| 地元デートだったため、そんなに遅くまで出歩くことはなく、一樹はまだ日が沈んで間もない時間に彼女を家に送り届けた。 琥雪に誘われたので、夕飯をご馳走になる。 「あ、そうだ。」 「はい」 夕飯を食べ終わって食休みを取っている一樹がを呼んだ。 「これ、叔父さんたちから」 本日地元デートと聞いて急遽この作戦に出たらしい。 「え、いただけません」 「けど、ほら。お年玉だから」 お年玉だから、バイト代ではない。 しかし、名前が変わっただけで内容としてはバイト代だ。 困ったは琥太郎を見た。 「俺は何も見てない。ま、ここは不知火の顔を立てて受け取っておけ。貯金にでも回しておけば、将来役に立つだろう」 そんな大きな額ではないが、そうしておけばも多少は落ち着くだろう。 「じゃあ、あの。頂きます」 両手で受け取ったに「助かるよ」と一樹が苦笑した。 その後、郁が正月の挨拶に来て、4人でカードゲームをすることになった。ポーカーで最下位がトップの言うことを聞くというルールで始まった。 「、巫女さんしてきたんでしょう?どうだった?」 郁が聞くとは笑った。 「昨年度までの会長が突然大掛かりなイベントを思い付かれる方だったから、忙しいことには慣れてたし、助けてもらえたから」 昨年度までの会長はゴホンと咳払いをする。 「まあ、昨年度までの会長は学園を巻き込んでのお祭を沢山してくれたからなぁ」 琥太郎もクツクツと笑いながらそういった。 「来年度の会長も似たタイプだと思うよ」 が琥太郎に言うと彼はちょっと遠い目をした。 「ヘタすりゃ、学園の建て替えか...」 「太っ腹!」 「僕は新校舎で教鞭を取れるのかな?」 が合いの手を入れ、郁がそんなことを言うと琥太郎は益々苦い表情になる。 「翼は、確実なのか?」 「たぶん...学年が上がってすぐに自覚って言いますか、颯斗くんの仕事を見て覚えようとしてましたし」 「不知火が種を蒔いて芽吹かせて、青空がそれを育てて、天羽が守るのか」 琥太郎がしみじみという。 「守るって言うか、進化させるんだと思うけどね。どっちに向かってかはわかんないけど、きっといい方向だよ」 が誇らしげに言う。 「そうだな、あいつららしさが出たら良いと思う。あいつら自身が考えて、学園がよりいいものになるようにみんなと一緒に向かえる事ができたら、それがきっと正解なんだろうな」 一樹が可愛い後輩に思いを馳せた。 いつの間にか大きくなっている彼らに少しだけ寂しさを感じる。 「新しいメンバーはどうなの?入ったんでしょ?」 郁が問う。先ほどの新校舎云々は冗談にしても、来年度から母校で教鞭をとる郁としては、問題は少ない方が良い。 「しっかりした子と勢いのある子が入ってるし、バランスは取れてるんじゃないかな?」 「そうだな、あの様子ならたちが抜けても大丈夫だろうな」 琥太郎が頷く。 もそれに頷き、それぞれのコップが空になっていることに気がつき、コーヒーを淹れにキッチンに向かった。 新学期が始まって一度顔を覗かせてみたい気もするが... 「来たら良いだろう。喜ぶはずだ」 琥太郎が言う。 「声に...」 「表情に出ていたぞ」 「意外と不知火君も可愛いところあるね」 「男が可愛いって言われても嬉しくないですよ」 苦々しく一樹が言う。 しかし、は勝負の途中で抜けるとは... コーヒーを淹れて戻ってきたは早々に「チェック」と言う。 「え、もういいの?」 「うん」 郁の言葉には頷く。 結局、トップはで、最下位は琥太郎だった。 「で、何だ?」 肩を竦めて言う琥太郎には唸った挙句、「アイスが食べたい」と言う。 「わかった...」 そう言って琥太郎は立ち上がり、郁と一樹にもリクエストを募る。 「あ、俺はそろそろお暇します」 と一樹が言う。 「何だ、もう帰るのか?」 琥太郎が驚いたように漏らした。 ちなみに、琥雪は先ほど近所の新年会に誘われて出て行ったので、不在である。 「ええ。琥雪さんにもよろしくお伝えください」 玄関に向かう一樹の後をが付いて行き、琥太郎と郁もそれに続く。 ぞろぞろと見送られて一樹は苦笑し、「じゃあ、お邪魔しました」と琥太郎に挨拶をし、には「また明日な」と声を掛けて玄関を後にする。 「明日も会うの?良く飽きないね」 「郁ちゃんは飽きるの?」 きょとんと見上げてきたに郁は視線を逸らす。 「絶対にこういう返しがあると思うべきだろう」 呆れたように琥太郎が呟く。 郁のこれまでの恋愛との今の恋愛は全く別次元だから、感じ方も考え方も違ってくるのは当たり前だ。 特に、郁はこれまでの恋愛に対する自分の姿勢をある程度反省しているところなので、実は今のの純粋さが羨ましかったりもする。 「さあ、どうだったかな?」 そう言って郁はリビングに戻り、「じゃ、買ってくるからな」と琥太郎は玄関を後にした。 残されたは首を傾げて「変なの」と呟き、リビングへと戻っていた。 |
桜風
14.2.21
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