地の章 第11話





夕飯を食べ終わったごろ、誰かの来訪を告げるチャイムが鳴った。

「誰だ?」

大地が出てみると、千里がドアの前に立っていた。

「あ、悪い。まだ帰ってきた報告してなかったな。」

「ううん。こっちもごたごたしてたし、総司令から伺ったから。」

「まあ、ここだと何だから入れよ。」

大地に促されて千里は家の中に入り、食堂へ付いていった。


「で、どうしたよ。」

大地が聞いてみると千里はどう話を切り出していいか悩んでいた。

「あ」と飛翔が声を出し、部屋に戻っていく。

不思議に思った皆はその行動を見守った。

「申し訳ありません。こちらを総司令殿にお返し願えますか?」

飛翔は昼間借りていた拳銃とハンドガンを持ってきていた。

「ええ、了解しました。...大地、あの、どう言ったら良いか分からないんだけど。」

「思いついた単語全部言ってみれば?」

千里の言葉に大地はそう答えた。

「明日、国王陛下が貴方たちにお会いしたいそうなんだけど。...ほら、やっぱりそういう顔をする!」

大地は心から嫌そうな表情でいた。千里はこうなるのが分かっていたから言いあぐねていたのだ。

「だって、今更何の用があるんだよ。」

「...もしかして私の脱獄で、ですか?」

飛翔が申し訳なさそうに声を出す。

飛翔が脱獄したということを知らない雷、沙羅、氷、そして千里が目を見開いて驚く。

「いえ、その用件ではないと思います。飛翔さん、脱獄なさったのですか...。陛下も総司令も『飛翔さんに助けられた』っておっしゃっていたから何のことかなって思ってたんですけど。あんな高いところからどうやって脱獄なさったのですか?」

「まあ、色々とコツがあるんですよ。」

「で、オレはいつ行けばいいんだ?」

「えっと、皆さんで、ね?早いほうがいいと思うんだけど。なんか、信じられないんだけど、お礼が言いたいらしいのよ...」

「ここまで臣下に言われながらも王でいる人も珍しくないか?」

何とか起き上がれるようになっていて皆と食堂にいた炎狼が呆れた声を出す。

「そういえば、いつ出発するつもりだ、大地。」

氷が聞くと少し考えて、

「明日そのまま出発するか?」

と軽く言ってきた。

「え、出発するって何?」

事態が飲み込めていない千里は聞き返してきた。

大地が説明してやると、

「...そう。大変なことになっているのね。じゃあ、やっぱり早いほうがいいわね。明日にする?出発するならその前に総司令にも報告していたほうがいいでしょ?」

と聞いてきた。

「んー、だな。」

大地が肯定したので千里が、

「じゃあ、これから私戻って報告してくるわ。大地は疲れてるでしょ、ゆっくり休みなさい。皆さんも、ゆっくり休んでくださいね。」

そう言って千里が出て行った。大地は千里を玄関まで見送る。

「そうだ、言い忘れてたんだけど、神父に礼を言っといてくれって言われてたんだ。オレがいない間教会によく顔を出してくれてたんだってな。ありがとな。あー...」

「大丈夫、大地が帰ってくるまでちゃんと大地の代わりにあそこに顔を出しておくから。心配せずに頑張ってきなさい。でも、帰ってきたらちゃんと声掛けてよね?」

「大丈夫だろ?また帰ってくるときはお前の隊と交信しなきゃならないから、いの一番に分かるんじゃないか?」

「...それもそうね。じゃあ、また明日ね。」

「ああ。大丈夫とは思うけど、一応気をつけて帰れよ。」

「大丈夫だって、私だってひとつの隊をまとめる軍の隊長だよ?」

そう言ってヒラヒラと手を振って千里が帰っていった。










桜風
05.7.10


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