Diamond ring 32





 あのあと、一樹に寮の前まで送ってもらい、彼は早々に学園を去っていった。

そして、クリスマスの片づけを済ませて星月の家に帰る。

帰った翌日に琥雪が車を出してくれて実家の両親の墓参りを済ませて、実家に立ち寄り軽く掃除をして星月の家に帰る。


「そうそう、ちゃん」

「はい」

星月家に居る間は殆ど家事を手伝っている。

今も琥雪の料理の手伝いをしているところだ。

「昨日言ってた一樹君の家のお手伝い」

「あ、はい」

「いつから行くの?」

「けど、家のお手伝いは...」

が言うと琥雪は笑う。

「いいのよ。今回は幸之助さんも、琥春ちゃんも帰ってこないんですって。琥太郎だけだし、あの子もそれなりにお手伝いしてくれるから」

そう言ってカレンダーを見た。

ちゃん、いつ学校に帰るの?」

「6日か7日で考えています」とが言うと「あら、ギリギリね」と琥雪が呟いた。

やっぱり、ギリギリはまずいかなぁ...

受験がなくなったので、生徒会に時間を費やすことが出来るし、颯斗もどうやら普通の受験ではないようなので、それなりに生徒会に時間を費やせると言っていた。

つまり、3学期に入ってからの生徒会活動は回るはずなのだ。

だからゆっくりして行こうかと思ったのだが...

「ま、一樹君もまた向こうに行っちゃうからなるべく長い時間一緒にいたいわよねー」

カラカラと笑いながら琥雪がそういい、は赤くなって俯いた。

本当の一番の理由がそれで、見透かされているとやっぱり恥ずかしい。

リビングに置いているの携帯が鳴る。

「あら?噂をすれば一樹君かしら?」

からかうように琥雪がいい、は慌てて携帯を手にした。

本当に一樹からで驚き、通話ボタンを押す。

、今大丈夫か?』

「はい」

『ウチに、来れそうか?琥雪さんは何て??』

が顔を上げる。

琥雪がパチンとウィンクした。

「良いって言われました」

『いつから来れる?出来れば大晦日からが助かるんだが...』

一樹の言葉にが躊躇っていると琥雪がそばまでやってきて変わるようにジェスチャーする。

「あの、おばさんに代わります」

『へ?!』

ここで出てこられるのか?!

一樹は咄嗟に変な声を出してしまったが、そこはそこ。

「もしもし?」と琥雪が話しかけたときには体勢を立て直しており、『お久しぶりです』と冷静な対応をとる。

の目の前であれよあれよと言ううちに話がまとまってしまったらしく、「はい、どうぞ」と琥雪に携帯を渡されたあとは、一樹と数点の確認事項を話しただけで終わった。



大晦日に一樹が星月の家にやってきた。

「忙しいな」

と琥太郎が苦笑して、家に招き入れる。

はバタバタと準備中だ」

そう言ってコーヒーを淹れる。

「いただきます」とカップを受け取り、一口飲んだ。

本当に家の奥の方がバタバタとしている。

「母親も大騒ぎしているんだよ。は友人の家にも泊まったことがないからな」

『友人』と自分が言われたわけではないが、何だか牽制されているような気がしてならない。

「俺もの兄貴だからなぁ」

そんなことを呟く琥太郎はエスパーかもしれない。

「あの、お待たせしました!」

大騒ぎした割には荷物が小さい。

結局、は大晦日から4日まで不知火神社に泊り込みで手伝いをすることになったのだ。

忙しいのは3が日までだが、ゆっくりできる4日は一樹の地元でデートをしても良いだろうと思ったようで、一樹が提案してきた。

あまりにも突然の急展開な感じが恐ろしくて、は正直逃げ出したくもなったが、一樹はもっと急展開を迫られて逃げなかったことを思い出して頑張ってみることにした。

「では、行ってきます!」

最敬礼でが玄関まで見送りに来ていた琥雪と琥太郎に挨拶をする。

「気をつけてな」

と、琥太郎が言い

「無理はしないのよ。一樹君にちゃんと言うのよ」

と琥雪が言う。

「...母さん」

琥太郎が呆れたようにいい、琥雪はニコニコと笑っている。

「じ、じゃあ」と何かを察した一樹が言ってぺこりと頭を下げ、「いってきます」とは再び挨拶をしてドアを閉めた。









桜風
14.1.17


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