|
『ここから先は、森の国の領内です。貴艦の所属と責任者の名前を申告してください』
通信が入ってきた。
得意そうに沙羅がモニタの前に立ち、
「お久しぶりです、皆さん。次期国主の沙羅です。港に入る許可をお願いします」
そう言った。
「国主って何だ?」
沙羅の言葉に疑問を抱いた炎狼が飛翔にこっそり耳打ちをする。
「たしか、森の国の国王のことだったと思うけど...」
「国王?!沙羅が??」
大地は驚き、
「そのようだね。森は女の子も国の代表になれるんだ」
雷は肩を竦めた。
『姫さま!?大変失礼いたしました。ただ今、お迎えにあがります。そちらでお待ちください』
「この船で国に入りますから、気遣いは無用です。とにかく、ゲートを開けてください」
沙羅がそう言ったすぐ後にゲートが開いた。
「お帰りなさいませ、沙羅様」
「皆さんには、とても心配をお掛けしたと思います。申し訳ありません。後ろの方たちは、相応のおもてなしをしておいてください。わたしは取りあえず着替えてお父様とお会いする支度を整えてきます。では」
そういって沙羅が付き人を連れて去って行った。
「何かさ、嫌な予感だけはしてたんだよな...」
炎狼が呟いた。
今、炎狼たちがいるのは紛れも無く森の国の地下牢。
「おれら、何したんだ?」
不貞腐れながら炎狼が言う。
「この国の人たちにしてみれば、突然姫さまを国外へ連れ出した不届き者ってところじゃないのか?」
氷のその言葉に
「うわ、冤罪!」
と頭を抱えながら炎狼がそう言うが、牢の番をしている人は全くの無視だった。
「まあ、気長に待とう。沙羅が来てくれるはずだし」
「嫌な予感がするわ...」
風呂に入りながら沙羅がそう呟いた。
「如何されました?」
沙羅の言葉に世話係が質問をする。
「もう出ます。少し嫌な予感がしてきました」
そして、沙羅の嫌な予感が的中した。
ドレスに着替えて沙羅は走った。
「姫、はしたないです!」
世話係や護衛に叱られるが、向かったその先は地下牢。
「ああ、やっぱり...」
格子越しの仲間の姿を見て沙羅は肩を落とした。
「「「おお、馬子にも衣装!」」」
自分たちを助けるために姿を現した沙羅のドレス姿を見て、反射的に炎狼、大地、雷がそう言った。
「...そこの赤髪と茶髪と金髪はそのままで。残りの2人はお出ししなさい」
後ろについてきた護衛に向かってそう指示を出した。
「おーい」
炎狼が抗議の声を上げる。
「誰が、『馬子にも衣装』ですか。まったく...残りの方たちもお出ししなさい。わたしたちはこのまま国主さまとの謁見に向かいます。供は不要です。皆はもう下がってください」
そう言った沙羅の後を、炎狼たちはついていった。
「お姫さまっぷりが様になってるな。さすがだ」
感心したように雷がうなる。
「『お姫さまっぷり』ってなによ?実際ソレなんだから仕方が無いでしょ?」
「『ソレ』っていうけどイヤなのか?」
大地が不思議そうに聞くと
「雷のところに近いかな?窮屈よ。みーんな、わたしを心配しているって言うけど、監視される身にもなって欲しいところよね」
ため息交じりにそう言って大きな扉を前に沙羅が足を止めた。
|