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皆の元にエンブレムが戻ってきた。
途端に森の外、つまり街の方が騒がしくなる。
「沙羅、ギリセーフだったな」
「俺らは街に出て応戦する。飛翔と氷はもう少し沙羅を待ってみてくれ」
「じゃ、ヨロシク!」
そう言って炎狼、大地、雷の3人が森の外に出て行った。
少しして森の奥から光る何かが近づいてくる。
沙羅の召喚したルミエールとは質の違う光だ。
木の陰から現れたのは眉間に角の生えた眩い光を放つ馬と、沙羅に似ている品のある女性だった。
その背には沙羅がぐったりと寝ている。
「ユニコーン...?」
飛翔が呟く。
「あら、あなたも有名になったものね」
隣を歩くユニコーンに蓮が声を掛ける。ちらりと蓮を見遣ったユニコーンだがそれ以外の反応を見せずに飛翔たちに近づく。
「魔族の、襲撃に遭ってるみたいね」
「はい。あの、沙羅は...」
「寝ているだけよ。ただ、召喚術って精神力の消耗が激しいから。私は、沙羅の母の蓮です。いつも沙羅がお世話になっております」
深々と頭を下げる。
「私は風の勇者の飛翔です」
「俺は、氷の勇者の氷です」
飛翔と氷も自己紹介をする。
「この子のこと、お願いしますね。あなた達のような仲間がいてくれて、沙羅は幸せだと思います」
優しく沙羅の髪を撫で、額にキスをして蓮は飛翔と氷にそう頭を下げて消えた。
「沙羅は、私が運んでもいいか?」
一応、飛翔が沙羅を乗せているユニコーンに声を掛けるとユニコーンは足を折り、飛翔が沙羅を抱えやすいように姿勢を下げる。
「ありがとう。氷、沙羅は私が運ぶ。空を行った方が速いだろう」
「そうだな。じゃあ、俺は街の方で応戦しておこう」
飛翔が沙羅を抱えたのを見届けて、ユニコーンは去って行った。
森の外で飛翔は風を呼び、空に上がる。
すると、空にはあの風を操る指揮官が居た。
飛翔を見つけたその指揮官はまっすぐ迷うことなく飛翔に向かって飛んできた。
しかし、ヒカリに乗った雷がその行く手を阻む。
「飛翔、とにかく沙羅を王宮へ!」
「了解」
そう言って飛翔は王宮に向かって加速した。
「おい、邪魔をするな」
「いいじゃん、たまには。ワタシだって中々やるよ〜?」
そう言って風使いの指揮官との戦闘を始める。
やはり、雷は空での戦闘には慣れていない為、動きが悪い。
ヒカリの動きは俊敏なのだが、雷の動きがそれについていけていない。
何とかヒカリにフォローをしてもらいながら応戦をしている感じがあった。
雷の不慣れな空中戦にさっさと決着をつけようと指揮官が接近してきた。まともに攻撃を受けるところをヒカリの絶妙な回避によりそれを何とかかわした。
しかし、雷は驚きのあまり動きが鈍くなる。
今の攻撃をかわすとき、本当にすれすれだった。つまり、相手の顔も見えてしまった。
目が合ったとき、思わず剣を引きそうになった。似ていた。自分の知っている友人に。
今までは見上げるだけで、遠くから目にしただけの存在だった。いつも飛翔が対峙していて、空は風に任せた方がいいと思っていた。
飛翔も、それについて何も言わなかった。
もしかしたら、気付いてないのかも知れない。そう思ったがその考えはすぐに打ち消した。
あの敏い飛翔が気付かないはずがない。
色んな疑問が一気に頭を回る。
「雷さま!」
考えに囚われていて、相手の動きを見ていなかった。
「雷の勇者、これで終わりだ!!」
ヒカリが急降下をして避けようとしたが、それにすらついてくる。
指揮官の剣に刺されると覚悟したとき、目の前の風使いの指揮官が何者かに蹴り飛ばされて吹っ飛んだ。
「悪い、遅くなったな」
そう言ったのは沙羅を送り届けて戻ってきた飛翔だった。
「あ、いや。助かった...」
「遅かったじゃないか、風の勇者。というか、俺を足蹴にするとはいい度胸だな」
「邪魔だったんだ、仕方がないだろう?...雷、この人は任せてくれ」
そう言って飛翔は背中に挿している護身刀を抜いた。
「あ、ああ...」
雷は自分の見たことを伝えようかと思ったが、それを思い止まり、飛翔に伝えることなく空の他の敵を蹴散らすことにした。
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