雷の章 第11話





<あれは...>


飛翔と共に上空で戦っていた炎狼の竜、ホムラが呟いた。

炎狼がそちらを見ると

「あれ。戻ってきたんだな。...ってアイツの傍にいる女の子って、何者だ?」

<アレは、ヒカリです>

「ヒカリ?知り合いか?」

<はい。彼女は七神竜の光竜です。我々神竜は主が望めば仮の姿としての人を象ることができます>

「じゃあ、ホムラもか?」

<可能です>

「んじゃ、空が落ち着いて地上に降りるときにはホムラもそれ、よろしくな」

<御意>


「大地!苦戦してるようじゃない?」

大地の近くまで追いついた雷がそう声を掛ける。

「うるさい!その子は?」

雷の傍で戦っている女の子を見て大地が声を掛ける。

「ちょっと、あたしと戦ってるのになに無駄口叩いてるのよ?!」

片手間といった感じに相手をされたお下げの女の子はムキになる。自分の弟子の拳くらいまだかわすことは容易い。

それを流しつつ大地が相手をするので雷も大地の質問に答えた。

「ワタシの竜。光竜のヒカリ。宜しく。」

『ヒカリと申します。以後、お見知りおきを。』

そう言いながらも目の前にいる魔族を倒していくヒカリ。

「...てことは、リク!お前も出来たのか、こんなこと!!」

今は姿を現していない自分の竜に向かって大地は思わず叫ぶ。

<あ〜あ、何でバラすんだよヒカリ。これじゃ楽できないじゃないか>

『少しは、苦労したほうがいいわよ。いい加減体も鈍ってるんじゃないの?』


文句を言うリクにさらりとヒカリはそう答えた。

「ヒカリ、どうすればあいつも出てくるんだ?人手が足りないってのに!」

<オレっちは竜だよ。『人手』じゃないよ>

「うるさい!で、どうすれば?また地竜リクとかって地を割ればいいのか?」

『いえ。そういうのは最初だけです。一度、こちらとの門を開いていただければ言霊だけで召喚されます。リクが人型であることを望みながらリクの名を呼んでください。』

「地竜リク!出て来い!!」

大地に呼び出され、渋々出てきた感の強い表情でリクが現れた。

そんなリクに魔族が襲い掛かる。

振り返り様リクは応戦した。

「お前、何やったんだ?」

『オレっちの武器は暗器。まあ、色々だよ。呼び出されたなら仕方がない。さっさと帰れるように頑張るよ』

と、やる気があるんだかないんだか分からない言葉と共に、リクは次々に周りに居る魔族を倒していく。

空があらかた片付いた炎狼も町の中の戦闘に加わる。

ホムラは棒術を使うらしい。

そして、驚いたことに

「あれって、軍じゃない?!」

城の方を指差し、誰かがそう言った。

雷もその光景を呆然と見守る。

「雷様!」

そこには若い指揮官が居た。

「あれは...」

最近家督を継いだ歳若い領主だった。下級貴族だが、それでもこの国の貴族とは思えない考えを持つ者だった。

「雷様、お怪我は?避難の方はどうなってますか?」

「あ、いや。この軍は?」

「軍と呼ばれるほど大きくはありません。私設の守備隊といったところです。議会は、軍は出さないという決定を下しましたから。それなら、いないよりマシであろう我が守備隊を出撃させることにしたのです。出すぎた真似だといわれ、処罰される覚悟は出来ております。」

事の次第を聞いて雷はどうしていいか分からず、思わず炎狼を見た。

「いい臣下が居るじゃねぇか。捨てたもんじゃないな。」

「ああ、そうだな。感謝する。」

戦闘に加わる人数も増え、大地と対峙していた砂輝もバテてしまい手が無くなった。

風を操る魔族の指揮官は静かに自軍を引かせた。


「今回は、爛は来なかったようだな。」

「もしかしたら、洗脳に時間が掛かってるとか、そんなんじゃないのか?」

「かも、な...」


その後、雷は城に戻り、この先の国の方針を告げた。

「敵は魔族のみ。人を相手に戦争は許さない。これは、光の神ファレス様のご意思と思え。
それに背く者あらば、極刑をもって償い、家は取り潰しとする。ワタシは必ず戻る。そのとき、皆がこの方針にそむいていないことを切に願う。」

こんな脅しをしなければ他の国と共に足並みをそろえることが出来ない自国を憂いつつ、それでもこの地にある小さな希望を必ず大きな希望とするよう、心に誓った。











桜風
05.2.12


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