Diamond ring 24




 夜景は諦めて複合商業施設に向かった。

フードコートで食事を摂り、施設内にプラネタリウムがあることに気付く。

に言うと

「行きたいです」

と目を輝かせてそういった。

やっぱり、自分たちには星だな、と一樹は苦笑する。


チケットを購入してプログラムを貰った。

待合席のソファに座って待っていたに渡すと、すぐにそれを読み始める。

今はひとつ前の回が上映されているところらしい。もう少し時間がある。

「ああ、秋の星座か」

「これからの星空の予習ですね」

そう言いながら星座の説明が書かれている部分をは読んでいた。

そういうところには大抵神話が書かれている。

「知ってることだろう?」

「けど、面白いですよ」

すっかり機嫌が直ったに一樹は安心する。

窓の外を見ると浴衣の女性が多いことに気がついた。

そういえば、さっきのフードコートでも浴衣の人口が多かったな、と思い出す。

夢中でプログラムに書かれている内容を読んでいるに「ちょっと席外すからな」と声をかけて一樹はその場を離れた。

プログラムを読み終わって顔を上げると一樹が居ない。

「あれ?」と首を傾げる。

自分たちが入る回の入場についてのアナウンスが流れてきた。

キョロキョロと見渡していると一樹が戻ってくる。

お手洗いかな、と思いつつもは立ち上がった。

「入場、始まってますよ」

に言われて「悪い悪い」と一樹が軽く手を上げ、並んで入場した。

施設としては星月学園のプラネタリウムとそう変わらない。

そして、違うところといえば、こちらは一般向けなのでそんな難しい内容は説明されていない。

さらりとした感じだな、とは思い、一樹も似たようなことは思ったらしい。


「面白かったですね」

上映が終了してが言う。

「そうだな、普通のプラネタリウムはこんなもんなんだな」

一樹が頷く。

「なあ、。お前門限あったっけ?」

「いいえ。遅くなるなら電話をしなきゃですけど、夕飯は要らないって一応話しています」

夏休みに入って生徒会活動が一区切りを迎えたところで星月の家に帰っているのだ。

実家の方は、晴秋たちが帰ってこられる盆のうちに一度帰る予定だった。

「じゃあ、一応電話しとけ」

首を傾げるに「今日、ここいらで花火大会があるらしい」と一樹が言う。

臨海公園が近くにあり、そこで花火大会が行われるとか。

「あ、だから浴衣の人が多いんですね」

もそれは気になっていた。

「ああ。お前も着ろよ」

「はい?」

「さっき、浴衣売り場を見て来たんだけど、に似合いそうなの結構あったぞ。これは、俺のわがままだから、俺が買ってやる」

「へ?」

きょとんとするの手を引き、一樹はそのまま浴衣売り場を目指した。


「あの、一樹さん?」

「んー、こっちの方が可愛い気がするが...いや、だが色がな」

本気モードで一樹はの浴衣を選んでいる。

店員は物凄く微笑ましくその姿を見守ってくれているが、は困惑したままだ。

「あの、一樹さん」

もう一度名前を呼ぶ。

「そういや、お前んちも浴衣あるんだよな。どんな柄だ?あ、色も。被らない方がいいよな?」

は諦め、「この金魚が可愛いです」と一樹が右手に持っている浴衣を指差した。

「そうか、これか。うん、良く似合うと思うぞ。あとは..帯だな」

そう言って一樹が選んだ帯を渡され、会計を済ませてフィッティングルームを借りる。

「お手伝いしましょうか?」と店員に声をかけられたが、「大丈夫です」と断ったは一人で着付けてフィッティングルームのカーテンを開けた。

「ああ」と一樹は思わず感嘆の声を漏らす。

ちなみに、下駄も購入しているので、一揃え揃っている。

「良く似合うぞ」

満足げに一樹が言い、

「とても可愛らしいですよ」

と店員も頷く。

上機嫌な一樹に手を引かれ、は臨海公園へと向かった。









桜風
13.11.22


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