第16話





翌日、三番隊と共にレジスタンスの根城に向かった。

しかし、大地たちが予想していた地点で待ち伏せに会う。

「5人だ」

すぐに大地が言う。

何の人数かというのは、二番隊全員は分かった。能力者の数。

しかし、三番隊はそれを把握できていないようだ。

「あいつら、ホント弱いなぁ」

「ちなみに、凾ヘ何人?」

からかうように坤が言うと「4人!」と少し悔しそうに言う。

とりあえず、凾ェ砂から岩場を作ってそのすぐ傍に掘り込みも作る。

二番隊のその動きを見て、遅れて三番隊も同じようにする。しかし、彼らが作ったのは薄い壁だ。それが彼ら三番隊に所属している能力者の限界ということだ。

「どうしましょう、隊長?」

からかうように、今の状況を楽しむように坤が言う。

「そうだな、」と大地が呟いた途端、レジスタンスの方にも動きがあった。

彼らは砂丘をもっと高い岩場にした。上から狙撃するつもりのようだ。こうなると、上を取ったもん勝ちだ。

人数では相手のほうが圧倒的に勝っているのだから。

「時間ないねぇ」

やはり楽しそうに坤が言う。

「凾ウん」

基が声を掛ける。

「んー?」

「この岩場並みの高さの壁、どれくらいの幅と奥行きで作れますか?」

少し驚いた表情を見せたが、「幅は10mくらい。奥行きは、3..いや2mだな」と凾ヘ答えた。

変なところで見栄を張っても仕方ない。それが命取りになる。自分の能力を正確に把握することが生き残る可能性を上げる。

「大地さん。能力者って相手の作った岩場とかも崩せるんですか?」

「あっちを見ろ」

そう言って指差したのは三番隊だ。少しずつではあるが壁が砂に変わっている。そろそろ、銃弾が壁を通過しかねない。

「大地さんなら、レジスタンスが作った岩場を崩せますよね?」

「あれくらいなら余裕だ」と短く大地が返す。

「うはっ!カッコイイ!」と坤がからかいの合いの手を入れた。

「では、」と基が大地に話す。

「じゃあ。面倒くさい役だけど、それは僕が行こう」

三番隊を動かさずに陽動に使う。

そして、それは本当に短い時間で良い。命を危険にさらすほどではない。彼らはレジスタンスの注目を集めればいいのだ。

基の提案は暗黙のうちに二番隊の作戦として採用された。

「じゃあ、フォローよろしく!」と仲間に声をかけて、坤は三番隊の陣地へと駆けた。

突然現れた軍人にレジスタンスは総攻撃を行うが、二番隊の援護によりその狙いは中々定まらない。

「おっじゃまするよー」

何発か銃弾が顔や腕を掠めている二番隊の隊員が駆け込んできた。

「もっと高く壁を。その間にウチが片付ける」

坤は雄碁を睨んで言った。

「お前たちに、何が出来る!」

「それはこっちのセリフだ。そっちの役立たずの能力者にちゃんと指示を。あんたたちのせいでこっちまで負傷とかバカらしい」

坤は言うだけ言ってまた二番隊の陣地へと駆ける。

「...あのクソ貧民の言うとおりにしろ」

苦々しく、雄碁はそういった。


三番隊の壁が高くなる。

それを抑えようとレジスタンスの能力者の注意が三番隊に向けられた。

「凾ウん!」

「おう!!」

基の合図に合わせて凾ェ堀のところも含めて岩場を広げ、そこに二番隊の隊員たちは姿を現す。

レジスタンスたちは慌てて二番隊に向けて銃を構えた。一瞬、能力者の集中力が途切れる。

不意にレジスタンスたちの陣営の足場が砂に変わって重力に従い落下した。あれだけの強固で巨大な岩場を一瞬にして崩されたことがさらに動揺を生んだ。

「な、なに...!?」

そのまま彼らは砂に埋もれ、その砂が岩に変えられて身動きが取れない。

岩の中に体を埋められた形になった。全員顔だけは出ているから息は出来るから死ぬこともない。

二番隊が手際よく全員に猿轡をはめた。舌を噛んで自害されては敵わない。せっかく全員生きたまま捕らえたのにその苦労が水の泡になってしまう。

あまりの手際の良さに三番隊は呆然としたが、雄碁が「よし!」と声を上げた。

「そいつらの護送は我々が行う。感謝しろ。最後の仕上げはこちらが代わってやるといっている」

自信満々に彼はそう言って部下に命じてその岩を何とかジープに乗せてそのまま王都へと戻っていった。

「良いんですか?」

基は少し面白くなさそうな表情を浮かべた。

手柄をまるっと取られてしまうと思ったようだ。

だが、仲間たちは苦笑している。

「あの岩、誰が作った?」

凾ェ言う。

「あ、」と基はその言葉の意味を悟った。

つまり、あの三番隊ではあの岩を砂に変えることが出来ない。そうなると、岩は三番隊が作ったことは証明できない。

「それに、あの隊長って聞いてないことまでしゃべると思うんだよなー。指令や副指令は賢いから色々と見えてくると思うよ」

ははは、と面白そうに坤が言う。

「あっちの能力者ってそういうの分からないんですかね?」

基の言葉に凾ヘ苦笑した。

「分からない..ってことは無いと思う。けど、隊長に逆らわないのが信条なんだろうな。波風立てず、静かに、ひそやかに。能力者ってのはある意味異端だからな。嫌ってる人も少なくないんだよ」

「じゃあ、オレたちも戻るぞ」

大地の言葉に彼らは口々に返事をしてジープに乗り込む。

王都に戻ったのは日付が変わった夜中だった。









桜風
10.5.4


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