お泊り会





 一人暮らしは大したことはない。

元々、家事全般引き受けていた。

もちろん、父さんがいた時には父さんが手伝ってくれていたからその分は楽だった。


一人というのは気ままでいい。

そう思ったのは3月までだった。

4月に入って、学校生活の準備をしたりして、ほんとに忙しくて。

家のことは適当になるし、あー、面倒くさい。

一人暮らしでアパートの一室を借りるのとは違うから、家じゅうの掃除は土日にして、平日は色々と手が回らない。


4月と言えどもまだ寒く、炬燵をいつ仕舞おうかと悩んでいたら家の電話が鳴る。

「もしもし」

出てみると

『やほー!』

と久しぶりに聞く声にほっとした。

「やほー」

『どう?一軒家に一人暮らし』

「疲れる」

『ホント?』

「うん。家の維持って本当に大変だよ。色々とやらなきゃいけない手続きとかもあってさ」

『そっかー。明日泊りに行っていい?』

急な一言。

「いいけど」

『んじゃ、学校終わってから行く。大丈夫だね?バイトとか』

「今のとこ」

『じゃあ、今のうちだね』

笑ってそう言ったは電話を切った。



夕方、日が沈んで少し寒くなってからがうちにやってきた。

「バイト上がり?」

「うん。今日はちょっと早めに入ってたからね」

そう言って「はー、さむいさむい」と炬燵に入っていく。

「ね、今春だよね」

「桜は散ったからね。夏に向かってるはずなんだけど自信ないよねー」

笑いながらコーヒーを渡すと「お、」と弾んだ声を漏らしてズズッと一口飲んだ。

「おーいしー」

「何食べる?」

「鍋」

「用意してないよ。今から買い物に行ってからになるから結構待ってもらうことになるよ?」

そういうと「じゃじゃーん」と言いながらバッグからいろいろ出してきた。

「鍋、しよう」

「着替え、絶対にネギ臭くなってるよ」

そういうと「うそっ!」と慌てて鞄の中から着替えを取り出して匂っている。



夕飯は、女2人で食べる量ではない材料のおかげで結構余ってしまった。

「明日の朝、具だくさん雑炊にしようか」

そう言うと「朝から重そうだねー」とが笑う。

「ね、

「ん?」

「広いね」

不意に言われた。

「...意外とね」

そう返すとガシガシと頭を撫でられた。

「また遊びに来てもいい?」

「仕方ないなー。食材持ってきてよ」

「はいはい、ネギをしょってきますよ」

片づけをしていると、寝息が聞こえてきた。

やはり、春先だろうと炬燵の魔力には抗えないんだなー。

毛布を掛けて部屋の電気を消した。

認めたくないけど、いつもこの瞬間をさみしいと感じていたけど、今はの寝息のおかげでそんなことはない。

「ありがとう」

そう声をかけて部屋を出た。



入学式ネタを書こうと思ったのに、どうしたことか。大学に入りたての話になった。
やっぱりさ、寂しいと思うよ。ずっと一緒にいた家に、一人になるなんて。



桜風
13.4.28


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