Diamond ring 29





 文化祭の最中、携帯に着信があった。

生徒会室で留守番をしていたはそれに応じる。

『文化祭、楽しんでるか?』

電話の相手は一樹で「今はお留守番当番です」とが返す。

『一人か?』

「はい、そうです」

『気をつけろよ』

一樹としては昨年の事があるので、気が気ではないようだ。

「はーい」と間延びの返事をすると『おいおい』と呆れられる。

「一樹さんのところは、お昼前..ですか?」

『ああ、今日は学校が休みだからさっき起きたんだよ。そういや、文化祭っていってたなって思って電話してみた』

「嬉しいです」

が返すと一樹は苦笑する。

は、電話だとかなり素直だな』

「いつも素直ですよー」

笑って返すに一樹は息を吐く。

『スターロードは、誰かと歩くのか?』

「今のところ決めてませんけど。今年もつっこちゃんのクラスは文化祭に力が入ってるし。去年みたいに颯斗くんとかもしれませんね」

『うっかりその気になるなよ』

「信用ないですねー」

からかい口調の

『信用はしてるが、面白くないんだよ。何だって晴秋さんはそんな伝説をでっち上げたんだ...』

ブツブツと文句を言っている一樹の耳元にクスクスと嬉しそうな声が届く。

『あー、はいはい。子供みたいなんだよな』

「可愛いですよ」

『そういや、。勉強は捗ってるか?』

一応受験生だ。勉強も大変だろう。

「まあ、ボチボチです」

『無理はするなよ。はやり始めると一生懸命だからな...』

「つっこちゃん程じゃないですよ。手の抜き方は知っています。抜けるかどうかは別として」


そんな会話をしていると生徒会室のドアが開いた。

「ただいまぬーん!あ、電話中...」

賑やかに翼が入ってきて、が電話をしていることに気付いてボリュームを下げる。

『翼か?』

「代わります?」

『ああ、せっかくだからな』

一樹の返事を聞いて「翼くん、一樹さん」と言って携帯を差し出す。

「俺が出ても良いのか?」

「今確認したよ」

「ありがとうなのだー」

そう言って翼は嬉しそうに会話を始める。

翼は模擬店で色々と購入してきたらしい。焼きそばにたこ焼き。クレープもある。

「これ、全部翼くんが食べるのかな...」

アレだけ体が大きいのだ。ペロリと入るのだろう。

暫く翼が楽しげに話をしていたが「ー」と呼ぶ。

「なに?」

「ぬいぬいがに代わってくれって」

「あ、そうなの?」と携帯を返してもらい、「もしもし」と声をかける。

『悪いな。そろそろ切るわ』

そういわれて「わかりました」と頷く。

『じゃあな、いい子にしてろよ』

「子供じゃありません」

一樹の言葉に思わずムキになって返す。

『あははは』と一樹は笑い、『あんま頑張りすぎるなよ』と言って電話を切った。

通話が切れた電話を眺めるに「ぬいぬい、元気そうだったな」と翼が声をかけてきた。

「そうね」とは頷く。

「よく電話するのか?」

「たまに、かな?そんなしょっちゅうすると電話代が...」

そう苦笑しながら返すに「そうか」と翼が少し沈んで返す。

その後、月子が生徒会室にやってきて翼から先ほど一樹と話をしたことを聞いて驚いた。

いいな、と羨ましがった。

結局、スターロードは生徒会メンバー揃って歩いた。

昨年の翼は、どうやら結局スターロードは歩けなかったらしく、とても嬉しそうだ。

最後の文化祭は、静かに幕を下ろした。

これから迎える学校行事が全てこうやって静かに終わっていくのかな、と思うと少し寂しい気がした。

そして、だから一樹はあんな賑やかなイベントにしていたのかなと思った。

「次は、大掃除だね」

が呟く。

「まだまだ忙しい日が続きますね」

そういった颯斗の声にも少しだけ寂しさが含まれていて、と月子は顔を合わせ、やっぱり寂しそうに笑った。









桜風
13.12.27


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