第22話
| 受験生が家にいるので帰宅できず空也は今回宿直を買ってでている。 それは翼と炎勇も同じだが、みんなばらばらだ。 「おー、空也」 声をかけられて振り返った。 「お陰さんでー」 苦笑して軽く手を挙げる。 声をかけてきたのは東風だった。彼とその仲間のお陰で飛翔の受験が叶った。 実は彼とは同期で、結構気があう。飛翔に東風を教えたのも空也だった。たぶん、気に入ると思うし、飛翔には必要な人材だと思ったのだ。 そして、予想通り飛翔は彼を見に行って、少し話をして気に入った。 まあ、それはそれで正直面白くないが。 「明日、赤と黒がアホやるんだってな?お前、止めたの?」 黒の中将である空也に東風が問う。 「いや、今回の試験では一切口出しをしない。兄貴もオヤジも」 「不利に働くかもしれねーもんな」 苦笑して東風が言う。 「そういうこと。今日だって、帰れないんだぜ?」 肩を竦めて言う。 「白の情報は?」 「そこもトップシークレットだろうな。俺は知らない」 軽く手を振って言う。 「鳳貴が、絶対この機に乗じて人事があるはずって読んでんだけど?」 「俺も同感。元々色々と弄りたいと言う動きはあったみたいなんだけどな。中々赤と黒がうるさ型だから、難しかったんだろうけど、今回が良いチャンスだろう。あいつら、明日絶対に飛翔に赤っ恥掻かされるだろうしな」 クツクツと笑いながら空也が言う。 「お前、性格悪いなー」 「つか、うちの飛翔を陥れることが出来るヤツがいたらお目にかかりたいってことだよ」 「妹馬鹿め」 呆れたように東風が言うと 「おー、それの何が悪い」 と開き直って空也が返してきた。 「や、平和でいいんじゃね?」 苦笑して東風が言うと 「だろ?」 とちょっと得意になって返された。 「そういや、鳳貴は変わったなー。お前らんところに結構入り浸ってんだって?たまに、空人が邪魔だって言ってるぜ」 「あー、結構頻繁に。最初は敵意剥き出しだった颯希が、そこまで威嚇しなくなったしな」 苦笑しながら返す。 そういえば、西風が最近は大人しい。 「なあ、赤にいた、西風って知ってるか?」 「ああ、ちびな?あいつ、いっぱしにスパイ活動に精を出してるぞ」 「...ウチの?」 呆れたように東風が言う。 「おう。お前らの漫才も筒抜けだ」 報告する内容を精査しろ... 溜息混じりにそんなことを思いながら 「んで、上の反応は?」 と問うてみた 「お荷物部隊の情報を知っても、と赤と黒は思ってる。白と青は知らん」 彼の苦労は報われないらしい。 それもそうだろう。漫才を報告しているのでは、スパイとしての手腕はまったく買ってもらえない。 「お前からみた西風はどうだ?」 「あいつが『飛翔様大好き!』って言い始めたら、颯希と超被る」 苦笑して言う。 認められる部分はあるということなのだろう。 「ま、明日だな」 愉快そうに東風が言う。 「明日?」 「そ、西風が『飛翔様大好き!』ってなるかどうか」 「...あいつ、自分に刃を向けるヤツには結構容赦ないからな」 苦笑しながら空也が言う。 だから、明日の実技試験で赤と黒の試験官は絶対に恥を掻かされると思っているのだ。 「ま、楽しそうだよな」 空也の呟きが耳に届いた東風は 「否定はしねーけど。お前も結構性格悪いなー」 と苦笑した。 「お褒めに預かり、光栄です」 優雅に礼をする空也に東風は眉を上げる。 本当に、最上級の特権階級は、纏っている空気が全然違うものだ。 |
桜風
12.9.23
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