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翌朝、霞が城の屋上に上がる。
天気がよく、眼下には見事な雲海が広がっている。
いい風も吹いている。
「おはよう、霞」
上空から声がした。
見上げると
「飛翔...?」
見上げた先には飛翔と炎狼。空也に砂輝、他の操られていた人たちがいた。
「霞ちゃんも来るか〜?」
空也に声を掛けられた。
「空は気持ちいいぞ」
後ろから声を掛けられる。氷だ。
「お、やっぱりあいつらはダメか」
炎狼が笑いながらそう言った。
大地は低血圧だし、沙羅と雷は昨日かなりの量飲んだ。
すっと飛翔が降りてくる。
「どうする、霞?」
「じゃあ、お願いしようかな?」
「俺もいいか?」
「ああ」と飛翔が頷くと少し強い風がやってくる。
ふわっと浮いたかと思うと城の屋上がどんどん遠くなっていく。
氷は感嘆の溜息をついた。
「凄いな」
この風景から目が離せないようで、ずっと目の前を見ている。
「わたくしも、こんなところから見るのは初めて」
「ディースは空に連れて行ってくれないのか?居るんだろう?風が」
炎狼が聞くと、
「こんなこと。空に上がって風景を見るなんて思ってもみなかったから」
「勿体無いな。こんないい風景を持つ国の子なのに」
空也がそう言う。
全くその通りだと思った。
そして、姉にも見せてあげたいと思った。
「霞?」
そう思っていたら下から姉の声がした。
いつも護衛として付いているディースたちも一緒だ。
「お姉さ..久遠様!」
「ステキなことをしているわね。私も仲間に入れてくれないかしら?」
「喜んで」
空也が答え、風を運ぶ。
初めて空に上がるその事実に久遠は頬を紅潮させる。
「凄い!!」
姉のはしゃぐ姿に霞は驚く。
「ほら、凄いと思わない?聖(ひじり)、紫苑(しおん)」
一緒に空に上がった自分のディースに声を掛ける。
2人は落ち着いた様子で
「ええ、すばらしい景色ですね」
などと返している。
「そういえば、霞。竜はまだだったよな?」
氷に聞かれる。
「え、ええ。そうね」
「今召喚しておけばいいんじゃないか?咄嗟に呼べるように」
炎狼もそう言う。
「じゃあ、そうね...」
そう言って指輪になっているエンブレムを外す。
「『時の悠久、我が魂に』」
静かに言葉を紡ぐ。
エンブレムの力が解放され、そして、手にした神器で
「時竜、セツナ!!」
空を切り名を呼ぶ。
その空間から現れたのは隻眼の漆黒の竜だった。
<セツナと申します。よろしくお願いします>
頭に声が響く。
「ええ、宜しく。力を借りることになるわ」
<いつでもお呼び下さい。必ずあなたの元へ参ります>
そう言ったかと思うと、消えた。
「かっこいい!」
「黒竜なんだ...」
下方から声がした。
「やっと起きたか。ギリギリだな」
そう言って飛翔は今来たばかりの沙羅と雷を拾い上げる。
「ホント、ギリギリね」
少し、雲海が晴れてきた。
「大地はやっぱりダメか」
苦笑をしながら雷が空に居るメンバーを見渡す。
「...あら?霞あれ」
久遠が何か見つけたようでその方を指す。
そこには、人が浮かんでいた。
そして、それは、唯と似たような格好をしていた20歳くらいの女性で、髪は肩くらいで色は淡い青。瞳の色は紫色だった。
「ああ、涼(りょう)じゃない。どうしたのかしら?」
「あれ?ディースって霞が呼ばないと出てこないんじゃないの?」
沙羅が聞く。霞がディースを呼ぶ行為は自分の召喚術に近いと思っていたから意外だったのだ。
「そうよ?でも、最近帰らせていないから。居たい所に居るわね、あの子達。必要になったら呼べばすぐに目の前に来るし」
「じゃあ、城の中を探せばあと5人に会えたんだ?」
ちょっと残念そうに沙羅が言う。
「後で全員紹介するわ。きっとこれからの戦いで役に立つもの」
飛翔を見ながら霞はそう言った。
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