戦の章 第10話





合流して一休みしてこの先の対策を話し合う。

全員で行動するか、それともまた班分けをして進むか。

「班分け、するか?その方が良いと思う」

「いや、目標がひとつなら全員揃っていた方がいいだろう。時間のロスが少なくて済む。途中で分かれて行動をしなくてはいけなくなるかもしれないからそれに備えて班分けしておくのは構わないが...」

「じゃあ、今度は3班がいいか。とりあえず増幅器を壊せばお互いの気を感じ取りやすくなるだろう?」

「3班?どういうわけ方にするの?」

先ほどまでは射程と得意なもので分けた。

今度はそれをさらに分けることとなる。

「オレと、氷と飛翔は別れた方が良いだろうな。現役軍人で、とりあえず工作活動に関しても訓練を受けてるだろうし、知識もあるだろう?兵法とかさ」

大地に言われて2人は頷いた。

「じゃあ、残りは...」

雷がそう言って残ったメンバーを見渡す。

「炎狼と私は離れよう」

どういうことか、と説明を求められて「属性は被っていない方が良いと思う」と飛翔が応える。

「でも、お前の炎なんて5回に1回は暴発だろう?おれとしては、それって使えるうちに入らないんだけど...」

炎狼がそう忠告するが、

「8割の確率で使えるってことだろう?まあ、無茶をする気はないから心配するな」

と平然と返した。

「そんなにやばいの?」と雷が問うと「まあなー。なまじ力があるから暴発したときの周りへの影響がなー...」とぼやく。

炎狼のぼやきが耳に入った沙羅と霞も飛翔と同じチームになりたくないと少しだけ思った。

「まあ、じゃんけんでも何でも決めてくれ」

飛翔の言葉に「うわぁ、投げやり」と雷が呟き、4人は話し合い始めた。

その間、飛翔と大地、氷が話をする。

「今までの此処までの道を全部覚えているか?」

飛翔の問いかけに大地と氷が頷く。

床に氷が集めた水で地図を描き、消えないように凍らせる。

この部屋まではかなり距離があった。

「ここまで、霞が魔力を辿ってくれたんだよな?」

飛翔が確認すると

「まあ、うっすらと少し質の違う魔力を辿ったってのが正解だな。魔族の魔力が全部同じとは限らないから外れの可能性もある。実際、何回か部屋に入ったり廊下を戻ったりしたからな」

と大地が返す。その間、氷は黙々と地図を描いて、それが終わって声をかけてきた。

大地が言ったように何度か別の道を選んで戻ってきたのか、飛翔たちが通っていない道も描いてある。

「別れて行動するとして、どう動く?」

「とりあえず、ここまでは霞の判断で来たんだし、戻ることはしないようにしよう。それに、増幅器がもし1つなら、この建物の中心に据えていると考えるのが妥当だろうな」

「複数あるとしたら、中心を囲むように配置してあるだろうな。そうそう。一応、俺たちの能力は使えるみたいだ。まあ、これを見たら分かると思うが」

自分が描いた地図に視線を向けた氷の言葉に飛翔は頷いた。飛翔の力も屋内向きではないため、試すことは出来ないが、手ごたえはある。

「あっちの分け方を指示するか?雷は氷と一緒の方がいいだろう。あいつも屋内向きじゃないから」

そう言って車座になって話し合っている4人に視線を向けた。

確かに、雷は屋内向きではないが、あとの3人は屋内でも力を使えなくもない。

「任せたんだからこちらから口出しするのもどうかと思うな。それに、霞の居ない班にはディースをつけてもらうつもりだし。確か、あと6人居るはずだったろう?その属性を調整してもらえば大丈夫じゃないか」

飛翔の言葉になるほど、と大地と氷は頷いた。

暫くしてじゃんけんで決めたと雷が声をかけてきた。

「炎狼とワタシが氷のチーム。沙羅が大地で、霞が飛翔。どうかな?」

丁度いい感じだと思った。

「分かった。悠は、大地と氷のどちらに着きたい?」

飛翔が悠に声を掛ける。

分かってはいたが、やはり自分は霞と同じ班にはなれないのかと少しがっかりしながらどうしようと悩んでいると「じゃあ、こっち!」と沙羅が主張した。

「では、大地さんの班に入らせていただきます」

悠が言い大地は頷いた。

「霞、氷のチームにディースをひとりつけてくれるか?出来れば属性は重ならない方が良い」

「そうね、じゃあ...柊(しゅう)、来て」

そう言って召喚したのは緑色の髪に橙色の瞳をした長身のディースだ。少し華奢だが背の高さなら飛翔よりも高いだろう。

「お呼びでしょうか」

声もハスキーで低めだ。

「ええ、あなたも悠と同じく同行をお願いするわ。氷の班へ」

霞が氷へ掌を向けた。

それを辿り、柊は氷を認識した。

「了解しました」

柊は霞の言葉に応え、氷に向き直って「よろしくお願いします」と一礼した。

「えー、と。もしかして、属性は木?」

沙羅の言葉に柊は頷く。

「召喚は出来ないけど、治癒の方があるから」と霞が補足する。

なるほど、と沙羅は頷いた。自分と似た気を感じるが、召喚士のそれとは違ったので気になったのだ。

「連絡はどうする?さっきまでみたいに連絡は何かあったときだけにするか?」

大地が意見を求めた。

「もう私たちがここに潜入しているってことは気づかれているだろう。どちらかといえば時間勝負だ。慎重になりすぎるのもよくないだろうな。が、情報を撹乱されても困る」

飛翔がそう言って大地と氷を見る。

「今、体内時計では何時だ?」

「14時か」と氷が答え、「同じく」と大地が頷いた。

「私も14時だ。と、言っても前半だが」

「オレは後半だ」と大地が言い、「飛翔と同じくだ」と氷が続く。

それを聞いて飛翔は少し悩み、

「じゃあ、そうだな...連絡を入れるときは、大地の班は2時間先の数字を連絡事項を言う前につけて、氷は自分の体内時計の2時間後。そして、私の班は6時間後。ちなみに、ウチは1日24時間で60進法」

飛翔の言葉に大地と氷は頷いた。時計の表示の仕方等は共通しているらしい。

「時間については細かく『分』までは分からないだろうから、例えば大地の班だった場合は14時59分だと思っても『16』という数字をつけてくれ。勿論、非常事態のときは時間なんて確認せずにそのまま連絡を入れるように。その情報の真偽については各班が自己責任で判断をすること。魔族が我々を撹乱するために偽の情報を流さないとも限らないからな。それぞれの班は体内時計に多少の差があるから、数字のずれは自分の頭の中で計算して情報を精査するように」

相手の能力の全容が見えていない今は何を想定しても的外れなことにはならないはずだ。

それについては皆も反対することはなく、頷いている。

「んじゃ、行こうぜ」

炎狼がそう言って立ち上がり、続いてそれぞれが立ち上がり出口に向かった。









桜風
09.1.18


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