第14話





何でこんなことになっているのだろうか...

空人は目の前の光景に溜息をつく。此処最近溜息をつく回数が断然増えた。

「幸せが逃げるぞー」

愉快そうに東風が言い、

「時間がないんだ、行くぞ!」

と鳳貴に言われた。


今日の定例会は、あいも変わらず実のない話となった。

「定例会、やめませんか?」

以前白の将軍に言ってみた。

笑われた。「同感だ」と。

相変わらず他国を狙う話で盛り上がっていた。赤と黒の間で。

突然、バンと机を叩いて立ち上がる人がいた。赤の中尉、鳳貴だ。

「他国を軽んじるのはいい加減おやめになってはいかがか」

おや?とその場の空気がひとまず止まる。

「どうした、鳳貴」

父である赤の中将がいう。

「あなた方は、元青の大佐である飛翔を軽んじている。しかし、飛翔は国政に戻すべきです」

「おいおい、赤の中将。ご子息は何を仰っているのかな?」

からかうように黒の少将が言う。

「あ、いや。疲れているのかもしれません。鳳貴!」

たしなめられたが鳳貴は引かない。

「このまま愚政を続ければ、飛翔にこの国を見限られてしまいますよ」

いや、それはないと思うけどな...

炎勇、翼、空也は心の中で突っ込む。

「女一人に見限られてどうなる。そもそも、我々があれを見限ったのだ」

「風の勇者がこの国に不在となれば、他国への牽制ができない!」

「何を言う。わが国の技術力をもってすれば他国など...砂や氷、木に埋もれているようなおおよそ科学技術と縁のない国を恐れてどうする。それでも赤の中尉か?」

赤の大将が言う。

「飛翔の風の能力はわが国で最も優れています。それがこの国からなくなるんですよ?!」

「だから、我々には科学技術力があるといっているではないか」

呆れたように黒の大将が言う。

「他国の能力者の能力、ご覧になったことありましょう」

「ああ、飛翔が越権行為をしたあのときのことか?」

以前、飛翔が風の勇者の試練を受けるために全員でこの国に来たことがある。そのときに、魔族の襲来があり、エンブレムが戻るまでそれぞれが自分の能力を使って止めていた。まだエンブレムの解放が出来ていなかった氷はそのまま自分の持つ能力を使って戦っていた。

「水の能力者は水を氷にすることも出来る。大気にある水分を集めてそれを操ることができる。地の能力者は、地形を操ることができると聞きました。この石造りの壁はス何することができるとか。光の勇者は、雷を落としていました。炎は、この国を焦土と化すことは出来ますよね」

そう言って炎勇を見た。

「可能だ」

と彼は完結に答える。

さらりと答える炎勇の声音に戦慄した者が幾人かあった。

「それで、赤の中尉。君は何が言いたいのかな?」

そういったのは白の大将だ。

「飛翔の復活です」

「不可能だ」

すぐに彼が却下した。

「何故ですか!」

「法がある」

間髪入れずにそう返されて黙り込む。確かにそうだ。だから、飛翔も退任した。

「だが、今回のように男以上の能力を持っている女がいることもまた飛翔と言う存在で証明された」

青の大将が言う。

「確かに...」

白の中尉が呟いた。

「しかし、飛翔ひとり。それが例外だっただけではないのでしょうか?」

わざとらしく青の少将が言った。

「では、試験を受けさせてはいかがでしょうか」

青の少尉が言う。

「今度、入隊試験を開催しますよね。そのとき、女も受験可能としてはどうだろう。合格者がある程度なければこのまま法改正は行わず、政治は男だけと言うことで。しかし、合格者が我々が定める割合以上あれば認めるものとして法改正をしましょう」

白の大将が頷いた。

「とりあえず、今回の枠を決め...」

「待ちたまえ!」

立ち上がって止めたのは赤の中将だ。

「我々はそれを認めない」

「ああ、怖いんですよね。負けたことがあるから、ご子息が」

挑発するように白の大佐が言う。

「な...!な......!!」

言葉が出てこない代わりに怒りで顔が真っ赤に染まる。

「男も、試験を受けて不合格となる者がいるのに、女は不合格になれば能力がないと言うのは些か不公平な気がしますが...ひとまず今年はそのようにしましょうか」

赤の中将を無視して白の大佐が言った。

「では、基準について少し詰めましょう。次回の定例会までにまとめておきます」

その言葉が今回の解散の合図となった。


そして、今に至る。

「何で...」

巻き込まれた。確実に巻き込まれた...

空人は肩を落として、仕方ないので鳳貴の後をついていくことにした。









桜風
12.5.27


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