| まだ外は明るい。 そりゃそうだ。昼間だもん。 では、何故この男はソファから脚をはみ出させて寝ているのか。 昼寝が趣味..というか日課だから。 一人問答をしながらは『この男』こと不知火一樹の寝顔を覗き込む。 「3時になったら起こしてくれ」 そう言って彼がソファに寝転んだのは15分前。昼寝は長すぎると夜の睡眠の妨げになる。 だから、15分程度で良いそうだ。 そろそろ時間だな、とは手を伸ばして不知火の肩に触れる。 グイと引っ張られてそのまま不知火の上に覆いかぶさってしまった。 「ちょっと、危ないよ」 そう文句を言うが「気にするな」と返される。 「そろそろ時間」 「みたいだな」 そう言いつつも、不知火はを抱きしめて動こうとしない。 「一樹」 「へいへい」 窘められた不知火はそう返事をして腕の力を緩めた。 「、悪いがコーヒーを淹れてくれないか」 「はいはい、お安い御用ですよ」 そう言ってキッチンに向かう。 体を起こした不知火はソファの下に落ちてしまった新聞を拾い上げて広げる。 「さっきも読んでたのに」 そう言いながらは不知火にマグカップを渡す。 「ん?のは?」 「さっきのさっきまで飲んでたからパス。おなかたぷたぷになっちゃう」 そう言って笑うに「何だよー」と不知火は少し拗ねた。 「で、何か目新しいことでもあるの?」 そう言いながら後ろから新聞を覗き込む。 「んー、まあ。ああ、そうだ」 そう言って不知火はコーヒーを一口のみ、振り返る。 ソファの背もたれを挟んだ形でしかもが立っているから不知火は随分と彼女を見上げている状態だ。 「なに?」 「『I love you』を訳しなさい」 不意に不知火がそう言う。 「なに、それ」 「有名らしいぞ」と言われては腕を組んで唸り始める。 態々不知火がそう言うなら、きっとこれは捻りが必要なのだろう。 「Je t'aime」 「そりゃフランス語に訳しただけじゃないか」 呆れたように不知火が零した。 「じゃあ、何?」 「かの夏目漱石は『月が綺麗ですね』と訳したそうだ」 「わたし、絶対に空を見上げる」 「だよな。しかもの場合は、ついでに月齢まで言いそうだよな」 苦笑しながら不知火が言い、も不本意そうに頷いた。 「じゃあ、一樹は?」 「俺?俺かぁ...」 そう呟いて腕を組む。 暫くそうしていたが、ふと顔を上げてニッと笑った。 カップを置いて立ち上がった不知火は腕を伸ばし、を抱き寄せる。 「この先もずっと俺の隣はお前のもんだ」 「あ、あの..それってちょっとI love youを通り越しているような...」 プロポーズっぽい言葉じゃないだろうか... 「そうかぁ?」 すっとぼける不知火とは対照的には珍しく動揺していた。 |
桜風
11.5.1
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