Diamond ring 41





 窓の外を見ると青い空が広がっていて、今、日本は何時だっけ?と思った。

空は繋がっているといっても、やはり遠いものだ。

「ここは日本じゃないから、日本晴れじゃないんだよなー...」

何となくそう呟いた。


先日、がめでたく卒業した。

その日に電話をすることを多少躊躇ったがそれでもやっぱり「おめでとう」が言いたくて電話をすると口にはしなかったが寂しそうだった。

月子の大学入試の結果はそのときはわからなかった。だから「これからも月子とは一緒だろう」という慰めの言葉も言えず、傍に居られない状況がもどかしかった。

その数日後に月子の合格の連絡をから受けたとき、正直ホッとした。

何にホッとしたのかわからないが、安心したのだ。

ふとポケットに入れていた携帯が震えた。

一緒に歩いているクラスメイトに先に行くように声をかけて通話ボタンを押す。

からだった。

「どうした、珍しいな」

前にも何度かあったが基本的に一樹が学校に通っている時間帯は殆ど掛かってこない。時間が読めないからだろう。

『一樹さん!』

嬉しそうに自分の名を呼ぶ彼女に思わず笑みがこぼれる。

「どうした?」

『問題です!』

弾んだ声で彼女が言う。

「ん?なんだ?」

『わたしは今、何処に居るでしょう』

...はい?

「何だ?どうした」

『ヒントは...』

そう言って彼女はたどたどしく単語を口にした。

「え、ちょ、待て...!」

彼女が口にしたのは、一樹が留学している大学の名前だった。

『正門です』

「今行く。変なのに付いていくなよ!!」

そう言って通話を切って一樹は廊下を駆けた。


正門に行くと、が立っていた。

周囲は小さな東洋人に興味津々らしく、声をかけている。

!」

「一樹さん!!」

彼女に興味津々な学生達に、彼女は自分のものだと告げて散らす。

次の授業は取っていなかったので友人とは図書館で勉強をしようと話をしていたのだが、メールをして行けなくなったことを告げた。

、一体どうしたんだ?夏凛さんや、晴秋さんは?」

保護者と共に来ていると思っていた。

しかし、彼女はきょとんとして

「一人旅です」

という。

「はあ?!」

大げさに驚く一樹には不安になった。

「あの、ご迷惑でしたか?」

ビックリさせようと思って黙って此処まで遠路遥々やってきたのだが、一樹の都合を聞いていない。

迷惑だったのだろうかと不安になる。

「いや、全然迷惑じゃないが...お前、ホントにひとり旅なのか?」

卒業旅行なら友人と一緒に行くとかあるだろうし。

「はい。一樹さんに会いたくて来たんですけど...」

しょんぼりするを見て、驚いたとはいえ、ちょっと口調がきつかったかなと反省する。

「いや、すまない。迷惑だとかそういうんじゃなくて。素直に驚いているんだ。、海外旅行は初めてだろう?」

「はい」と彼女が頷く。

「こっちには知り合いがいるのか?例えば、星月の関係者だとか」

「一樹さんしかいません」

「泊まるところは?うちでも構わないが...」

「ホテルにもう荷物置いてきてます」

そういえば、今のは身軽だ。

「そうか。ちょっと場所を移そう」

正門前で立ち話していた今の状況を思い出して、一樹がの手を取った。

しょんぼりしているに悪かったなぁと思いながら学校近くのカフェへと向かった。









桜風
14.3.21


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