第43話





突然の他国からの訪問。そして、条約締結の提案。

正直、自分の手に余ると思っていた王は各隊の隊長を招集した。

「驚いた」

招集を受けて会議室に向かいながら塔子が呟く。

「何が?」

塋仁が返すと

「あたしたちの意見を聞こうって事なんでしょう?」

と塔子が驚いた内容を口にした。

「まあ、そうだろうね」

「何であんなにあっさり変わっちゃったのかな?」

「人生、色々ですからね」

不意に加わった声に塔子はうっかり声を上げてしまい、塋仁が呆れた表情を見せた。

「私はバケモノでしょうか?」

からかうように碧が言う。

「ごめんなさい」と頭を下げて塔子はしゅんとなった。

「碧さんは、知ってるんですか?その、『色々』の内容」

塋仁が問うと「さあ?」ととぼける。

そんな話をしていると会議室の前に差し掛かり、塋仁がドアを開けて碧と塔子を促した。

「揃ったな」と垓が言う。

王は既にそこに居た。

彼をも待たせていたと言うことに気付いた塔子たちは非礼を侘び、席に着く。

「陛下、どうぞ」と垓に促されて王は頷き、立ち上がる。

この会議を開く経緯を彼が話し、「みなの意見を聞きたい」と言った。

「まずは陛下の意見を伺いたいです。どのようにお考えですか?」

返したのは砂埜だ。

「余は..この話に乗ってみても良いのではないかと思っている」

「何を根拠にそうお考えですか?」と岳が問う。

「あの秀炎と名乗った炎の国の代表..かの国では『頭領』というらしいのだが。嘘が見えない」

少しの間、部屋の中に沈黙が降りる。

「陛下、無礼を承知で申し上げますが..嘘を見抜くの得意とかお考えではありませんよね?」

呆れたように塔子が言う。

「む..不得手ではないと思っている」

と王が返した。

塔子の深い溜息。

「塔子さん」と千里がたしなめる。

「どれだけの人間があなたの権力の傘の下に入りたくておべっかを使っていたと思っているんですか」

「塔子」と央圻がたしなめる。

しかし、彼女は続けた。

「そのお陰で、今陛下はツケを払っているでしょう?それでも、あなたは嘘を見抜くのが得意だとか仰るんですか?」

手痛い一言。

「八番隊隊長...そなたの言うことは尤もだ。だから、余はそなた達の意見も聞きたいと考えている。そなたの意見はどうだ?」

そう問われて塔子は少し驚いたように眉を上げたが口角を上げた。

「あたしなら、乗る」

「さっき、王もそのように仰ったじゃないですか」

基が言うと「良いじゃない、これはあたしの個人的な意見だもの」そう彼に返して王を見た。

「陛下がお決めになった事なら我々隊長はそれに従います。全てを背負って陛下がお決めになられることです」

「まあ、でも。最終的な判断は勿論八番隊隊長の言うとおりだが、意見を聞かれているのだから言えばいいだろう」

聖坡が王に助け舟を出す。

「他の者たちは?外交は..五番隊だったか」

そう言って彼は千里を見た。

「外交と言うほど何かをしているわけではありません。国の玄関を守っているだけです。
しかし、そうですね...私も陛下や八番隊隊長の意見と同じです」

「理由は?」

岳がまた問う。

「やっぱり、勘です。あの..今いらっしゃっている方って以前この国に滞在された炎狼さんのご身内の方ではありませんか?」

「炎の勇者の親だと本人は言っていた」

垓が答える。

「雰囲気、似ています」

「だが、雰囲気が似ていてもこの国を害さないと言う保障はないぞ」

「ええ。でも、それを言ったらこれから他の国の方がいらっしゃっても同じ話になります。二番隊隊長..いいえ。わが国の勇者は他国の勇者を信じると決めて戦うことを選びました。
今度は私達が何かを選ぶ必要があるのではありませんか?」

周囲を見渡して千里が言う。

「私は賛成」

先ほども発言した塔子が手を上げる。

「自分も、隊長が信じた道を信じたいので賛成です」

基が言う。

「まあ、今のところ、その条約で別に予算かからないみたいだし」と砂埜。

「賛成です」と塋仁が軽く手をあげ、「同じく」と深い皺を刻みながら碧が頷いた。

「四番隊は?」

「反対意見はありません。法の整備が出来ていないので適法かどうかの照合が出来ませんので。ただし、その条約の調印に立ち合わせていただきたいと考えています」

王が垓を見る。

「四番隊は法を司っていますからね。彼が同席した方が良いでしょう」

「では、頼む」

王はそう言い、隊長たちの顔をじっくりと見た。

「感謝する」

王が言い「仕事です」と皆は口々に返した。









桜風
11.6.5


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