流星群





今朝、新聞を見ながらが「ふーん」と呟いていた。

何か興味のある記事でも見つけたのだろうか。

そのときはそう思っただけだった。


夜になり、ジムから帰るとが玄関で靴を履いていた。

「どこか行くのか?」

「走ってくる」

「は?」

がこの時間には知るのは珍しい。

「今からか?」

「今からの時間がいいの?」

「ダイエットに?」

「アッパーとブローとフックとストレート。どれがいい?」

にこりと微笑んでが言った。

...なんだ、違うのか?

秋に入って、おやつを食べる機会が増えてしまったと零していたと思ったのに。

「どれもパス。今からの時間が良いって何かあるのかよ」

話を戻してみた。

「今日の新聞に載ってたの。22時くらいから見れるって」

「何が?」

靴を履き終わったが玄関を出て行き、俺も荷物を玄関に置いてそのまま回れ右をした。

父さんは、とりあえず俺たちの靴が玄関にないのを確認したら外出していることは察するだろう。


いつものコースを走る。

最近は朝は一緒に走っているが、夜は時間が合わないからこの時間に並んでは知るのは久しぶりだ。

と言っても、いつも夜走るときはもうちょっと早い時間ではあるけど。

「で、何が見えるんだ?」

俺が聞くとは空を指差した。

「星」

「星?」

「そう。今日はしし座流星群の日なんだって」

が言う。

俺も空を見上げた。

「へー」

「流れ星なんて滅多に見られないじゃない?」

少し弾んだ声でが言う。

「まあ、そうかもな」

だから、流れ星を見たら人は願い事を口にせずにはいられないのだろう...って。

「おい、

隣を見るとが空を見上げながら走っている。

「んー?」

「危ないだろ」

こける。確実にこける。

思わずの背中に手を当てると、

「こりゃ楽ちん」

と少し体重を乗せてきた。

「だから、危ないって。ていうか、重いんだけど」

「おやおや、虚弱君はもう弱音ですかね」

がニヤニヤして言う。

腹が立って、手を離すと思いのほか重心を後ろにかけていたらしいがそのまま仰け反ってバランスを崩した。

「わっ」

はしっと腕を掴んで転倒を防ぐ。

文句が来るだろうと思っていたが

「わぁっ!」

の口からは弾んだ声が漏れた。

「一郎、見た?!」

「や、何を?」

「流れ星。今、流れたよ!!」

先ほど漏らした声は流れ星が目に入ったから感動して自然と出てきたものらしい。

「へー」

「ほら、また!」

空を指差してが言う。

俺も空を見上げた。

キラリと視界の片隅が光り、視線を向けると何かが走ったような気がしないでもない。

「凄い凄い」

の声は弾む。

「見えるもんなんだな...」

街の灯りに邪魔をされて見えないと思っていた。

だが、意外と良く見える。

「来月も楽しみだー」

が呟く。

「来月?」

「うん。今日のは、しし座流星群。来月は双子座流星群だって」

「へー...で、何で家から見なかったんだよ」

部屋の窓の向きは今回の流星群を見るのに悪くないはずだ。

「だって、外の方がたくさん見えそうじゃない?」

そんなことをいう。

...ガキみてぇ。

「ま、そういうことなら、来月も付き合ってやるよ」

「それはどーも」

見上げた空でまたひとつ星が流れた。




今日は、しし座流星群がよく見える日らしいですよ。
私の住んでいる地域は、雨です。
見ることが出来る人は見てみてはいかがでしょうかー。

桜風
12.11.17


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