炎の章 第2話
| 翌朝早く(と言っても宇宙空間を飛行する宇宙船の中で朝や夜の区別は難しいが)、雷は食事を摂るために操縦室に向かうとそこで飛翔が紅茶を飲んでいた。 「...びっくりしたぁ、早起きだね。もしかしてあまり眠っていないの?アタシなんか、昨日はこれに乗ってシャワー浴びたらすぐ寝ちゃった。色々あったから。 ところで、飛翔はここで何をしていたの?」 そう言いながら、雷は適当な椅子に腰を下ろす。 飛翔は立ち上がり、雷の分の紅茶を淹れてそれを雷の前に置き、再び自分が座っていた席に着いた。 「いや、睡眠はとった。目が覚めて眠れなくなったからとりあえずここに来て紅茶を飲みながら時間を潰していただけ。」 話し終わると飛翔は俯き、目を瞑った。 「く、空気が重いわ。そうだ、会話、会話をしよう―――。って、飛翔とどんな話をしたらいいの? 趣味?あからさまに合いそうにないじゃない。...ああ!飛翔、目を閉じているわ。眠っているのかしら。 どうすればいいの?光の神ファレス様、アタシは一体どうすればいいのでしょうか。」 雷が大きな独り言とともにパニックに陥っていると、後ろから笑い声が聞こえた。 振り返ると炎狼が目に涙を浮かべて笑っている。 内心天の助けだと思った雷は、 「おはよう、炎狼。全然気配感じなかったわ。いきなり爆笑されちゃうし。」 と声を掛ける。炎狼は目じりに浮かんだ涙を拭きながら、 「いや、ワリィな。独りでぶつぶつパニックを起こした挙げ句、神に助けを求めだしたから思わず、な?あんまり飛翔に気を遣わなくてもいいって。こいつ静かなほうが好きらしいし。 それに人前だと眠れないから適当に声掛けりゃ、返事するって。なあ、飛翔?」 と飛翔に同意を求めながら食料庫から適当に見繕ってきた食材を流しに持っていく。 飛翔は少し目を明け、「まあね」と呟いた。 「なあ、おれ腹減って仕方ないんだよ。飛翔、朝飯作ってくれね?おれは他の三人を起こして来るから。やっぱ飯は大勢で食うのが一番だよな。んじゃ、頼んだぜ。」 そういうと炎狼は部屋から走って出て行く。 飛翔は朝食を作るため立ち上がった。 「お腹が空いている割には早く走るな。」 「そうね。...何か手伝えることある?」 「ゆっくりしていてくれて構わないよ。」 少しして、氷と沙羅が入ってきた。続いて不機嫌そうな大地と蒼ざめた炎狼の二人も操縦室に来た。 「どうしたの、炎狼。お腹の空きすぎで血の気が失せたとか?」 雷は蒼ざめた炎狼を見て尋ねた。一方、朝食を作っていた飛翔を氷が静かに手伝い始めた。 「...そんなんじゃねえよ。大地、凄え寝起き悪いんだよ。起こしに行ったらいきなり殴りかかってきた。殺されるかと思った。」 「自分で起きるのはどんなに早くてもいいんだけどな。人に起こされるとムカつく。って言うか、条件反射みたいなもんなんだよ。起こしに来た奴に殴りかかるのなんて。」 まだ不機嫌そうな大地が弁解するが、誰もが、 (嫌な条件反射だ) と思った。 「じゃあ、明日からも、炎狼が『大地起床係』ね。」 「嫌なもん押し付けるな!」 沙羅の一言に炎狼はムキになるが、誰も庇いもしないため、炎狼は『大地起床係』に就任してしまった。 朝食は風の国の家庭料理だった。箸で食べるものなのでそれに慣れていない炎狼以外はかなり苦戦していた。 見かねた飛翔がナイフとフォークを勧めたが、氷は最後まで箸を使うことに挑戦していた。 |
桜風
04.7.25
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