| 夏休み、空港ではそわそわしていた。 空港アナウンスを聞いて顔を上げ、ゲートからこちらにやってくる人々を見た。 今日、一樹が帰ってくる。 連絡を貰った日からずっと心待ちにしていた。 月子と翼にも声を掛けたが、彼女たちは遠慮してくれたようで、結局がひとりでお出迎えとなった。 空港内に入り、迎えに来ると言っていたを探してみるとすぐにわかった。 ぴょんぴょんかえるみたいに跳ねているのだ。 自分を探しているのだろうが、思わず苦笑が漏れる。 「!」 一樹が声をかけるとピョンピョン跳ねるのは止まった。 しかし、どうやらこちらは彼女を見下ろせても彼女はこちらを見上げても見えないようでまたぴょんぴょん跳ね始める。 少し強引に人ごみを掻き分けて彼女の元へと向かうと、途中気が付いた彼女が駆け寄ってきた。 「おかえりなさい!」 弾む声で言われて一樹は「ただいま」と自然と彼女に手が伸びる。 頬を撫でるとくすぐったそうに肩を竦めるに目を細めた。 「一樹さん、意外と荷物が少ないですね」 「先に家に送ったからな」 なるほど、と彼女は納得した。 時計を見る。食事にしては少し早いし、かといって、すぐに解散はやだなぁと思っているとが「一樹さん、行きましょう」と手を引く。 「おい、何処に行くんだ?」 そっちは駐車場だぞと思って、ハタと気が付く。 そういえば、空港内にいるのがなだけで、ここに連れてきてくれた人が居て、更にその人が駐車場で待っているのかもしれない。 晴秋か..それとも琥雪か... そんなことを思っているとは駐車場にずんずんと入って行き、そしてある車の前で彼女の足が止まった。 運転席には誰も乗っていない。 は後部座席のドアを開けて、「荷物はここで大丈夫ですよね」と言う。 確かに、大丈夫だ。 一樹は頷き、促されるままに荷物を入れた。 「さ、乗ってください」 「ちょっと待て。...?」 「じゃーん!」 彼女はバッグからカード入れを取り出し、その中から1枚のカードを取り出した。 所謂、運転免許証。 「?!」 「一樹さん、わたしはとっくに19歳です」 普通自動車の運転免許は日本の法律では18歳から取得できる。だから、すでに1年前から彼女は年齢制限はクリアしていたのだが... 「この車、少しでかくないか?」 「此処まで乗ってきました。それに、随分と練習させてもらったので、この車なら運転できますよ」 「誰の車だ?」 「星月の車です。お兄ちゃんのは大きすぎますし、お兄ちゃん異動になったから今は遠いですし」 まあ、此処まで無事に来たんだし... 自信満々に運転席に座る彼女を見て、一樹は覚悟を決めた。 思いのほか、彼女の運転は危なっかしさがなかった。 不知火神社まで送ってもらい、彼女に上がっていくように言ったが断られた。 「親孝行をしましょう」 親子水入らずで、と言いたいのだろう。 「...わかったよ」 本当は、もっとに触れたいと思っていたのだが、彼女が良しとしそうにない。 「今晩電話する」 「はい、待ってます」 笑顔で頷いたをみると、やたら落ち着くことに気が付いた。 夜になってに電話をすると弾んだ声で応じられた。 「今日は、星月先生のご実家か?」 『そうです。車を返すのに寄って、そのまま』 「そうか。なあ、。明日、何か予定あるか?」 一樹がそう聞くとは驚いたように『明日、ですか?』と聞き返す。 「ああ、無理ならいいんだ」 やはり急だったか、と諦めかけていたときに 『わたしは、大丈夫ですけど。一樹さんは疲れてるんじゃ...』 とが気遣う。 「に会ったらそんなもん吹っ飛ぶ。というか、会いたいんだよ。ダメか?」 『ずるいですね』 はそう言って諦めたように溜息をついた。 つまり、彼女は了承したということだ。 一樹は星月家で待つように言って時間を告げる。 『わかりました』 「じゃあ、明日な」 そう言って通話を切った。 明日、存分にを補給しようと心に決め、約束の時間に遅れないよう、その日は早めに寝た一樹だった。 |
桜風
14.4.25
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