雷の章 第7話
翌日。 城の奥へ続く廊下を雷を先頭に皆はついていく。 「ねえ、まだ?ちょっと、気味悪いんだけど...」 「沙羅。人の家のことをそう言うのはどうかと思うぞ?」 沙羅の言葉を炎狼が嗜める。 「そうよ、沙羅。炎狼の家のことも『変なからくり屋敷』なんて言ったら駄目だからね!」 雷が振り返りながら人差し指を立て、軽く注意をするが、 「誰もそんなこと言ってねぇだろ!てか、おれがフォロー入れてやってるのに、お前はおれをオチに使うのかよ!」 炎狼の抗議にあう。 雷はまた進む方向へ体を戻してクスクス笑った。 それから数分して 「じゃあ、今度は道逸れるよ。こっち。」 と言いながら明かりのあまり点いていない細い廊下へ進む道を移した。 「なあ、雷...」 大地に声を掛けられ、その言わんとしていることを察して 「そ。付けられてるからね。ちょっと回り道。」 小さな声で雷が答えた。 「付けられてるって?」 「こちらに向かい始めてからずっと。でも、段々脱落者が出てきてるようだな。気配が減ってきている。」 と飛翔が答え、 「まあ、潰しあいでもしてくれてるんじゃないのか?そういう感じの奴らみたいだし。」 炎狼もそう言った。 「だが、こうも廊下を曲がったりしていると帰るときが大変そうだが...?」 「あ。それなら大丈夫。本当ならすぐに着く一本道があるから。でも、そこを通ったらつけてる奴らは巻けないからね。だから、巻いた後、帰りはそっちを通ってね。」 そのまま延々歩いて行き、最後の気配が消える。 「どうだ、炎狼?」 「んー。おれは感じないなお前らは?」 「同じく。」 と大地。氷は言葉はなく、頷く。 「そうだな、大丈夫そうだな。」 飛翔も賛成した。 「じゃ、もう行きましょうかね〜。」 そう軽く言って雷が足を進め、皆もそれに続いた。 「で、此処がそうなのか?」 雷の案内する部屋に入り、大きな扉を見上げながら炎狼が声を掛けた。 「と、思ってるんだけど...違ったらごめんね〜」 軽く手を合わせながら雷が炎狼の問に答える。 「埃だらけ...」 嫌そうな顔をしながら沙羅がそういうと 「誰も来ないから、こんなところ」 肩を竦めて雷が答える。 そんな3人の会話を余所に黙々とエンブレムを嵌める台座を探していた大地、飛翔、氷の3人だが、中々見つからない。 「なあ、雷。ハズレじゃないのか?見つからないぞ?」 「そう?えーとね。ここなんかどうかな?」 大地に声を掛けられ、雷も台座を探すことにした。 というか、部屋のものを遠慮なく壊していく。 「お、おい。雷、いいのかよ?!」 普通に壊していく雷の姿に、炎狼は怯みながらも声を掛ける。 「んー、いいよ。どうせ誰も来ないところだし。父上もこの部屋の存在知らないみたいだからさ。ここにあったものは元々無かったものとしてくれて構わないよ。」 言いながら雷は部屋のものをどんどん壊していく。 「あったー!当たりだったよ。ホラ。」 何回目かの破壊行為により台座を発見できた。 確かに、それは台座だが... 皆は部屋を見渡し、雷を見る。 清々しい笑顔を見せているこの青年は、元々ごちゃごちゃしていた部屋を更に混沌とした空間へと進行させた。 「どうしたの?皆、置いてよ。」 雷に促されて皆は台座に自分のエンブレムを嵌めていく。 「また、時のエンブレムが嵌ってるな。」 「そのようだな。」 最後に氷がエンブレムを嵌めるとガシャンと鍵の開く音がした。 「じゃ、行ってくるね。出口はあの暖炉よ。子供の頃は良く通ってたのよ〜。探ってくれたら分かると思う。じゃ、昂さんにもよろしく〜。」 軽く手を振りながら雷はランタンを持ってその大きな扉の中へと向かって行った。 「煤だらけになるって聞いてないんだけど?」 暖炉を見ながら沙羅は腰に手を当てて呟いた。 |
桜風
05.12.11
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