地の章 第3話





扉から赤い絨毯がまっすぐに伸び、小さな階段の上にある玉座の前まで続いている。

そこには既に国王が座っており、警護している者が数名部屋の中に居た。

炎狼たちは、大地と垓を真似て国王に敬礼をした。

「さて、約束だ、大地。ここ数日お前は何のために、どこへ行っていた。」

国王が右手を軽く上げたので敬礼をやめた垓が大地に質問した。

大地はエデンに突然召喚されたこと、その理由、炎の国での出来事と、自分が行方不明になっていた期間のことを話した。

そして、神器の封印してあるところに心当たりがないか国王に尋ねた。

国王は少し考えたが、小馬鹿にした笑みを浮かべ、

「その話を、何を根拠に信じろと?しかも他国の人間をこんなに簡単に国に入れるとはどういう神経をしている、二番隊隊長。貴様はこの国を他国へ売る気か?!」

(やっぱりコイツに頼るなんて間違ってたってことかよ。)

大地は奥歯をかみ締めた。

頭に血が上った炎狼は国王に掴みかかろうと動いたが、飛翔に腕を掴まれて止められる。

そのまま飛翔は一歩前に進み出て口を開いた。

「差し出がましいと思いましたが、国王陛下、こういうのは如何でしょう。二番隊隊長に思い当たる場所を教えてやってください。そして私もこのエンブレムが結界を解くのに必要ですから共に向かいますが、私の役割が済みましたら私を監禁してください。その日から三日後の正午までに彼が戻らなかった場合、私は風の国の情報を陛下に差し上げましょう。風の国の守りは陛下もご存知でしょう?それを設計したのは私の母です。外からの解除方法は知っています。それでも足りないと仰るのでしたら、どうぞ私の命も差し上げましょう。」

国王は暫く黙考していたが、口の端を上げて、

「貴様の命がどれほどの重さを持っているのかは知らんし、言っておることが真実かを確かめる術はない。だが、いいだろう。その賭け(あそび)に乗ってやろう。」

と言った。

「ちょっと待て、飛翔。オレが三日で戻らなかった場合どうするつもりなんだよ。もし、神器が手に入ってもお前が欠けているならそれは意味ないだろ?!」

大地は飛翔の肩を掴んで揺さぶる。

「ああ、だから三日後の正午までに戻ってくればいいだろ?それに、今の賭けはこちらが一方的に不利というわけじゃない。正確な場所が分かってから三日後だからな。」

大地は呆然と飛翔を見つめた。飛翔はふっと笑って大地の肩をぽんと叩き、国王を見上げた。

「ここからそう遠くではない。このオアシスの湖から真西に進んでいけば古代遺跡の集落がある。そこのひとつにどうしても発掘できん遺跡があるのだ。入ったつもりで進んでいるといつの間にかそこから出ているらしい。だから先代の国王はそれの発掘を諦めた。そこ以外心当たりはない。ところで、いつ出発するのだ?その飛翔とやらが逃げ出してしまわないように監視をつけておかねばならん。」

大地はまたもや奥歯をかみ締めて、

「―――明朝、日の出と共に。」


六人は謁見の間を後にした。垓はそのまま国王に話があったらしい。

部屋を出た途端、炎狼は飛翔の胸倉を掴んだ。

「お前、一体何考えてるんだよ!!国の情報と自分の命なんか賭けやがって。お前に何かあったら伯母上に何て言ったらいいんだ!お前おかしいぞ。他に何か方法が「無かったと思うな。」

炎狼の言葉を遮り、胸倉を掴まれたまま飛翔は言って炎狼の腕を払う。

「私はいつもあんなのを相手にしている。お前も知っていることだろう?とりあえずああいう人はこちらもある程度のリスクを負わないと乗ってこない。」

「だからって!何が『ある程度のリスク』だよ。一番大きな物じゃないか、命ってやつはよ!!何焦ってるんだよ!」

そんな炎狼の言葉に飛翔が何の反応も見せなかったため炎狼の怒りは余計に大きくなる。炎狼が拳を振り上げたが、氷に腕を掴まれそれを下ろすことができなくなる。

「やめておけ。飛翔を殴ったところで何も変わらない。それに、先ほどの様子だといつまでたっても神器が封じられている場所が分からないままだっただろう。まあ、確かに賭けたものは大きいと思うが、あれが一番早く答えが出る方法だ。それに、飛翔も言っていたが大地が期日までに帰ってくればいいことだろう。」

炎狼は氷につかまれている腕を振りほどき、溜息を吐いた。

その後六人の空気は何だか険悪だった。












桜風
05.3.13


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