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沙羅の後に続いて皆は森の中に入る。
「この中?」
「そ。炎狼のところに似てるかな?遺跡があるのよ。もう、ここからなら大丈夫かな?」
そう答えて続けて沙羅は
「光の精霊、ルミエール」
と光の精霊を召喚して辺りを照らす。
そのまま足を進めると目の前に遺跡が見えてきた。
「ホントだ、あった...」
「うん。小さいときに教えてくれたのよ」
寂しそうにそう呟く沙羅に
「誰がだ?」
と氷が聞く。
「覚えてないの。でも、この遺跡のことを教えてもらって、次の日に行ってみたら本当にあったの。それから、嫌なこととかあったらここにくるようにしてるんだ。とても、落ち着くから」
そう言って沙羅が入り口の柱を撫でる。
「よし!じゃあ、探そっか?」
勤めて明るく振舞っている感じのある沙羅が皆にそう声を掛けた。
それぞれが遺跡の辺りを探す。
「これは...?」
大地が呟き皆を呼ぶ。
柱の一つに何か文字のようなものがある。
「何?これ。古代文字かな??」
覗き込みながら沙羅が呟く。
「じゃあ、沙羅。読んでよ」
雷にそう言われて沙羅は済まなさそうに手を合わせる。
「ごめん。わたし古代文字の勉強サボりっぱなしだったから読めないの」
「はぁ?!」
「じゃあ、どうするんだよ?」
「だから、ごめんって!」
「『昇る、日。虹、..希望。現る...数。光る石。導く、道を』?」
柱の文字を見ながら飛翔が呟く。
「え?お前読めるのか?!」
「いや、炎と風は文法は違うけど、古代文字は似ているんだ。だから、他国も似てるのかと思って、風の古代文字に近いものはそのまま風の単語に合わせてみたんだが...単語しか分からないし、結局何が言いたいのか分からないな」
ため息をひとつ吐いて、もう一度解読をしようとする飛翔の後ろで沙羅が
「『日が昇り、虹が架かり、同じ数だけの希望が現る。輝く石を以ってして道を開き、かの者は導かれん』」
と歌う。
すると、遺跡の入り口に台座が現れた。
「何だ、今の?」
「えーと、伝承かな?小さいときに習った歌の一節。他に歌詞があったけど、その歌の歌詞の一部にこの言葉があって。
今、飛翔の言った単語を使うところだけ歌ってみたんだけど。当たり?」
「の、ようだな」
台座のすぐ傍に立っていた氷がそれを見遣りながら頷いた。
「すご!やっぱりあるね、時のエンブレム」
台座を覗き込んだ雷が驚きの声を上げる。
「まあ、気にせず早く嵌めて」
そう言いながら沙羅が自分のエンブレムを嵌める。それに続いて皆が嵌めていくと入り口が淡い光を放ち始めた。
沙羅は一瞬眉を顰めたが、すぐに笑顔を浮かべて皆に向き直る。
「ではでは、行って来ます!えーと、ルミエール預けておくね。雷が居るからたぶん大丈夫だと思うよ」
「いや、ここで待っていてもいいんだけど?」
「ううん。お願い、いつでも外に出れるところまでいて。わたし、一生懸命早く試練を終わらせるつもりだけど、間に合わなかったら...」
そう言って沙羅が俯く。
「了解。じゃ、待ってるからな」
氷は沙羅の頭に手を軽く載せて笑顔を向けた。
「外は、ある意味危険だから、森の外の様子が分かり、且つ、見つからないところでとまっておかないとな」
と大地も続けた。
「じゃ、頑張って!」
「先に帰っとくぞ」
「気をつけて」
雷、炎狼、飛翔も口々にそう言って沙羅を送り出す。
「ありがとう!行ってきます!!」
皆に手を振り、沙羅は遺跡の中に走っていった。
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