第15話





副司令官に呼ばれた。

二番隊三番隊の両隊は揃って会議室へと向かった。

元々仲の良い隊ではない。

だが、仕事ともなればきっと協力をする。

基はそう思っていた。

しかし、現実はそうではなかった...

副司令は任務の説明をした後、会議室を後にした。

残ったのは二番隊と三番隊。

「まず、今回の作戦だが」

会議の口火を切ったのは大地だった。

今回の任務はレジスタンスの掃討だった。相手の規模が大きいとの情報が入ったので、三番隊も借り出されることとなったのだ。

本来は二番隊の任務であるから、二番隊隊長の大地が仕切る。それは至極当たり前のことだと思っていた。

しかし、彼らにとっては違ったらしい。

貧民層が独りも居ない、勝手なエリート意識を持った隊が、三番隊だ。

だから、孤児であった大地に仕切られるのは堪らなかったようで、三番隊隊長が前に出て仕切り始めた。

「今回の任務は二番隊が不甲斐ないから我々がとばっちりで借り出されてしまったのだ。まあ、お前たちが先陣を切ってレジスタンスのなかに突っ込んでいけ。そして、能力不足のお前たちが取りこぼした賊たちを俺たちが掃討する。以上が作戦だ」

自分たちは安全なところに居るから、お前たちは働け。彼はそういった。

二番隊の隊員たちは大地を見た。

大地は三番隊隊長、雄碁の言葉に溜息をつく。

「構わない」

その言葉の裏にある意味。

――普段、鍛錬もしていないのがでしゃばっても邪魔なだけだ。

二番隊の隊員たちはその意図を汲んだ。

汲んだが、面白くない。

「ま、それでいいよ。けど、つまり先陣を切って全部抑えたら僕たち、二番隊だけの手柄だよねー。褒章も、昇進も」

坤が言う。

名誉欲の強い雄碁がその言葉に反応した。

「そ、そうか」と呟いた後、わざとらしく咳払いをして大地を見た。

「しかし、お前たちだけだと心もとないな」

「寧ろ、我々をサポートさせた方がいいのではありませんか?」

三番隊の隊員が言う。

「そうだな、では。お前たちは後方支援という形で我々の指揮下に入れ」

雄碁がそういった。

邪魔だ、と大地の顔に書いてある。

「でも、実戦経験の少ないお宅らが突っ込んで生きて帰れるのかなー。生きてこそ、って言葉知らないのか?今回、何で2隊合同って話になったか覚えてないなんてことはないよな?」

凾ェからかうように言う。

「で..では。両隊合同という形にしてやらなくもない。よし、同時に突撃ということにするぞ」

結局どうしたいんだ...

二番隊の面々は、あからさまに面倒くさそうな表情を浮かべている。もう、これは作戦会議でも何でもなく、ただの時間の浪費だ。


翌日、レジスタンスが活動しているという領地へと向かった。

西だった。

塔子が紹介状を書いてくれた。

西の臣王の書状がある。貴族は色々と面倒だが、それがあれば全てにおいて協力をしなくてはならない。

そのように書かれているからだ。

「ねえねえ、待遇が違うよ?塔子さんに言っちゃおう」

坤は不満そうに言った。

三番隊にこの領主と知り合いのものが居たのだろう。二番隊がどういう者たちで構成されているのかを話したらしく、三番隊と自分たちの待遇があからさまに違ったのだ。

「放っておけ。あいつらはああやってあったかいベッドでなければ寝られないんだ。暖かい食事があるだけマシだろう?」

凾ヘそう言って温かいスープを飲む。

この領主曰く、ここは離れだ、とのことだが『物置』の間違いだろうと思わなくもない。とりあえず、離れのクセにテーブルも椅子もない。

ただ今床にそのまま座って食事をとっている状態だ。

それでも、今目の前にあるスープは湯気を立てている。

「で?どう?」

一気にそれを煽って凾ヘ大地の隣にストンと座り込んだ。

「此処だろうな」

地図の一点を指差す。

「だなぁ...けど、向こうの方が地形の把握に長けている。それに、気になるよな...」

この領地に着いてすぐに町に出た。

最近此処周辺で活動を行っているというレジスタンスについての噂を聞きに出たのだ。

「能力者、居るよなぁ」

そう呟いて凾ヘそのまま大の字に寝転んだ。

「牛になるぞ?」

喉の奥で笑いながら大地が言う。

「モォ〜」と鳴き真似をして凾ヘ笑った。

「三番隊には..3人で合ってるよな?」

ポツリと呟き、大地に視線を向けると「ああ」と呟いた。

「だが、向こうのは人数には入れられないぞ」

「だよなー。当てにしたらこっちが死ぬよなぁ」

「お手上げー」と呟く

「...あの、聞いていいですか?」

食事を終えた基が傍に座って、大地を見た。

「能力者ってのは相手が能力者かどうかが分かる。自分が相手よりも強ければ、だけどな」

「そう、なんですか?」

「気を抑えるのが未熟になるんだ、力の弱い能力者は。」

「大地の場合は、その力を目の当たりにするまで他の能力者に気づかれないぞ。たぶん、この国最強の能力者だし」

「他にも凾ェあったことのない能力者はたくさん居るだろう」

呆れたように大地が言うと「いーや。お前が最強だ」と凾ヘそれを譲らない。

まあ、此処で押し問答をしていても仕方のない話題のため、大地はそれ以上否定することをやめた。

「では、明日以降の作戦はどのように...」

「あいつら、陽動に使えないかな?」

凾ェ言う。

「時間を稼がなくてもいいなら、可能だろう」

本当に当てにしていない。

そして、大地は今自分が口にしたことを実行しようとは思っていない。どういう人間でも傷つけていいものなんて居ないから。

「大地さんって、人がいいって言われません?」

「人をだまして陥れるくらいなら、だまされて陥れられて這い上がって来いってのが、オレの育った場所の教育方針なんだよ」

基は驚いて目を丸くしている。

「あの人、見た目に反して結構厳しいよなー」

凾ェ笑いながらそう呟いた。









桜風
10.5.2


ブラウザバックでお戻りください