽいものを口ずさんでいた。

しかも、歌の出だしが違う。

「『ささのは』だよ?」

「は?」

一郎が首を傾げる。

「や、『七夕さま』を歌おうとしてたんでしょ?何か色々変だったけど。出だしは『ささのはさらさら』」

「...言っとくけど、も上手くはないんだからな」

一郎がムキになって言い返してきた。

「知ってるよ」

イヤって程に。

だから、クラスの打ち上げでカラオケとなったら私は逃げてるんじゃないか!


「何見てんだ?」

「動物紀行」

「ふーん」と言いながら一郎が隣に腰を下ろす。

「あ、私にも頂戴」

一郎が持ってるのは麦茶。

「座る前に言えよ」と言いながらまた立ち上がって、私の分の麦茶を持ってきてくれた。

「ありがとー」

受け取って一気飲みしたら

「もう取ってこないからな」

と釘を刺された。

仕方ない...

「そういや...」

テレビの動物紀行はホッキョクグマを特集していた。

「なに?」

「さっきの、『七夕さま』?鷹村さんが昔、替え歌してなかったか?」

言われて思い出した。

「あー、してたしてた」

「鷹村さんも相当歌下手なのにな」

苦笑しながら一郎が言う。

「けど、何で七夕さまを替え歌したんだ?」

心からの疑問らしい。

私はビックリした。

「鷹村さん、七夕生まれだからじゃない?」

そう言うと「え?!」と一郎が意外にも大きな声を漏らす。

「あ、本当に?」

「うん。え、何で知らないの?」

そっちの方が何か変だよ。

「...七夕って、何か」

そう言って一郎は言葉を探すように沈黙した。

「言いたいことは分かる。あの鷹村さんからかなり遠い感じのイメージあるよね」

うんうんと頷くと、

「だよなー」

と一郎も頷いた。

私の喉はまだ渇いている。

「いただきます」

一郎が持ってきた、一郎のための麦茶を一気飲みした。

「おい、コラ」

「ご馳走様でした」

手を合わせて感謝を表す。

「ったく...」

面倒くさそうに一郎が立ち上がった。

「私のもー」

「まだ要るのかよ」

ブツブツ文句を言いながら私のコップを持ってキッチンに向かった。

テレビの動物紀行はエンディングでクレジットが流れ始める。

「かーわーいーいー!」

ホッキョクグマのもふもふした子供がコロンと転がった。

「一郎!」

「んー?」

「動物園に行こう!」

「...この暑い中行っても、動物はだらけてるって聞いたことあるんだけど」

「大丈夫!」

「その根拠は?」

「夜の動物園に行こう!」

最近はナイトサファリという催しをしている。

基本的に夜行性の動物は昼間は寝ているから、昼間見られない動物の様子が見られるというので大々的に宣伝していた。

「練習が終わった後で、なら。いいけど」

あまり乗り気ではないらしい。この際関係ないけど。

「バイト入ってない日っていつ?」

とりあえず、さっさと約束を取り付けることにした。



七夕ネタにしようと思い、しかし、鷹村さんの誕生日は祝ってやらないんだと心に決め(笑)
や、だって。一郎さんの誕生日のお祝い、今年する予定が無かったから...
で、書いてたら、動物園にいかせてみたくなりましたので。
久々に、兄妹でデートでもしてもらいましょう。
...その他が来るかどうかは、今のところ未定ですが(苦笑)


桜風
12.7.21


ブラウザバックでお戻りください