雷の章 第10話





その翌日、皆が予想してた事態が起こった。

魔族の襲撃。

「...昂さん、皆の避難を指示してください。」

「あなたたちは?!」

「戦います。仲間が守りたいと思っているものを、おれたちも守ります。必ず、雷は帰ってきますから!」

そう言って炎狼たちが出て行く。


「くそッ!ここは市街戦は向かないな。」

炎狼が回りの様子を見ながら毒づく。

「普段は賑やかでいい町だけど、こういうときは人が多く感じるわね。...軍は?!」

沙羅が城の方を見るが、

「出てきたらビックリだろう?飛翔、空は任せていいか?」

大地がそう言って地上の魔族の群れへ走っていく。

『地の強さ、我が魂に』

力を解放する。

飛翔は空に上がって自分を目指して飛んできているある人物を目にし、眉間に皺を寄せる。

「おい、アイツ...」

ホムラを召喚して空に上がって来た炎狼が飛翔に声を掛ける。

「あの人は、私が。後は任せた」

そう言って飛翔はまっすぐ風を操る魔族の指揮官へと向かっていった。

「よお、風の勇者。この間は、邪魔が入ったが今日はゆっくりしようぜ」

そう楽しそうに言って切りつけてきた。


「砂輝!!」

炎の国で見かけたお下げの少女を見つけた大地はそれに向かって行った。

「ふうん、今度はお兄さんが相手?」

そう言って彼女が構えた。

「砂輝、オレだ、大地だ。思い出せ!砂輝!!」

大地が声を掛けながら彼女の攻撃を受けているが彼女に何の変化も無い。

(くそ、砂輝じゃないのか?!いや、あの構え、隙の出来るタイミングも同じじゃないか)


<雷様。起きてください。お仲間が、町が大変です>

頭に響く声で目が覚めた。

「あれ?誰かいた..ハズよね?」

<雷様、町が魔族に襲われてます。早く町へ!>

頭に響く不思議な声が気にならないといったら嘘だが、国が、民が危ないというこの声を信じる。

子供の頃通っていた抜け道へ行き、穴に入る。

思ったよりも狭くない。子供の頃の話だからもしかしたら狭いと思っていたのだが...

出口の枯れ井戸に書置きが目に入る。

書置きと言っても石に文字が刻んである、そういうものだ。

『ここ、狭すぎ!広くしておいてやったぜ、感謝しろ!!』

大地が刻んでいたその文字に思わず苦笑をもらす。やはり、狭かったらしい。

枯れ井戸を昇り、地上に出る。町の方で煙が上がっている。

「えーと、ワタシは...何だっけ?」

<鎖骨の真ん中辺りで、『光の希望、我が魂に』だそうです>

「『光の希望、我が魂に』!」

雷がそう叫んだ途端、力がみなぎる。エンブレムの力を解放できたらしい。

「またしても違う衣装...」

大地が文句を言っていた姿を思い出す。

「えっと、確か武器は...」

それを求めたら現れると炎狼たちが言っていた。その通り、雷の手元に武器が現れた。

「おっきいんですけど?」

雷の神器は大刀だった。こんなもの振るのが大変だと思っていたが

「意外と軽いんだ?って、感心してる場合じゃないし。次は?あなたはどう呼び出したらいいの?!」

<はい。私の名は光竜、ヒカリです>

「了解!『光竜、ヒカリ』!!」

そう言った途端自分は何故か刀を天に突き上げていた。

雷雲が轟き、一筋の稲妻が落ちる。

その先には、今まで目にしたことのある竜2体を彷彿とさせる姿があった。

「初めまして、ヒカリ。これからよろしく。」

<はい。では、町に向かいますね?しっかり掴まっていてください>

そう言ってヒカリが空へと舞う。


町の上へ来て雷は困った。

<雷様?>

「こういうとき、この町は不便だね。竜に乗ったままの迎撃は地上だと難しい。それに、軍が出ないから、大地たちだけじゃどう見ても追いつかない。」

独り言を呟く。

<雷様。雷様は私を連れての市街地での戦闘を望まれますか?>

「一応ね。心強いでしょ?でも、無理
<承知いたしました>

諦めようと思った時にヒカリが雷の言葉を遮ってそう言った。

「何を言ってるの?ヒカリみたいな大きな竜は市街地になんて降りられないでしょ?」

<雷様、そこの建物に降りてください>

ヒカリにそう言われて、雷は傍の建物の屋上に降りる。

それに続いて上空のヒカリの体が不思議に光ると自分のそばに沙羅と同じ歳くらいの女の子が降りてきた。

『さあ、雷様。参りましょう』

そう言って少女は屋上から地上へ飛び降り、持っていたレイピアで魔族を倒していった。











桜風
06.1.22


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