森の章 第8話





フラウの攻撃から精霊たちを守っていたが、しばらく経っても何の痛みも感じない。

恐る恐る振り返ると、そこには眩い光を放つ鬣と黄金に輝く角を持った幻の召喚獣、ユニコーンの姿があった。その前にはたくさんの氷の矢が落ちている。

呆然と見上げていた沙羅にユニコーンが振り返り声を掛ける。

乙女ヨ。純潔ナル我ガ乙女ヨ。我ノ力ヲソナタニ貸ソウ。ソナタノ願イハ何ダ?

「皆を守りたい。お願い、力を貸して」

涙を流しながら、心からの願いを口にする。

ソノ願イ、叶エヨウ

そう言って角が一層輝き、召喚獣たちに告げる。

我、幻獣ノ王。全テノ幻獣ニ命ズ。我ガ乙女ヲ傷付ケテハナラナイ。我ガ乙女ニ力ヲ尽クセ。我ガ乙女ノ願イヲ叶エヨ

ユニコーンの言葉に、全ての幻獣は膝をついて頭を下げる。

サア、我ガ乙女。何ヲ願ウ?

ユニコーンは振り返り、沙羅に言葉を促す。

「...約束したから。早く試練を終えて戻るって。炎狼も、大地も、雷も頑張った。皆、約束を守った。今度は、わたしの番なの。お母さまに会えたことは本当に嬉しい。もう、会えないと思ってたし。...これが終わったら、お母さまとまたお別れなんだと思う。でも、これを終わらせないと、皆の元に戻れないから」

母にそう告げ、

「わたしは、この試練を終えることを願います」

まっすぐユニコーンの目を見てそう伝えた。

ソノ願イ、確カニ聞キ届ケタ

そう言ったユニコーンの角から眩い光が放たれ、母の身を包む。

「...おめでとう、沙羅」

そう一言だけ残して、母の姿は消えた。

「お母さま!!」

母の居たそこへ走り、沙羅はそのまま気を失った。

―――召喚術って精神力の消費って凄いから。でも、よく頑張ったわね、沙羅。

―――イスリーネ様。

―――ありがとう、蓮(れん)。あなたのお陰で沙羅は試練を乗り越えられたわ。

―――いいえ、私のほうこそ、このような計らいをいただけまして光栄です。この世を去るときに、イスリーネ様がお声をかけて下さったからこそ、私は二度と抱くことが出来ないと思っていた沙羅を抱きしめることが出来ました。

―――こういう形以外ででも貴女の魂を留めておけれたら良かったのだけれども。試練を出す者としてではないと残せなかったの。本当に、申し訳ないわね。

―――いいえ、感謝の気持ちでいっぱいです。

―――イスリーネ様。

―――リョク。この子を守るのよ。

―――...了解。でも、まさかユニコーンの召喚まで出来るとはな。

―――沙羅は、精霊を愛してるから。精霊を愛するってことは全てを愛するってことだし。本当は、蓮の、沙羅の召喚獣たちも沙羅を好きで仕方が無いのに...こんな形になって悪かったとは思うわ。

―――大丈夫ですよ。沙羅は、あの子達のことも大好きですから。

―――ユニコーン、沙羅が目覚めたら教えてあげて。沙羅は、両鎖骨あたりにエンブレムひとつずつ当てて、『精霊の神秘、我が魂に』だから。蓮、沙羅を送り届けてあげて。

―――ありがとうございます。











桜風
06.7.23


ブラウザバックでお戻りください