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翌朝、皆がリビングに向かうと、風花と凪が起きていた。
「伯母上...」
「昨日は失礼致しました。氷さんの氷(こおり)のことは風真から聞いています。ありがとうございます。今日は、勿論私も凪も帝の元へ参ります。」
いつもとは違う伯母の気迫に飲まれそうになりながら、炎狼は、
「...分かりました。飛翔は?」
と言うと、風花はいつもの口調に戻り、
「ご飯作ってくれているわよ、風真ちゃんと。」
と答えた。
朝食を済ませて軍庁舎へ行く。
奥へ進み、一度地下に潜る。
図書室のようなところに入り、
「ここから先のことは口外しないでくれ。」
飛翔が振り向いて皆に言い、皆も頷いた。
それを見た飛翔が本棚の前に足を進め、何かを考える。
「今日は...」
「土の属性よ。」
飛翔が考えていると、風花が答えた。
それを受けて飛翔がひとつの本を引く。
するとその本棚が沈み、道が現れる。
「付いて来てくれ。」
飛翔に続いて皆も奥に進む。
少し歩くと開けたところに出た。
どうやら建物の中で、庭が見える。
今までの建物の様子と違うので、大地、雷、沙羅、氷は困惑していたようだ。
「お待ちしておりました。どうぞ、帝がお待ちになっておられます。」
十二単を着ている女性が恭しく頭を下げて案内する。
「よく来たな、飛翔。...母も一緒なのか?」
「はい、申し訳ありません。そちらも、東宮様や中務卿宮様、式部卿宮様までご一緒でしたか。」
「ああ、うっかり口を滑らせてしまってな。一の宮、久しいな。」
「お久し振りです、兄上。本日は、何の前触れもなく参りまして失礼いたしました。」
「構わない。そなたと話すのも久し振りだからな。それで、飛翔。話を聞こう。」
帝に促され、飛翔はこれまでの話をした。
「そうか、やはり、お前がな。それで、試練を受ける所...。宮、何か心当たりはないか?」
「そうですね...」
声を掛けられた宮が悩んでいると、
「恐れながら。確か東の方に竹林に囲まれた、小さな神社が風神を奉っていたと記憶しています。名前が思い出せないのですが...」
風花が話す。
宮と呼ばれた二人も納得した。
「ありましたね、確かに。あそこは風が生まれるといわれている神社です。行ってみる価値があるかもしれません。」
「そうだな、飛翔、そこへ行ってみなさい。今、車を用意する。君たちの外見だと市中の者たちが怖がるから、遅くても我慢してくれ。」
「車?」
雷が炎狼に耳打ちすると、炎狼は苦笑しながら
「牛が牽くんだよ。ゆっくり観光できるぞ?」
と答えた。
「母様と姉様は此処に残ってくだ「いやよ。」
飛翔が言おうとした言葉が予想できた風花がそれを遮る。
「私にも知る権利あります。連れて行きなさい。」
いつもはない強い口調で飛翔に言った。
飛翔は不承不承で頷いた。
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