Diamond ring 1





 一樹が卒業し、あっという間に入学式を迎え、やっと一息つくことが出来るようになった4月の半ばに一樹から電話が掛かってきた。

『久しぶりだな』と言う声に、ホントだ、とは思う。

本当はもっと早くに電話をしたかったのだが、大学生ってどんな生活なのか分らない。

琥太郎に聞いてみたが、「人それぞれだしな」と冷たい一言で片付けられた。

晴秋や郁にもきいてみようと思ったが、同じ言葉が返ってきそうで聞くのをやめた。

そんな中での電話だったので思いのほか声が弾んでいたようだ。

『どうした、何か良いことがあったのか?俺にも教えてくれよ』

そう言われては素直に

「一樹さんから電話がありました」

と答え、受話器の向こうの一樹が黙り込んで慌てた。

これでは忙しい一樹を無視して、電話の催促をしているみたいじゃないか。

「今のなし」と言おうとしたところで

『お前、ずるいぞ、それは』

と困った声音の一樹の声。

益々慌ててしまう。

『そんな可愛いことを言うなよ。抱きしめることもキスすることも出来ないってのに』

と言われては固まった。

『おーい、?どうした?』

「ビックリしました」

『ビックリ?どうした』

「一樹さんが突然恥ずかしいことを言うから...」

の言葉で一樹は溜息を吐く。

『誰のせいだ、誰の...』

そういったがすぐに気を取り直したように『そうだ』と言う。

、今度の休みは時間があるか?』

「今度のお休み..土曜日ですか?」

『どっちでも良いぞ?今の時期は生徒会はそこまで忙しくないだろうし、どうだ?』

一樹の指摘に頷き、「どっちでも大丈夫です」と返す。

『じゃあ、土曜日にデートをしよう』

「デート!」

弾んだ声で言うに一樹は苦笑を漏らした。

素直だなぁ...可愛いなぁ...なんで今、目の前に居ないんだ?

『出てこれるな?』

「はい!」

『じゃあ、そうだな。正装して出てこれるか?』

「お掃除?」

『ああ、その『清掃』じゃなくて、ドレスだよ』

「ドレス..は、持ってないです」

しょんぼりとが言う。

『あー、そうか...』

一樹が言うとドアがノックされた。

その音が電話の向こうの一樹にも聞こえたらしく、『一旦切ろう。また10分後に電話する』と言って通話が切れた。

誰だ、と思いながら応じると「俺だ」と琥太郎の声だった。

「なに?」

少しだけ不機嫌に返しながらはドアを開けた。

「ああ、せっかくのラブラブトークを邪魔して悪かったな」

「ちょ、琥太にぃ!盗み聞き?!」

が非難するように言うと「お前の不機嫌な声を聞けば容易に想像がつく」と言われて俯く。

「で、邪魔をしたのはこれだ。今日、保健室に届いた」

そう言って大きな荷物を渡された。

「何だろう...」

「夏姉とアキからだからちょっと早いけど誕生日プレゼントじゃないのか?もしくは、少し遅い進級祝い」

そっか、と納得した。「今年の誕生日はいけないのー!」と先日姉から電話があった。

もうおなかいっぱいなので別に構わない。

「ありがとう」

「ああ、邪魔してすまなかったな」

「あ、ううん。わたしこそごめんなさい」

頭を下げて謝るの頭を軽く撫でた琥太郎は「あまり遅くまで起きておくんじゃないぞ」と一言注意して部屋に戻っていく。


電話をかけなおすか、と思ったが、姉達にもお礼の電話をしなくてはならないので中身だけでも確認してみようと思ってそれを開けた。

送られてきたもの全てを確認しては目を丸くして固まった。









桜風
13.6.14


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