| 街中が煌びやかに輝き、年の瀬を嫌でも感じてしまう。 「一樹さん!」 駅前で待ち合わせをしているとが駆けてきた。 「お、今日も可愛いな」 一樹が言うとは嬉しそうに目を細めて「ありがとうございます」と言う。 そういえば、今日はの顔が少し近いな、と思って足元を見ると少しヒールの高いブーツを履いている。 今日は少し休憩をする時間を多く取るか、と思いながらが希望している買い物に向かった。 「今日は何を買うんだ?」 買い物に行きたいとしか聞いていないので、一樹が問うと、 「お姉ちゃんとお兄ちゃんのクリスマスプレゼントです」 という。 これまでは、姉に面倒を見てもらっていた上、星月学園がアルバイト禁止だったので自分の労働の対価としての給金を手にすることが出来なかった。しかし、大学生になってバイトを始めたので、そのバイト代で購入するのだとか。 やっと、自分の力でお金を稼ぐことが出来るようになったと彼女は喜んでいた。 いっぱい悩んで、姉と兄のクリスマスプレゼントを購入した頃には、既に日がとっぷり暮れていた。 「ごめんなさい」とは一樹に謝るが、彼は何でもないと笑う。 一生懸命悩んでいるも可愛かった。 「は、冬休みはいつからだ?」 取っている科目によって冬休みに入るタイミングが違う。 大抵は、クリスマス前に冬休みに入れるのだが、場合によっては、クリスマス明けまで授業があることもある。 「早いんです。えっと、20日が最後の授業です」 「そうか」と一樹が頷く。彼は22日まで授業がある。 「正月は帰るのか?」 「星月に顔は出しますけど」 「実家の方」 「お正月は帰らずに、ちょっと前に掃除をしに行こうと思ってます」 「ひとりでか?」 心配そうに一樹が問う。 「えっと、そのつもりです」とが言う。 「よし」 一樹が頷いた。 「せっかくだから、22日の夜からクリスマスまでの実家に行くか。あ、夏凛さんのお許しが出れば、だけどな」 きょとんと見上げるに、一樹が言う。 「夏凛さんも、晴秋さんもクリスマスには戻ってこないんだろう?」 先ほど、は購入したプレゼントを配送するよう手続きしていた。つまり、クリスマスには2人に会わないのだ。 「星月先生も大体27日か28日に帰省だろうし。幸之助さんと、琥春さんは忙しいみたいだから一緒に行けるのは琥雪さんくらいだ」 その通りだ。今回は、車を借りてひとりで帰ろうと思っていた。年末は琥雪も忙しいだろうから、もう足があるし、一人で動ける。 「俺ものご両親の墓参りに行きたいし、ダメか?」 クリスマスは一樹と過ごしたいと思っていたから、クリスマス明けに行って、墓参りをした後にちょっと掃除をして帰ろうと思っていた。 もう随分と掃除をしていないから気になってはいるが、住んでいないから仕方ないとも思っていたのだが... 「でも、無駄に広いんですよ」 「知ってるよ。無駄に、とは思わないけどな」 「家具とか...」 「だから、一緒に行くんだよ。嫌か?」 嫌ではない。 だが、 「迷惑、とか言うなよ。俺が行きたいんだ」 と一樹がの心を読んだかのように言う。 「お姉ちゃんに聞いてみます」 頷いたは嬉しそうで、「そうだな」と一樹も微笑んで頷いた。 今回の冬休みは、前半はの実家、後半は昨年同様一樹の実家の神社の手伝いと言うスケジュールとなった。 琥雪が少し寂しがったが、その後、海外にいる幸之助から連絡があり今年の年末は海外で過ごすことになったからと少し嬉しそうに言われた。 「琥太にぃは?」 「学校でお留守番」 一緒に行くかと誘ってみたらしいが、海外は面倒くさいと言ったらしい。 誰もいないなら実家に帰る必要がないだろうし、学園で生活することにしたとか。 『家族』とこんなに会わない年末年始はなかったな、と思った。 星月学園に居残りをした年もあったが、それにしたって、琥太郎が勤務していたから見送りをしたため、年末ギリギリに顔を合わせたし、偶然にも年始に会った。 不思議だな、と思った。 |
桜風
14.5.9
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