|
帰っている途中、飛翔は風に違和感を覚えた。
同じく、沙羅も空気がおかしいと思っていたらしい。
「ねえ、飛翔。飛んで帰れない?」
「ああ、急いだほうが良さそうだな」
そんな2人の会話に炎狼が
「何かあるのか?」
聞く。
「空気が、変なの。今まで5回経験したことがある空気よ」
沙羅の言葉に皆に緊張が走る。
「でも、吹雪いてるよ?」
雷の言葉に飛翔は一度目を逸らして
「自然の風を、止めて飛ぶ」
そう言った。
上空に上がったら沙羅が召喚する。
「炎の精霊、サラマンダー」
飛翔と沙羅が先頭になり、自分たちに降ってくる雪を溶かしながら移動をした。
街中は混乱していた。
それでなくとも能力者の少ない国だ。魔族に対抗する術が少ない。
今までは何故か国が近いというのに魔族の侵攻が少なかった。恐らく、気候のせいだろう。
春が近づいて来た今、やっとこの国に責めることができるようになったのだ。
街中に向かう途中、
「沙羅、氷菜さんのところへ行ってもらえるか?」
飛翔が沙羅に聞く。
「あ、そうか。そうね、わたしはあそこに降ろして。雷、一緒にお願いしてもいい?」
沙羅の召喚術中は無防備になる。サポートが出来るものが居ないと彼女の召喚術は成功しない。
「OK。まかせて」
雷がサポートを引き受けた
氷の家に着き、沙羅と雷を降ろし、飛翔たちは街を目指す。
しかし、
「よお、風の勇者。今日こそお前を倒す」
飛翔の兄、空也にそれを阻まれた。
まだ街までは遠いが、大地、炎狼はそこで降りて応戦することにした。
「来い!U、焔!!」
炎狼は上空で自分の守護獣を呼ぶ。
「絶対に、降りるなよ?雪のないところであいつらを蹴散らせ」
そう命じて炎狼は地上に降りた。
「ったく。お前は寒くないのかよ」
目の前に現れた砂輝を前に大地が呟いて構える。
「鍛え方が違うからね〜」
そう言って攻めてきた砂輝に「上等」と呟き、大地は応戦した。
「爛...」
目の前に現れた爛を見て辛そうにしている炎狼は上空から
「炎狼、能力は使うなよ!」
と飛翔に釘を刺された。
「分かってるよ!それは爛にも言えっての!!」
そう言いながら護身刀を抜く。
「覚悟」
静かに呟いた爛は炎の剣を作る。
「言った傍からそんなモン作るな!」
炎狼は炎を操り、爛の炎の剣の力を抑えた。
「強くなったのか、アイツ?」
そんな地上の炎狼を見て空也が呟く。
「ま、一応、鍛えられてるからな。貴方たちに」
そう言って飛翔も背中の護身刀を抜く。
「氷菜さん、大丈夫ですか!」
氷の家の中の氷菜の無事を確認する。
「何が、起こっているんですか?」
「魔族が攻めてきました。此処はわたしと雷が守ります。絶対に家の外に出ないでくださいね」
そう言って沙羅は家を出た。
外は既に魔族が集まってきている。
「こんな、人一人しか居ないところに何の用なのかね?」
雷は氷の家にあった剣を借りて抜く。
沙羅は精神を集中する。
異世界と此処をつなげる呪文を唱えた後、召喚を始める。
「汝、聖なる獣。汝、魔を退ける者。汝の聖水により我を守りたまえ。バロン!!」
とにかく、この家を、氷菜を守らなければ。
「汝、異世界の王。汝、気高き獣。我は祈る、我は願う。汝の力をここに示せ。ユニコーン!!」
ユニコーンを召喚した。
続いて
「汝、氷の女王。汝の凍てつく瞳を以ってしてかの者の全てのときを止めろ。フラウ!!」
「汝、風の誉(ほまれ)。汝は黒き疾風。我が前に立ちはだかる者を切り裂け。ガルーダ!!」
2体召喚する。
全部で4体召喚した。沙羅はそれが限界だった。
それでも、沙羅はまだ召喚しようとする。
「我ガ乙女、ヤメロ。乙女ニハ、モウソンナ力ハナイ。動ケナクナルゾ」
沙羅を背に乗せて敵を蹴散らしながらユニコーンが声を掛ける。
「わかってる。でも、まだいけるかもしれない。限界はやってみないと分からないわ」
そう言いながら構えるが、
「でも、沙羅。炎と雷はダメだよ。雪崩ってのが起きるらしいから。地の力も同じみたい」
と雷が声を掛ける。
残っている召喚獣はその属性のものしか居ない。
「乙女、集中シロ。乙女ノ精神力ガ切レタトキ、我ラハ戻ッテシマウ」
そう言われて、沙羅は召喚を諦め、召喚獣の指揮についた。
|