Diamond ring 30





 ドンドンと激しくドアを叩かれて琥太郎は慌ててドアを開けた。

既に寮に帰ったあとだったのだが、急患かと思って驚いた。

しかし、ドアを開けた先にいたのは、だった。

「どうした、

目を輝かせた彼女が紙を見せてくる。

受け取った琥太郎が目を通し、そして笑った。

「よく頑張ったな」

ワシワシと彼女の頭を撫でる。

目を細めて照れているだったが、琥太郎はハタと気がついて手を下ろした。

そういえば、此処は寮だ。

が身内と言うのもあまり知られない方がいいと思っているので、慌ててしまった。

も普段はそういうのに気をつける方だが、今回のはそういったことを失念するくらいに嬉しかったのだろう。

「お姉さん達には連絡したのか?」

そういわれてはやっと自分がプライベートで琥太郎を訪ねていたことに気がついた。

「あ、まだです。ごめんなさい、夜遅くに」

「いいや、嬉しい報告だったからな。ありがとう」

そういった琥太郎にペコリと頭を下げては廊下を走って自室に向かった。

「みにくいアヒルの子は、白鳥だったな...」

以前、郁がを『みにくいアヒルの子』表現していた。そして、みにくいアヒルの子はみにくいアヒルの子だとも。

勿論、郁の本心ではなく、からかいが充分にあったのだろうが、としてはかなり傷ついたらしく、未だに根に持っているようだ。



「夏姉は、正月には帰ってこないのか?」

「無理っぽいから、今回のこれでご挨拶にかえさせていただきます」

ふんぞり返ったまま何を言ってるんだか...

が大学に合格した。

国立の一般推薦での合格だったので、これは凄いことだと琥雪がパーティをすると言い出し、正月に帰って来れない夏凛と晴秋もと顔を合わせるのに丁度良いということでやってきたのだ。

勿論、琥太郎は「帰ってくるんでしょ」と夏凛と琥春に言われて仕方なく学校を空けることにした。

「苦労するな」と笑いながら言う晴秋は、久しぶりにに会えるので嬉しそうだ。

「何で琥太がをつれて帰らないの?」

「学校からか?が変なやっかみを受けるだろう」

「面倒ねー」

そういいながら夏凛はそわそわしっぱなしだ。に合格祝いとちょっと早いがクリスマスプレゼントを持ってきているのだ。

同じく晴秋もプレゼントを持ってきているらしいが、夏凛よりも落ち着いている。

「そういや、今回は正真正銘の馬鹿は呼んでるのか?」

「郁の事?」

晴秋の言葉に夏凛が問う。

「あいつも馬鹿だけど。一樹」

「海を渡ってまで呼べないでしょう、普通。どうせ、クリスマス休暇とかに帰ってくるんじゃないの?あっちは、クリスマスのが大切にされているからね。その辺りはもう休みでしょ」

夏凛がそう言う。

「クリスマスって言えば、まだ学校だよな」

晴秋が琥太郎に視線を向けると彼は頷いた。

「大体の生徒は26日か27日に帰るな。去年はは帰らなかったけどな」

「ああ、星月の家が何やら総出しなきゃだったのよね。今年は?」

「出かける用事がないから、帰ってきても良いが...それに、宿直の先生も今年は大丈夫みたいだしな」

昨年は当番の先生が宿直出来ないということで、生徒会が代わりに学校に残って留守を預かったのだ。

「ただいまー」とが帰ってくる。

「ただいまー」と同じ言葉で郁が入ってきた。

「え、郁に迎えに行かせたの?」

琥太郎を見て夏凛が言う。

「え、ああ。暇そうにしてたし...」

、夜道には気をつけるのよ」

久しぶりに会った姉が抱擁しながらそう言う。

「え、何で?!」

「そりゃ、郁が買った恨みをにぶつけられるかもしれないからなー」

そう言って晴秋は、夏凛に抱きしめられているの頭を撫でる。

「そうそう、。年が明けて..生徒会長選挙が終わったくらいに学校サボって住むとこ探しとこうな」

晴秋の言葉に

「せめて俺の前では言うな」

と琥太郎が溜息を吐く。

理事長の前で、学校をサボらせると公言するなと言いたいのだ。

「どうせ、学校は行かなくて良いだろうが。大学も決まってるし」

「じゃあ、僕の部屋を使う?立地条件は悪くないけど?家具も殆ど譲れるし」

郁の提案に乗ろうとした

「ダメよ、。勘違いした人に刺される可能性があるわ」

「そうだぞー。とばっちりはごめんだろう?」

夏凛と晴秋がそんなことを言う。

「郁、いつまでも言われそうだな、これは...」

呆れたように琥太郎がいい、郁はうな垂れて「そうだね」と言う。

「あ、けど。郁。2月後半だったら暇だろう?部屋探しは付き合え」

「えー、何で」と抗議の声を上げる郁に

「俺は部屋を探してひとり暮らしをしたことがない」

と晴秋が言う。

「胸を張って言うこと?まあ、良いけど」

郁の了承を得たため、部屋探しは彼に付き合ってもらうことになったらしい。

「えーと、よろしくお願いします」

郁にペコリと頭を下げると

「いいよ、慣れたよ」

疲れた表情で郁が軽く手を上げて応えた。


星月家と夏凛に晴秋。そして、郁にお祝いされたはくすぐったそうに目を細め、皆に礼を言った。

クリスマスの準備があるので、は星月家に泊まらず少しよるも遅かったが晴秋に送ってもらって寮へと帰った。









桜風
14.1.3


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