第26話





「ガキみてぇ...」

苦笑いを浮かべながら東風が言う。

鳳貴はあの日から赤と黒に徹底的にやられている。子供が気に入らない子を見つけてハブるのと同じだ。

「んで、今の心境は?」

「俺に構うな」

廊下の窓の外を眺めている鳳貴をみつけて少しだけ距離を取り、ギリギリ声が聞こえるところに立った東風が声をかけた。

不機嫌に返されて苦笑する。

「家のほうも結構酷いだろう?」

「...俺に構うな。言葉が分からないのか?」

「はっはー。飛翔の部下ってのはな、飛翔の指示しか聞かないって有名なんだぜ」

東風の言葉に鳳貴は盛大に溜息を吐いた。

「大総統が相手でもか?」

「おうよ。飛翔が、『この国をなぎ払えー』つったら『イエッサー!』..あー、じゃないか。今は『イエス、マム!』ってなぎ払うぞ?飛翔は絶対言わないから、オレらがこの国を滅亡に導くことはしないけど。ウチがどんな団体か、お前ももう知ってるだろう?」

愉快そうに東風が言った。

「迷惑な集団だ」

溜息混じりに鳳貴が言う。

「まあなー」

「おう、仲間に入れろ」

そう言って東風の肩に腕を回して体重を掛けてきた人物がいた。空也だ。

「おー、いの一番の裏切り者様ではないかー」

笑いながら東風が言う。

「うっせ!兄貴に色々やり辛れぇって訴えても「そうか」で終わりだぜ?兄貴はいいよな、白だもん」

「ならサインしなきゃいいだろう」

東風が言う。

「バカ。自分が可愛くてここにいられるかよ。飛翔に笑顔で「空也兄様、サイテーですね」って言われるかもしれないだろう?しかも、冷ややかに」

「飛翔が冷ややかに言わなきゃサインも出来ねーのかよ」

「ちげーよ、バカ」

気安くそんな会話をしている2人を不思議そうに見ていた鳳貴が「あの」と声を掛ける。

「あ?」

応じたのは空也だ。

「2人は知り合い..ですか?」

「ああ、同期。飛翔にこいつ紹介したもの、俺。たぶん気に入るだろうなーって思ったら気に入ってたし」

「おー、俺ってやっぱりモテモテ」

「はっはー、ぶっ飛ばすぞ?」

にこりと微笑んで空也が言う。

「うそうそ」

殺気を放ってそういわれれば慌てて東風が訂正する。

「そういや、飛翔のシンパ増えたぞ」

「西風か」

苦笑して空也が応じる。

「炎の能力も持ってたのが甚く気に入ったらしい。あと、実力差だな。バカだよなー。面白かったけど」

「エンターテイメント性はかなりあっただろう?」

「炎には放送が行ってたんだろう?」

「あそこは受信できるからな」

そう言って空也が頷く。

「え?!」

声を上げた鳳貴に東風が驚いた。

「え、何でお前知らねぇの?」

「他国に興味なければ知らないものだ」

また声が増えた。

「白の将軍閣下。職場環境が最悪なのでそろそろどうにかしてください」

「明日まで待て。というか、自分の部下も御せ無いのか」

冷ややかに言われた空也は肩を竦める。

明日が今回の試験の合格発表だ。

「けど、受験者の皆さん、色々嫌がらせを受けてるらしいなー」

空也が翼を見て言うと

「白が動く。自主的に飛翔の元部下が動いてくれていたらしいが、これは正式なものになる。人事に関係することに位置づけた。大総統と、帝の許可は頂いた」

「お、最強じゃん。市中の安全を守らなきゃいけないはずの赤が、民の安全を脅かしてるからな」

「お陰で帝も大層お怒りだ」

「だろーなー」と空也が呟く。

合格発表があり、合格者はその後ひと月後に採用となる。

色々と問題はあるが、国の形がひとつ変わるのが明日ということだ。

「暴動起きなきゃいいけどな」

「起こしたやつは片っ端から潰していく」

口の端を上げて翼が言った。

「兄貴は怒らせたら面倒だもんなー」

「ばーか。白は全員だ」

白も意外とアクが強いのが揃っているのだ。









桜風
12.11.25


ブラウザバックでお戻りください